衆議院選挙が終わった。
私も選挙には行ったのだが、正直我が故郷は世界一選挙に行くモチベが上がらない地域の一つであり、投票どころか結果さえ期日前に透けて見えているレベルの保守王国なのだ。
よって我が県にとって選挙は指導者を選ぶというよりは「ユポ紙を触りに行く行事」として親しまれている。
だが、今回自民党は裏金問題を皮切りに、支持を失える行為は全部やるという「仕上げきった」姿での参戦である。
そのかいあって全体では大敗とも言える結果だったのだが、そんな中でもわが県は全ての議席を自民党が奪取することに成功するという、本部以蔵ですら庇護欲を失う守護りぶりを見せつけている。
しかし、3区中2区は秒殺どころか開票前に「当確」してしまっていたが、1区だけは最後までどうなるかわからないデッドヒートの末の辛勝だったようで、結果こそ同じだがこれは非常に珍しいことであり、自民の仕上がり方のすごさを改めて思い知った。
常に現世とは違う事件で騒いでいることでおなじみのSNS「X」も、さすがに投票当日と開票結果が出た直後ぐらいまで、トレンドは選挙関係のワードで埋め尽くされていた。
しかし、その直前まで食い込んでいたX特有のどうでも良い話題が、「ラーメン屋」そして「ライス」である。
選挙疲れにラーメンでも食べて元気に……なろう?
どうせラーメン屋がライスを残した客に苦言を呈したことに苦言を呈す奴が現れ世界が苦言で埋め尽くされた話だろう、と思っていたが、簡単に言えばその通りである。
事件は会議室ではなく現場で起こるものだが、その中でも「飲食店」は現場になりがちであり、青島も「またファミレスか、たまにはレインボーブリッジとか行きたい」と思っていただろう。
店選びの段階で、初デートにサイゼリヤはありかなしかで揉め、店が決まっても「子ども、外国人はお断り」の張り紙で揉め、やっと入店しても店員の態度、食う姿勢なので揉め、やっと出ていけると思ったら、奢り奢られ女子半額で揉める、もはや飲食店はX民にとって戦場と言っても良い。
その中でも「客が、注文したものを残す」という行為に関する戦は第293次大戦ぐらいは起こっている。
金を払っている時点でその飯は客のものなのだから、どう扱おうが客の勝手という意見もあるが「食べ物を粗末に扱ってはいけない」という、太古のマナーもある。
実際、食べ物を粗末にしたり遊ぶような行為は高確率で炎上しているし、食べ物を使った番組で「この後スタッフがおいしく食べました」と執拗にテロップがでてくるのを見ても、いかに視聴者が食べ物の扱いに厳しいかがうかがえる。
Xで決着がつく戦いなどほぼ存在しないが、その中でも飲食関係の戦は、開戦と飽きによる停戦が繰り返されるだけで、一向に終戦がこない。
今回の炎上も、簡単に言えばラーメン屋で女性客2人がライスを残したことに店側がモノ申したという、よくある話なのだが、さらにもう1スパイス足されていたことで大きな話題になっていた。
そのラーメン店はXを使ってライスを残した女性たちに長々苦言を呈するわけではなく「DMください」と書いたのだ、ちなみにDMを貰ってどうするのかは不明だ。
それが、「気持ち悪い」「なぜこれを見た女性たちがDMしてくると思えるのか」と、残す残さないとは別の方向で炎上することになった。
イデオロギーでも性別でも属性でも、みんな違ってみんな争う
もちろん残すな、という店主の主張自体は間違っていないという意見もあったが、その「正しい主張」すら、相手が女性2人組だから言っているのではないか、という別の問題にまで発展したのだ。
確かに、弱者を狙う、弱者と思って強気にでる人間は存在し、弱者属性を持っているせいでその餌食になりやすい人もいる。
体当たりおじさんにぶつかられるのは大体女性であり、自称「誰でもよかった」の通り魔もよく見たら、女子供老などの弱者に狙いを定めていたりもする。
誰でも良かったと言って、面識のない元力士に暴行を加えに行った真正の誰でも良かった人もいるが、そっちの方がレアである。
よってこのラーメン店も、女性2人だからDMを送れなどと相手が恐怖を抱くような強行なことを言っているのではないかという意味で、さらに批判されたのだ。
力士やドンソクさんのように2人で4席とってしまうような2人組に対し「DM送れ」と言っているなら、X民という無勢を味方にせず、DMによるサシで決着をつけようという姿勢が評価されたかもしれないが、多分そういう2人組だったら言ってないしそもそもライスも残してないだろう。
しかし、弱者属性の人には「絡まれやすい」のともう一つ、それ以外の属性の者に苦労をわかってもらえないという苦労もある。
「風邪を引いた」という申告に対し「そういえば俺も風邪っぽい」と自分のことを被せてくる人間がいるように、「痴漢にあいやすい」という悩みに対し「私はあったことがない」と自分自身の体験を根拠に相手の悩みを無きものにしようとする人間もいる。
よってこのラーメン屋の「女だから絡まれた」にも否定意見はあったが、否定しているのは「それ以外」の属性が多かったように感じる。
偏見なのかレッテルなのか、たぶん、ほぼ二郎のせい
しかし「女性」というのはわかりやすい狙われ属性だが、よくよく考えると「ラーメン屋」というのもすでに狙われる属性の一つになってしまっているのでは? という意見もある。
ラーメン屋と言えば、黒T腕組みタオルバンダナ巻き、壁に毛筆のポエム、独自のルールがあり、それを客に厳守させようとする「偉そう」そして「面倒くさそう」というイメージがある。
これはきっと完全に偏見ではあるが、その偏見により、ラーメン屋が燃えた時、他の飲食店の3割増し燃えるということはあり得るだろう。
だが、ラーメン店でなくても、面倒くさいルールや店主がいる場合もある。そんな店は黒T腕組みタオルバンダナのラーメンブームのはるか昔から存在していることから、そもそも、それに当たるのが嫌でチェーンしか選ばないという人も昔からいる。
よってグーグルのレビューなどでは、店の場所や営業時間を調べるついでに美味い不味いがわかるのも大事だが、「面倒くさくない」という評価が割と重宝するという。
ところで思うに、「面倒くさくない」というのは、単純に「店員の態度が良い悪い」とはまた違う。
私のように1ターンでも店員とのやり取りを減らしたい人間にとっては、店主の愛想が良く頻繁に話しかけてくる店も「面倒くさい店」であり、初回入店で「この店のシステム」を丁寧に説明してくれるのも面倒くさい店だ。
むしろ、これが最重要という人もいるので、これからグーグルでお店のレビューをする人はぜひ、面倒か面倒じゃないかもレビューしてくれるとありがたい。