まだ年が明けて半月程度だが、すでにSNSでは「花粉の気配を察知」という不穏な投稿を見かける。

花粉飛来報告は花粉症ではない私にとってスカイフィッシュ目撃情報と同義なので何も感じることがない。

むしろ、いつ「花粉症って集団ヒステリーの一種では」とポストしてX山火事を起こすかわからない、花粉以上の有害物質なのだが、全く花粉に危機感がないわけではない。

噂によると花粉症は突然発症するものであり、去年花粉エアプだった者が今年杉殺隊に加入しているのは決して珍しいことではないようだ。

花粉症というのは累計システムなのだという。

話は逸れるが、漫画の発行部数は累計で発表されることが多い。漫画の帯に「100万部突破」と大きく書いてあっても、そこから10ptぐらい落としたフォントで「累計」と書かれていることが多いし、さらに20pt落して「書籍・電子含め」と書いてあることも多い。

その本単体が100万部売れているわけではなく、それが10巻だとしたら1巻から10巻の累計で100万部突破したということであり、できるだけ景気がいい数字を表に出すために、足せるものは全部足しているのだ。

つまり、私も300冊ぐらい本を出せば「人生累計100万部突破」と帯に書いていいということだ。

言うまでもないが人生累計の部分はフケみたいなフォントで書く。

部数は累計で構わないのだが、花粉も何故かこの制度を採用しているらしく「人生累計花粉摂取量100キロ突破!」など、今まで体内に取り込んだ花粉の累積があるラインを越えると発症するシステムらしい。

つまり、春になるたび「今年一線を越えてしまうかもしれない」という不安はあるのだ。

単純に花粉症の症状に苦しめられたくないのもあるが、花粉症人口が増える中、まだ花粉症でないのが私の唯一の誇りなのだ、それを奪わないでほしい。

ちなみに「視力が高い」も誇りだったが、それは加齢に根こそぎ奪われた。

だが一説によると加齢は花粉症発症リスクにも高めるし、ストレスやホルモンバランスなども関係しているらしい、属性だけ見ればまだ発症してないのが不思議なぐらいなのだ。

しかし何故発症してないのかと問われれば「圧倒的に外に出ない」という明確な答えがあったりもする。

やはり、家の中と外とでは花粉の飛来量には大きな差があるはずだ。

オーバーではなく1年の9割以上を家の中で過ごしている私は、累積される花粉量が常人より少なく、ライン越えが遅れているとしか思えない。

普通の人はこんなに外に出ずに生きることが許されるわけないので、私の花粉症回避はチートと言われても仕方ないが、花粉を浴びない代わりに「日光」という、人間にとって重要なものを年中浴びてないので、春だけではなくオールシーズン陰鬱な気持ちで過ごしている。

 日本の主食が国民病を打開する?

  • スギ花粉米、「食べたら花粉症を発症する恐怖のお米」ではなくて本当によかったです

    スギ花粉米、「食べたら花粉症を発症する恐怖のお米」ではなくて本当によかったです

そんな、未発症の者含めて恐れられている花粉症だが、その解決策の研究はずっと続けられている。

その一つが「スギ花粉米」だ。

名前だけ聞くと花粉症の人間を拷問する時に使う用の米だが、意外にも花粉症に対抗するための米だそうだ。

詳細は各自調べてほしいが、簡単に言えば遺伝子組み換えによりスギ花粉成分をイネに含ませ、それを食べることで体をアレルギー成分に慣れさせ、花粉症の症状を抑える仕組みらしい。

私は今回初耳だったが、このスギ花粉米は25年前から開発が行われており、目標は「パックご飯」としての販売だったそうだ。

しかし、米だけに年一しか作ることができず、加工や保存などのコストを考えるとパックご飯としての販売は難しいと判断され、成分だけ抽出した粉末を医薬品として販売する方向に転換したという。

確かに花粉症に効くパックご飯は他にないし、ご飯を食べながら花粉症に強い体ができるというのは面白い。

だが今知った者からすれば、ご飯にこだわった結果25年も商品化できなかったなら、もっと早く医薬品化に方向転換した方が良かったのでは、と思わなくもない。

しかしこのスギ花粉米を開発研究していたのは「農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)」だという。

この機構のことも初耳だが、名前からして農と食を研究しているに違いなく、スギ花粉米を「パックご飯」というまさに農と食な形で流通させることに情熱があったに違いない。

それを断念し薬(ヤク)という形で出さなければいけなくなったというのはさぞかし無念だろう。

しかしせっかく25年も研究したのだから、形は変わっても成果が出てほしいと思う。

もしこのスギ花粉米が医薬品として流通し、無事花粉症を発症した私が使用することがあれば、薬の向こう側にある米の存在を感じたいと思う。