先日、Xのトレンドやおすすめ欄を「ミセスの音漏れ」が席巻していた。

隣の部屋から聞こえてくる人妻の声で夜も眠れなくなっている奴がそこまで同時多発することあるかと思ったが、ミセスというのは言うまでもなく「Mrs. GREEN APPLE」のことだ。

今大人気のこのグループが10周年を記念し野外ライブを2日行ったところ、音漏れがえげつなく、近隣住民からの苦情が多く入ったという。

曲がそのまま聞こえてくるわけではなく、近隣住民はくぐもった重低音のみが鳴り響きつづけるというハルマゲドン開始の合図に数時間耐えることになり、健康被害を訴える人もいた。

しかし、かなり広範囲に音が届いてしまったようだが、それでも私のところまでは来ていない。

つまり、どう見てもミセスの音漏れ被害にあった人の数以上にミセスの音漏れに怒っている人の人数の方が多いのだ。

実際の被害者数がどの程度かはわからないが、ミセスの騒音被害者数より、ミセスの騒音被害ネタによるXおすすめ欄汚染被害者の方が圧倒的に多いのは確かだった。

この件だけでなく、炎上の大半は、直接関係してない人が大量参戦することで燃え広がるのだ。

よほど暇でなければ、関係ない奴の関係ない怒りで関係がない俺が苛つかされるのはバカらしいと思ってその話を追うのはやめた方がいい。

しかし、近隣住民が被害を受けたのは事実であり、事前の音漏れ対策が不十分だった上に、2日開催の内1日目ですでに苦情が挙がっていたのに、対策をとらず、2デイ地獄の黙示録が終わってから謝罪するという対応にも批判が挙がった。

つまり全面的に「運営が甘すぎた」という話であり、近隣住民はもちろん、不備なくライブを行ってくれると信じて人妻のライブに送り出された客にも罪はない。

「界隈の民度」は人気と反比例する法則

  • 風に乗ってボーカル込みの生演奏が聞こえるならまだよかったのですが……

だが、ほどなくして罪がない側がお互いを批判しあうという事態が起きた。

ミセスの音漏れ被害を訴える住民に対し、ミセスのファンが「たった数時間ぐらい我慢しろ」「来年はもっと爆音でやろう」「タダでミセスが聞けるんだからむしろラッキー」などと煽るような発言をしたらしい。

らしい、というのはこれらのミセスファンコメントもSNSからの拾い物だと思うので、その場にいた当事者かどうかはもちろん、本当にミセスファンの発言かも不明だからだ。

実際そのような過激な意見を持ったファンもいるかもしれないが、その場に延べ10万人いたファンの内、2、3の意見だけを取り上げて「ミセスファンはみんなこういう思想」というのは無理がある。

しかし、過激な発言ほど拡散されやすく、ミセスの騒音問題は「ミセスファンの民度低下問題」にまで飛び火してしまっていた。

実際民度が低下していたとしても、ファンの民度によって漏れる音量が変化するわけではないので、元となった騒音問題には関係ないし、そもそもライブ自体が問題なく行われていたなら、このようなファンの発言もなかっただろう。

しかし、ミセスだけに限らず、この手のジャンルのトラブルの責任は最終的に集まった奴らの民度が低いせいにされがちだったりする。

この手のジャンルとは「人気のジャンル」という意味だ、人気があるところには人が集まるし、集まる人が多いほどトラブルは起きやすくなり、その中にモラルがスラムな奴が混じる率も高まる。

それだけ今ミセスの人気がすごいということであり、良くも悪くも人気者になった証といえるかもしれないが、最近は「人気者の醜聞需要」が高まりすぎてしまっている感もある。

また人気が出たことにより、ニュースや話題がそれで席巻されてしまうことを「ハラスメント」だという者もいる。

現在映画が大人気公開中の「鬼滅の刃」の話題ばかりされることは「キメハラ」と呼ばれていたし、最近メディアを開けばミセスの曲ばかりなことを「ミセスハラスメント」といって不快感を示す者もあらわれているらしい。

しかしこれは本人が悪いわけではない、悪いとするならそればかり放送するメディア側なのだが「ミセスハラスメント」と名前をつけられてしまったら、まるでミセスが悪いかのようなイメージになってしまう。

それにメディアとしても、今需要がある人気のコンテンツを無視するというのは、テレ東以外無理なのだ。

つまり人気者になったせいで人気がなくなるリスクが高まってきているということだ。

そうならないように、品行方正を心がけるようにするのも人気者の務めかもしれないが、24時間粗さがしをされている状態ではそれも難しいだろう。

こんな過酷な世界で「こんな世界にいられるか!」とならず、顔出しで歌って踊って我々を楽しませてくれる芸能人はすごい。

そういう人たちがいなくならないように、我々ももう少し寛容な目で彼らを見た方がいいだろう。