今年は渋谷のハロウィンが大人しかったそうだ。

地方の民にとってはハロウィン自体が都市伝説みたいなものなので、今年はハロウィンが不況だったと言われても、「今年はスカイフィッシュが不漁だった」と言われているようなものであり、「そもそも存在しないのでは」としか思えない。

さらに東京住みの人間にハロウィンについて尋ねても、「あれは都会の祭」という返答が返って来る場合すらある。

東京ですら都会でないとすると、日本の99.42%は無人の荒野か野生動物の楽園ということである。

渋谷って、メガテンに出てくる架空の街なのかと

日本でも10月になると店頭が黒・紫・黄土色に塗られたり、各社が一斉にかぼちゃ味の何かを発売したりする程度には広まりつつあるハロウィンだが、仮装イベントやパーティなど、本格的な催しているのはかなり局所的ということなのだろう。

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    きっと今度は「若者のハロウィン離れ」とか言われるのだと思う

その一つである「渋谷」が局所を越えた「特異点」と化し、街に甚大な被害をもたらす様が毎年報道されるようになってしまったため、もはやハロウィンは渋谷を破壊する祭であるという悪評の方が先に全国浸透してしまったと言える。

宮田のジャガー級に毎年なすすべなく燃やされていた渋谷もさすがに我慢できなくなったようで、去年あたりついに、公に「渋谷はハロウィン会場ではない」と衝撃の表明をすることとなる。

渋谷曰く「渋谷がハロウィンの街だと標榜したことはなく、何故か毎年勝手にコスプレイヤーが集まってくるガチ特異点になっているだけ」とのことだ。

これには「最初は渋谷区もハロウィンを扇動してた」という意見もあるが、定かではない。

だが、現在渋谷区がハロウィンに対しNOを示しているのだけは確かで、ハロウィン前の渋谷には「ノーモアハロウィン」というような終戦後感すら漂う看板が大きく掲げられていたという。

もはや渋谷にとってハロウィンは繰り返してはならない悲劇なのだ。

逆に言えば、これだけ徒党を組んで暴れれば、区ぐらいは動かせるということであり、デモ活動も無駄ではないと示した貴重な例とも言える。

私も今度インボイス的な制度が可決されそうになったら渋沢栄一コスでデモ参加してやろうかとも思うが、集団抗議活動には、全く関係ない周囲の人や環境に被害をあたえるというリスクもある。

実際、渋谷区がハロウィンに対し自主規制を求めたのも、いつか参加者の間で取り返しのつかない事故が起こる可能性があるというもあるが、ただ集まっただけでも、騒音やゴミで周囲住民や飲食店に多大な迷惑がかかっているという事実を重く受けたからである。

もしかしたら彼らは「日本人にハロゥインはまだ早い」ということを伝えたくて毎年渋谷で活動集会を開いていたのかもしれない。だとしたら実際区が動き、ハロウィン規制の機運が高まっているので、大成功といえる。

もし今後何かの思想運動をするなら、彼らの動きを見ならいたいと思う。

「文化」ってなんだ? 不倫も文化らしいし……

この渋谷からハロウィンを駆逐する動きに対し異論を唱える者もいたが、何せ99.42%の荒野の民からすれば、さらにその一部である渋谷で催される奇祭などやろうがやるまいが、直接関係がないため、「ケンカができるなら理由は問わない」でおなじみの、我がXおすすめ欄でも渋谷ハロウィンに怒っている人はあまりいなかった。

怒っている人の意見としては、ハロウィンという民間人の「文化」を区が規制するというのはいかがなものかということだ。

それに対し、「ハロウィンは元々子どもの文化であり、露出狂とそれに群がるヤリモクのためものではない」という指摘もあったが、露出に関しては、褌が正装の祭もあるので、祭と乱交パーティの正確な線引きは難しい。

しかし「それのせいで現地人に迷惑がかかっている」という事実がある以上、それを文化と言うのは難しく、それを文化だというなら「渋谷破壊RTA」など名称や目的自体を変える必要がある。

だが、ハロウィンは子どものためのイベントであるというのも事実だが、だからと言って、子どものイベントとしてハロウィンを広めていくのも難しい。

ハロウィンとは、仮装をした子供たちが近隣を「お菓子をくれなきゃいたずらするぞ」と脅迫して回り、お菓子を貰う行事である。

正規概要の時点で「事件」の香りしかしない。あいさつしただけで不審者LINEが飛び交うご時世、このような行事を行うのはあまりに難しい。

ハロウィンが広まることにより、ハロウィンに乗じて子どもを狙った犯罪を企てる輩が現れないとも限らない。

子どもを危険に晒すぐらいなら、今までどおり、ラムちゃんの格好をしたオッサンが酒を飲んで路上で寝ている祭のままでいい。

やるなら、仮装をして集まり、その場にあるリッツを食うぐらいのパーティに留めておいたほうがいいだろう。

また、子どもがお菓子をねだって歩くことで、事件は起こらなくても必ず「トラブル」は起こるだろう。

現時点でも「ノーアポでハロウィンキッズを放流するのやめろ、こっちは突然来られてもビッグカツしかないし、これは俺のだ」という苦言がXで見られた。

用意周到にやった者からするとこれはありえず、事前に訪問する家は決めてあり「子どもが来たらこれを渡してください」と、菓子まで渡しておく根回しまでして行ったという。

もし本格的ハロウィンが広まったら、親の負担は甚大なものになり、Xのおすすめ欄はハロウィントラブルで埋め尽くされるだろう。きっと、ハロウィンのお菓子が用意できなくて、日本死ねとか言い出す親も出てくるのだろう。

それに比べれば、渋谷だけが燃えて済んでいるハロウィンは平和なのかもしれない。