FAXに殺されそうになったところをマイナンバーカードに助けてもらった、でおなじみのデジタル庁河野氏が、前々から日本政府が進めている「アナログ規制撤廃」について、ついに「フロッピーに関しては近く全廃が完了する」と発表したそうだ。

河野氏の経歴は今私が言い出したことであり、全然なじんでいないと思うが、とにかくデジタル化とマイナンバーを推し進めている人という印象になっている。ちょっと前はワクチンだった気もする。

さて、日本は諸外国に比べて「デジタル化」が遅れており、それを国外から笑われることも多かった、だがそれを逆手にとり東京オリンピックの際に選手の激励をFAXで募集して、他国を戦慄させる心理戦を行ったことはあまりに有名だ。

ちなみにこれは1964年開催の東京オリンピックの話ではない。

確かに事務の御作法はマナー講師と見まがうほどだったが……

私も会社員時代には、データで届いた書類を紙に印刷し、古老の机に捧げに行く巫女の仕事を10年近くやっていた。

もはや「神事」であり、伝統や格式の観点からこれを安易に撤廃していいのか疑問だが、これを神事ではなく「事務」と仮定するなら、無駄が多くコスパが悪いとしか言いようがない。

よって日本は国を挙げてデジタル化を進めてきたのだが、いつの間にか話が「デジタル推進」から「アナログ絶許」になってしまっていないだろうか。

しかし、古き支配者を倒し、新しい指導者を擁立するのが「革命」である。

新旧支配者が、王座を2ケツしている国が上手く行くはずがない、特に日本は古い側の方がケツ幅を取りがちだし、気づいたら全ケツ古い側が占拠し「元通り」になっていることも珍しくない。

そこに山があるからのぼるように、そこにFAXがあるから「FAXで送ってくれ」という指示が通ってしまい、FAXで送るためだけに出力された紙書類、という望まれぬ命が誕生してしまうのだ。

日本のデジタル化を阻んでいるのは未だオフィスの場所を取り続けるアナログであり、そいつらを追い出さないことには、デジタルの夜明けはないというなら、推進の前に廃止が入るのも仕方ないのかもしれない。

  • ところでフロッピーはデジタル規格だと思うが日本の「アナログ狩り」の話

    アポロ13号だってゼンマイで動くアナログ腕時計で助かったんやで

しかし、大臣がFAXに殺されかけ、フロッピーに村を焼かれ、内モモに印鑑を押されまくったせいなのか、「早急に全廃」など、アナログを敵とみなし、極端な発想になりすぎているような気もする。

ストーキング相手の恋人を殺せば自分が恋人の座につけるわけではないように、オフィスの窓からFAXと投げ捨て、フロッピー手裏剣で印鑑絶対必要勢を始末し、最新機器を導入すれば一瞬で業務がスムーズになるというわけでもない。

事務のツールとして、デジタルの方がアナログより優れているのは確かだが、だからと言ってアナログが根絶しなければいけない悪や敵というわけではないのではないか。むしろ何らかトラブルでデジタルが使えなくなった時、後ろから出てくるバトルシップの退役軍人のジジイ達のような、困った時の味方であるかもしれない。

アナログが「全廃」されたオフィスは、懐中電灯やガスコンロなどを一切用意していないオール電化住宅と同じであり、イレギュラーが起こった時に手も足もでなくなる可能性がある。

アクシズを落として無理やり地球人を進化させるような手法なのかも

キャッシュレス化が進んだことにより、最近はスマホのみで財布を持ち歩かないことがスマートとされているようだが、それでスマホトラブルが起こり、帰宅不能となり、交番で金を借りるのはかなりスマートではない。

それより、おもむろに靴を脱ぎ、底から出て来た4つ折り千円札にキッスして颯爽帰宅する人間の方がクールである。

つまり、最新機器を使いこなしながら、いざというためのリスク対策もできているのが真のスマートである。

オフィスも、アナログ全廃ではなく、デジタルを主としつつ、有事の際のためにアナログも残しておくのが理想なのではないか、という意見も多い。

だが、そういうぬるい方針だと、永遠にFAXを主にし続け全くデジタル化が進まないため、全廃など過激なことを言わざるを得なくなった、という可能性もある。

アナログは悪ではないが、無駄にアナログにこだわり近代化を阻むのは悪である。つまり、悪いのはいつも人間だ。

そもそも私は「アナログ規制」自体今まで知らなかったため、詳しく知るため「デジタル庁」のHPを見にいってみたのだが、そのページ自体、私が四半世紀前にフロントページエキスプレスで建立した個人HPを彷彿とさせる、懐かしい作りになっている。レトロブームとかなんとか、きっとこういうのが最近の流行りのデザインなのだろう。

その個人HPを永遠にスクロールしていくと、「アナログ規制見直しの取組」という項目を発見した。

これは、アナログを規制していくのではなく、逆にアナログを規制することを見直す段階に来ているということなのだろうか。

さらに序文には「アナログ規制の一掃に向けた取り組みを進めている」と書かれている。すでにデジタル庁内では、逆にアナログを規制しようとする連中を巨大アダプターで撲殺する下剋上が起こりHPも占拠されている可能性がある。太郎が危ない。

そう思ったが、私が根本的に勘違いしており「アナログ規制」はアナログ機器を規制することではなく、「印鑑なし無効」のような、アナログ手法を前提としたルールのことを指し、それの一掃を目指しているということだ。

やはりデジタル庁も、アナログ機器が悪いと思っているわけではなく、それを使った謎ルール、そして謎ルールを死守しようとする人間を一掃したいのである。

だが人間を掃討は難しいので、アナログ機器という武器の方を奪い、死守派勢力を戦えなくするしかない。

今日本では刀狩りが起こっているということだ。