この世には様々な分断が存在する。

特にXなどはモーセの群れが横切ったとしか思えぬ溝だらけだが、その中でも一番巨大なクレバスは男と女だろう。

これは、人間の性別がなくなり、口から卵を吐くことで繁殖するナメック方式にならないかぎりなくなることはないだろう。

他にも、若と老、人種など、生物的にどうにもならない分断は数多く存在し、地球の資源はいつまでもつかわからないが、争いのタネだけはもう50億年は安泰だ。

しかし分断にも「旬」というものがある、男女のようにオールシーズン味を損なわないものもあれば、時節柄広がる溝もある。

現在、正月休みが終わったばかりなのだが、長期休暇になると、子どもがいる家庭と、そうではない家庭や独身の対立が深まる印象だ。

まず子どもがまだ小さい場合、子供がうっかり死なないようにするための大人や場所の確保が必要になるし、死にづらい年になっても日中の食事の手配など考えることは多い。

子どもの頃は全く気付かなかったのだが、子どもの長期休暇は大人にとって凄まじく疲れる期間のようだ。

その疲れがわからない者たちから「好きで子どもを作ったくせに何を偉そうに疲れているんだ」という声が上がれば戦の合図である。

特に、正月は「帰省」という、ライフルの代わりに子どもを背負ったバイアスロンを踏破しなければならない家庭も多い。

そこで、何故か帰省は夫側の実家だけ、妻は義実家で小間使いになるのに、夫は妻の実家で完全にお客様など、年中楽しめる男女の争いが起こったりもするのだが、誰しも正月早々ケンカして疲弊したいわけではない。

よって最近は「セパレート帰省」を選ぶものが増えているそうだ。

「セパレート帰省」に貧富は果たして関係あるのか

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セパレート帰省とは、毎回配偶者に殺意を抱くため、いっそ先にバラしておく帰省のことではない。お互い義実家に行くのはやめ、各々の実家に別々で帰省することだ。

おそらく気疲れをなくす意味ではこれが最適解だろう、帰省する側だけではなく、迎え入れる側的にもこちらの方が楽なのではないか。

老とてああ見えて世代交代しており、嫁や婿はうちの敷居を跨いだ瞬間、人間ではなく労働力と見なすタイプは徐々に減ってきていると思われる。

子どもの配偶者という限りなく他人を連泊させる気疲れを考えれば、孫のみ連れて来てくれた方がありがたいと考える親も増えているのではないか。

帰省も面倒なことをわざわざするのはやめようという考え方になってきており、日経によればセパレート帰省を選ぶ家庭は60%にも上っているという。

ただ皆がこのセパレート化の波に賛同というわけではない。

「嫁が夫の実家に顏も見せず、義父や謎の親族オジにケツも撫でさせないなんてとんでもない」と考える古い家もまだはるはずだ。

だがこの話題に、新旧ではなく別の切り口で溝を作る意見が注目を集めた。

それが「貧富」である。

確かに、帰省には金がかかるため、1人でも電車賃を浮かすためセパレートせざるを得ないという家もあるかもしれない。だとしたらやはり物理的にセパレートして荷物として運ぶ案も視野にはいってくる。

だが、そういう話ではなく、富裕層は節目節目に一族全員集合して絆を深めているからら富裕層なのであり、貧困層は親族間の連携が弱いため貧困であり、セパレート帰省はますます貧困層を貧しくさせるという。

先日「推し活をするのは貧困層であり、富裕層は自分以外にそこまで金や時間をつぎ込んだりしない」という説が議論されていたように、貧富論争は度々起こるが、貧富を分断させる説を唱える人がどの層なのかが気になる。

何せこちらは富裕層の実態など知らないのだ。

たとえ「マス層以下が考えた最強の富裕層像」を出されても「そんなことはない」と言えないのが弱いところだ。

よって富裕層ほど親族が集まって絆を深めている説を否定することはできない。

実際、富裕層なら交通費をケチる必要はないし、ホテルや料亭などに集まって、誰も給仕をやる必要がなかったりと「金があった方が集まりやすい」のは確かだろう。

しかし、親族が集結することと富むことに関連性があるかは不明である。

逆に、貧は親族間の結束が弱いから貧かというとそんなこともない気がする、むしろ集まった瞬間誰がここのすたみな太郎代を払うかで揉めて、余計分解しそうな気がする。

だがこれも、私が考えた解像度の低い貧困像でしかない。

度を越えた富も貧も全体の数パーセントだと思うので「どっちもXにはいない説」すらあり、どっちの層でもない人間が、貧や富をイメージで語ってケンカしている可能性すらある。

また、一族で定期的に集合するのがサクセスの秘訣だとしても、富裕層がそれをダルイと感じていないかどうかは別である。

そういうのを苦に思わないメンタリティがなければ富むことはできない、と言われたら逆に自分が貧であることに納得できるのでそれでいい。