通信機器から離れて生活することを「デジタルデトックス」という。

パソコンやスマホを見続けるのは体に悪いから、それらに触れない時間を意識的に作ろうという話である。

だがそもそも通信機器を作り出したのは人間だし、それ自体は便利で良いもののはずだ。

だが、適切に使えば便利なものを使いこなせず、逆に生活を不便にする人間が現れた途端、それらを「毒」と見なし、遠ざけようとするところがとても人間らしい言葉で好感が持てる。

どちらかというと、自制心に欠ける愚かな人間のために「デジタルデトックス」は生まれたはずなのだが、まるでクールでオシャレな行為であるかのような名前をつけているところもポイントが高い。

私も現在愚かな人間代表としてデジタルデトックスの最中である。

依存症の中ではあまり重く見られないネットやスマホ依存だが、「時間」という取り返しがつかない物を長期的に失わせるという意味では、命を脅かす酒や薬にも匹敵する危険性がある。

つまり「デジタルデトックス」などと小洒落たことを言っているが、その実情は酒や薬を抜くのと大差がない。

通信機器から離れ、音楽を聞いたり読書をしたり、遠くの山とかを見ている図を想像するかもしれないが、これはそもそもデジタル依存していない人がやるデジタルデトックスである。

本場のデジタルデトックスは、まず強制的にデジタル機器を触れない環境を用意するところから始まる。

つまり、スマホを手に取らないようにするのと、禁断症状による暴れを防止するため、両手両足を縛っておくところからのスタートだ。

だが、残念なことに、依存症はそれだけに没頭するあまり、脱却したいと思う頃には周囲に人がおらず、協力者を得られないことも多い。

協力者がいるのといないのでは、依存脱却の難易度は段違いだ。少なくとも協力者がいれば両手両足を固定してもらうことができる。

私にもそこまでしてくれる支援者がいないので、スマホを使えなくするケースを購入したり、LANケーブルを引っこ抜いたり、自分でネットを遠ざける環境を作ろうとしているのだが、自分で作った環境はすぐ自分でぶち壊せるため、何度もスリップを繰り返している。

もし協力者が得られるのであれば、1人で本場デジタルデトックスができるとは思わないで、デジタル機器を預かってもらうなど迷わず協力を求めた方がいいし、協力者を殴ってスマホを奪ってしまいそうなら手足を縛ってもらった方がいい。

それよりも、まずこんな状態になるまで悪化させないことが大事である。そのためには、本場とは異なるライトデジタルデトックスも必要ということだ。

バルミューダの高級目覚まし時計はデジタルデトックスを助けるか

  • 「本場のデジタルデトックス」の道は険しい……

    「本場のデジタルデトックス」の道は険しい……

デジタルデトックスの基本として「寝室にスマホを持ち込まない」というのがある。

冷静に考えれば、寝る瞬間までスマホが手放せず、起きてまずやることがスマホチェックな時点でかなり重症化しているし、スマホの興奮作用で入眠を妨げられ、健康にも悪い。

私も少し前から寝室にはスマホを持ち込まなくなった、当初は落ち着かなかったが、スマホなしでは眠れなかったり、夜泣きをしたりすることもなくなったので、少しはデトックスできたのだろう。

しかし、寝室にスマホを持ち込まないことで「アラーム機能」が使えなくなり、寝過ごしが増えるという弊害が起こっている。

一応隣で寝ている夫のアラームは鳴るのだが「2ターン以内にアラームを止めなければ死ぬ」という縛りプレイでもしているのか、大体私が起きる前に止められるので意味がない。

デジタルデトックスによりアラーム機能を使えなくなった者は「目覚まし時計」でも使うしかない。

その層を狙ってなのか、家電メーカーのバルミューダが約6万円の置時計を発表したそうだ。

この時計は針がなく、文字盤が光って時刻を知らせる仕様になっている、全体的なデザインは懐中時計をイメージしているらしい。

アラームに加え、ホワイトノイズを流してくれるタイマー、そして光と共に7種類のオリジナル環境音を流してくれるリラックスサウンド機能が搭載されているという。

非常にオシャレである、デジタルデトックスを意識している層が求める置時計はこれやと思って作られたのだろう。

そんな開発者の前に結束バンドで両手足を縛られた私が転がり出たらどんな顔をするだろうとも思うが、おそらく私のような本場デジタルデトックス勢は想定外なのだろう。

だがデザインや置時計としての機能は良くても、充電式で最大使用時間が24時間なため、実質毎日充電が必要という仕様が不便だし、そもそも置時計に毎日充電が必要というのも「スマホじゃあるまいし」という感じがする。

しかしそれよりも問題視されているのが、爆発の危険がある「リチウムイオン電池」を使っているという点である。だが「いざとなったら爆発してお前を起こすためだ」と言われたら、納得できる。

どれだけ見た目が洒落臭かろうと、寝床に置かれる時計としての使命は忘れていないという意味では実用的な時計と言えるだろう。