これを書いているのが1月1日だ、年末年始の休載はなくていいと言ったことを早くも後悔している、今年も悔いの多い一年になりそうだ。
昨日の大晦日は諸事情で生まれて初めて紅白歌合戦をフルで視聴したのだが、平素、編集と演出漬けの動画しか見てない者に、二秒以上の沈黙が普通に起こる4時間の生放送は逆にエキサイティングであった。
内容は、高齢者が生まれて初めて見るであろう若者に人気の流行歌も多かったが、中高年以上に配慮した出演者も多かった。
その中の一人であるユーミンが、AIに自分の歌声を学習させ、過去の自分と今の自分を融合させたアルバムを発表したと紹介されていた。
AIを使用した作品に関しては未だに批判的な意見が多い。
学習元にされてしまうクリエイター側からすればもちろん受け入れがたいし、消費者側からしても「自分で作ってない」という点に拒否感を感じる人が多いからだろう。
実際にはAIを使って作品を作るのにもスキルが必要である。
ただ手の位置を微調整したいだけなのに、急に渋川剛気にリストをやられたオリバみたいになったり、思ったよりもAIはこっちの言うことを聞かない。
だがどれだけ高度な技術を用いてAIを操作していると言われても、学習元が他人の作成した高度な作品たちであることへの抵抗感は強いのだ。
逆に言えばユーミンのように、学習元が自分であれば拒否感は薄くなる。
ユーミンの清々しすぎて逆に炎上しない選民エピは度々目にするが、AI使用に関する批判はあまり目にしていない。
私も自分の絵を元にAIで漫画を描けるようにならないか、とは常に思っている。
もちろん食わせているのが自分の絵なので、大して上手い絵にはならないだろう、だがAIに「下痢」という概念さえなければ、自分で描くよりはマシなものができるはずだし、何より時短が可能だ。
他人の画像のAI加工を「おすすめ」するUIにクリエイタードン引き
元が自分の作品ならアリなのではと思う一方で、ナシ寄りのアップデートをしてきたのがXだ。
それが「他人がアップした画像を簡単にAIで加工できる仕様」である。
善人イメージを積み重ねて来た有名人がわずかな失言で大炎上してしまうのとは逆に、X民はイーロンがコツコツ積んできた残酷非道のおかげで、多少のラフプレイでは審判に「大丈夫」と自ら言ってしまう体になってきた。
投稿された画像をAでI加工できる機能は前からあったのだが、今度は画像にカーソルを合わせると「画像を編集」というアイコンが表示されるようになっている。
つまり、より画像のAI加工を促すUIになったということだ。
無断転載だけでなく無断AI加工もしやすいというのは、クリエイターにとって拉致監禁の上、殴る蹴るの暴行を受けやすいSNSということになり、あまりにも治安が悪すぎる。
今回の仕様変更により、もう何度目かわからないクリエイターのX離れがまた起こったそうである。
ただ、Xも「息をするように他人の作品を蹂躙しよう」と提案しているわけではなく、この機能は自分の投稿した画像にも使用が可能であり、自分の画像加工用のみに使うこともできる。
私も自分が投稿した絵に「このラフ画を元にイラストを完成させて」と指示を出したらかなりのクオリティの絵が出てきて面白かった。
自分が普通に完成させた絵を「ラフ画」とかいうなよ、とも思ったがAIへの指示は的確でなければいけない。
また「他人の家を荒らした上に自分の家だと主張しようぜ」と推奨しているわけでもない。
AIは使用しただけでも批判対象になりがちだが、もっと批判されるのは、それを自分の完全オリジナル作品だと言って発表することであり、他人の作品をAI加工しただけの物ならなおさらだ。
XでAI加工した画像には「これはAIで加工した」というマークがつく上、加工の履歴が誰でも閲覧できるため、これは自分が描いた物だと言って投稿する「なりすまし」はしづらいと言われている。
ただし「自分の作品がよりいじられやすくなった」というのは確かである。
ただ何ごとも「個人で楽しむ」分にはOKなところがある。
OKではないかもしれないが、Xに投稿された他人の絵をAIで加工するだけ加工して、どこに発表するわけでもなく眺めるだけなら、その行為がバレることが少ないため責めようもないのだ。
古本屋で漫画を買うと、たまに「ぬり絵」が敢行されているように、ネットが生まれる以前から、発表してしまったものを見えないところでいじられることを防ぐのは難しい。
だがXの仕様変更により「見えないところでいじられ率」は上がったのは確かだろう。
通勤電車の痴漢の数が倍に増えたようなものであり、さらにそれが透明人間なのだ。
クリエイターが「何か嫌だから別の車両に移ろう」となってしまうのも致し方ないことである。
