もうみんな忘れているとは思うが、先日「インスタのストーリーズ」ことツイッターの「フリート」がお亡くなりになられた。

ただ自然死というよりは、産みの親であるツイッター社に「粛清」されたに近い。

廃止の理由は、フリート実装の目的であった「想定した新規ユーザーを呼びこむことができなかったため」だそうだ。

想定した新規ユーザーというのはもちろん「インスタ勢」のことである。

それならまだ許せたが、よりによってフリートを使っていたのが、ツイッター社がインスタ勢の代わりに追い出したくてたまらないツイ廃勢のみだったという事実が廃止の決定打になったようである。

おそらくツイッターへの要望としては、「フリートをなくせ」よりも「俺がいいねしたDI(ドスケベイラスト)をフォロワーのTLに表示さすな!」という意見の方が大きいし根強かったのではないかと思う。

それが一向に改善されることがないのに、フリートだけ妙な速さで消えたことを考えると、よほど「インスタ勢が来ずにツイ廃が喜ぶ」事態が腹に据えかねたのだろう。フリートの「もう少し待っていただければ結果を出します」という命ごいにも耳を貸さなかった可能性がある。

そうは言っても、大企業のやることは怖い。我々もツイッターくんなどと舐めていたらいつか痛い目を見る、せめてキモオタらしく「ツイッター氏」呼びぐらいはすべきだ。

ツイッター氏、その「インスタ化」へのあくなき挑戦

ツイッターが今すぐインスタからユーザーを引っ張ってこないとマズい状況かというと、ネット情報だがインスタの全世界の月間ユーザー数が10億ぐらいなのに対し、ツイッターは3億ぐらいだそうだ。

数字だけ見ると確かにインスタを目標にするのはわかる。しかし、スパムやプロフィール「○○をはじめて人生変わった」と書いてあるどこかで拾った美女アイコンのアカウント、そして偽友作など、カスアカウントが2億ぐらいを占めているとは思うが、それでも1億人は使っているのだ。

SNSの中では成功している方だし、日本ではツイッターユーザーの方が多いのだ。

しかし「陰湿な日本人にだけウケている」という事実が余計ツイッターを焦らせているという説もある。

ともかく、古参ユーザーに「今のままでいいからいらんことをするな」と言われ続けているにもかかわらず、あくなきアップデートを続けるのは、「己の望む姿になって、オシャレなユーザーを集めなければ意味がない」という高い志をもっているから、としか言いようがない。

ソシャゲ界にも「推しが出なければ爆死」という格言がある。たとえ最高レアカード10枚抜きなど、明日死ぬとしか思えない神引きをしたとしても、そこに狙った「推し」が入っていなければすべからく「爆死」であり、どれだけ他人に「それだけ良い引きをして何が不満だ」と言われても「不満しかない」のである。

それと同じようにツイッターも、たとえ現段階で3億のユーザーがいても、そこにインスタを使っているようなオシャレが一人もいなければ「0人」と同じだということなのだろう。

想定した層にウケなくても、別の層にバカウケすれば「まあいいか」となり、その路線のまま続けてしまうのが普通である。

今ある3億を捨ててでもインスタ民を1人呼び込みたいというブレない志は気高いとしか言いようがなく、そんな気高いツールに無志の我々が群がってしまって本当に申し訳ないと思う。

これまでの仕様を「反転」させたアップデート

  • これはフォロー前のカレー沢さんで、フォローするとボタンが白くなります。今までと逆なので混乱しそう…

    これはフォロー前のカレー沢さんで、フォローするとボタンが白くなります。今までと逆なので混乱しそう…

そんなツイッターの志の高さがうかがえるアップデートがまた最近行われた。

朝起きたら突然「ボタンの色」が変わっていたのだ。正確には「フォローする」のボタンが白から黒に変わるなどしていた。

あまりにも微妙すぎる変化の上、TLの誰もその件に触れていなかったので、私だけに見えている「アップデートの幻覚」なのかと思ったが、やっぱり変わっていたようだ。ちなみにフォントも若干変更したらしい

何故こんな微妙すぎる変更をしたかと不思議に思っていたのだが「インスタのボタンと一緒」というシンプルすぎる答えが判明した。(編集注:ツイッター氏の説明によれば、画面の見やすさの向上のために色を整理したということです)。

このように、なりたい自分になるためなら、自分より若輩かつ目の敵のツールでも遠慮なく参考にする、という姿勢もツイッターのエライところだ。無名の新人でも才能と見ればすぐ模倣してみせたという神・手塚治虫に通じるものがある。

これに対しツイッター勢の反応は私のTLのように「無反応」が大半だが、アップデート前とフォローボタンの色が反転してしまったため「誤ってフォローをはずしてしまった」という苦情が上がっている。

ただ、使い慣れたもののデザインが変更されると、最初は使いづらく感じるというのは仕方ないことである。今回のツイッターのデザイン変更が改悪かというと、そこまでのことではない。

しかし「改善」かというとそんなこともなく「フリートを殺してやることがこれか」という声も上がっている。

ただ、今回のツイッターのデザイン変更はどうでもいいかもしれないが、「デザイン」自体がどうでもよいかというとそんなことはない。

どれだけ機能が優れたアプリでも、デザインがごちゃついていてミスタップが多く「上司にメッセージを誤爆しやすい」となったら誰も使わないのだ。

より良いツールにしていくなら、やはり「デザインの変更」というのも必要なのである。

しかし、「他人のTLに俺がいいねしたDIを表示させる」機能の撤廃に比べれば、今回のボタンの色変更は本当にどうでもいい。

早くそれを変えてくれとは思うが、私の声は「一刻も早くいなくなってほしいツイ廃の声」なので、ツイッター社に届くことはないだろう。