私は「マイナンバーカードは人間の脳をぼんやりさせる機能をもっている」という陰謀論の提唱者だ。
マイナンバーカードを所持するのではなく、もはやマイナンバーカードのことを考えるだけで相当ぼんやりしてくるので、かなり高度な技術が使われていると思われる。
よって今も頭にアルミホイルを巻いた状態で原稿を書いている。さもなくば毎秒何の話をしていたかを忘れて一向に原稿が進まない。
これがまさにマイナ電波の目論見であり、国民からマイナンバーカードについて論じる知力を奪いその間に様々なマイナ案を通してしまおうという算段だ。
この作戦は半分成功であり、こちらが恍惚としている間に、いろんなマイナ案が通ってしまった気がする。
みんな、マイナンバーカードはつくったかい?
だが何せぼんやりしているため、こちらは何が通ったのかがわかっておらず、「やはりスカイフィッシュはいたのだ」としか思っていなかったりする。
つまり、国民がマイナンバーカードの機能や用途、重要性を理解できてないまま、世の中だけがマイナンバーカード不可欠なシステムに作り替えられつつあるような気がするのだ。
現行の保険証が使えなくなり、病院の受付などで「とりあえず負担10割です」と言われて初めて正気に戻って暴れる人間が大量発生するXデーまでもう少しかもしれないのである。
それもマイナ電波により、国民が全員何も考えずにマイナンバーを発行していたらよいのだが、電波が効かない強個体、もしくは効きすぎて発行手続きすら難しくなった個体がいるからなのか、現在でも発行率は8割程度らしい。
一瞬意外と発行されていると思ったが、全国民に発行させる算段のものが8割というのはかなり低いし、ここまで長期間、様々な施策をしてまだ8割ということは、残りの2割は山の如く動かない風林火山勢であり、この2割に作らせるのは極めて困難だろう。
この2割が頭に固く締めたアルミホイルが光る強火のマイナンバーカード反対派ならまだいい。それだけ意識が高ければ、マイナ保険証の代わりになる資格確認書を自ら発行するなどして、マイナを持たない生活を維持していくだろう。
しかし2割の中には、ペンを持って書類を書くぐらいなら腹を十字に切る方が簡単という、事務手続きできなさすぎのラストサムライや、俗世の情報を完全に遮断している仙人なども含まれているはずだ。
そもそも「期限切れ」と言われても、なんの期限のことだかわからない
病院などに来た人間の10人に2人が窓口で要領を得ないことを言い出すというのは、現場にとって大きな負担である。しかし実際の要領を得ない勢率はもっと高くなる予定なのだ。
何故なら、調べによるとマイナ保険証の「期限切れ」は31%にも及ぶらしい。
カード自体の期限が切れているのか電子証明書が切れているのかは不明だが、どのみち電子証明が切れている時点できっと保険証としては使えないので31%が保険証としては使えないカード所持者と思っていいだろう。
ちなみに私はこの31%の中に入っている。「マイナンバーカードの期限切らしている腐れ野郎他に、いますかって」と言っても、他にいすぎて「ははいねーか」の部分までとて言えないのだ。
さらにカードは持っているが保険証と紐づけしていない勢もいるだろう。
つまり、マイナンバーカードを作ってない人間と、作っているけど保険証と紐づけてない人間、さらに期限切れの人間が病院窓口で立ち往生するのだ。もはや半分がそうなると言っても過言ではない。
あれほど必要になると言われているのに、作ってなかったり期限切れさせる方が悪いと言われればそれまでだが、健康保険は原則として全国民が加入する制度である。
そういった国の制度は「理解できないバカと情弱が悪い」のではなく、バカと情弱に届かない制度の方に問題があり、その失策で混乱するのが医療などの現場であることがまた問題である。
バカでも使えるものを作ってこそスマートってもんじゃない
私は幸い、自分のマイナンバーカードの電子証明書の期限が切れており、今の保険証の有効期限である12月までにマイナ保険証を使える状態にしなければいけない、というところまでは理解している。
しかし電子証明書の更新方法が「市町村の窓口に行け」の時点でまた頭がぼんやりしはじめるのだ。
だが、この電子証明書の更新はオンラインでもできるようになっているらしく、実際この連載の担当編集などはオンライン更新したそうだ。
私ももしかしてオンライン更新ができるのかと再度調べてみたが、やはり私の自治体は「市町村窓口に行け」と北方謙三のような一点張りだ。
国民全員に使わせたいなら手続きは簡単にしてほしい。そして地域格差をつけるのも本当にやめてほしい。