オープン予選から数えて3カ月わたり開催されていた『ストリートファイターV CE(SFV)』のリーグ戦「第4期 TOPANGA Championship」の本戦ファイナルが6月17日から19日に行われました。優勝したのはふ~ど選手。ファイナル全勝での優勝です。
「TOPANGA Championship」は、オープン予選、Bリーグ、Aリーグから構成され、前回大会の成績によってプレイヤーのスタート地点が異なります。
まずは、誰でも参加可能なオープン予選からはじまります。そこで勝ち抜いた3名が本戦Bリーグに進出。BリーグではRED SIDE、BLUE SIDEの2つのブロックで各9名が争い、それぞれのブロックから3名が本戦Aリーグへ進出します。
AリーグでもRED SIDE、BLUE SIDEの2つのブロックで各9名が争い、各ブロック上位3名と各ブロック4位同士のファイナル昇格戦で勝利した1名の計7名が、本戦ファイナルに進出します。
本戦BリーグのRED SIDEは、ふ~ど選手が6勝1敗、BLUE SIDEは竹内ジョン選手が8勝0敗の好成績でAリーグの進出を決めます。さらに、本戦AリーグではRED SIDEが大混戦。6勝2敗でふ~ど選手、ウメハラ選手、ぷげら選手、カワノ選手の4人並び、直接対決の勝敗により、カワノ選手が4位で昇格戦行きとなりました。1位の選手と同じ4勝2敗ながら昇格戦で本戦ファイナルに再挑戦しなくてはならない事態が「TOPANGA Championship」に参加している選手のレベルが高い位置で均衡しているのが分かります。
BLUE SIDEも、RED SIDEと同様混戦模様になりました。7勝1敗で頭ひとつ抜けたときど選手は余裕の勝ち抜けでしたが、2位はももち選手、ガチくん選手、竹内ジョン選手が5勝3敗で並びます。同じ2位のなかでも、ももち選手とガチくん選手に敗北した竹内ジョン選手が4位で昇格戦となりました。実は唯一ときど選手に土を付けていたのが竹内ジョン選手だったので、実力的に劣っているわけではありません。
第4期の本戦ファイナルに進出したのは、ぷげら選手、ウメハラ選手、ふ~ど選手、ガチくん選手、ときど選手、ももち選手、竹内ジョン選手の7名。竹内ジョン選手は、カワノ選手との昇格戦に勝利し、初出場を決めます。ふ~ど選手、ウメハラ選手、竹内ジョン選手は本戦Bリーグからの参戦だったので、2カ月以上の長丁場を戦い抜いて本戦ファイナルに到達しました。
本戦ファイナルは7人のリーグ戦で、1つの対戦で7勝を先にした選手が勝利となる、いわゆる7先で行われます。6勝6敗になった場合は、そこから2連勝しなくては勝利となりません。9勝9敗までもつれ込んだ場合は、そこから2連勝ではなく、先に10勝をした選手が勝利となります。
優勝や順位の確定は勝敗数、直接対決の結果、ポイントの順番で判断します。同じ5勝2敗でも直接対決で勝ったほうの順位が上。三つ巴となった場合は獲得したポイント(勝利セット数―敗北セット数)によって判断されます。
本戦ファイナルは2日目を終わった時点でときど選手とふ~ど選手が4勝0敗となり、3日目に直接対決が残されていたので、どちらかの優勝が確定します。さらにその2人のもう1人の対戦相手がこれまた同じ相手で、ももち選手。ももち選手は2敗しているので、残念ながら最終日に連勝しても、ときど選手とふ~ど選手の直接対決により、5勝1敗の選手が出てしまうので、優勝の目はありません。ただ、直接対決優先ルールのため、ときど選手とふ~ど選手に勝利すれば2位は見えてきます。
また、本戦ファイナルの直前に行われたカプコンプロツアー2022日本の優勝者であるももち選手が相手となれば、対戦するだけで体力・精神力を大きく削られることは間違いないので、いかに直接対決に向けて良い試合ができるかも鍵となってきます。結果としては、どちらもももち選手を倒し、気力十分状態で最終戦に挑むことになりました。
ときど選手は最強と呼び声が高いルークにキャラチェンジしていますが、最近の調整で弱体化されたため、対戦相手によってはこれまでの使用キャラであるユリアンも登場しています。
かたやふ~ど選手はもともとマルチキャラ使いとして活躍しており、今回はレインボー・ミカとポイズンを使用。ときど選手のルーク相手にはポイズンを使用するかと思いきや、出してきたのはバーディでした。『SFV』の中期シーズンで使用していたキャラクターではありますが、最近はあまり使っていなかったキャラクターです。
ふ~ど選手曰く、カワノ選手が「ルークにはバーディがいける」という動画を配信しており、そこにヒントを得たとのこと。試合は2試合ずつ取り合う展開で4勝4敗まで一進一退の攻防が続きますが、ここからときど選手が連勝し、6勝4敗で優勝にリーチをかけると、ふ~ど選手はキャラクターをポイズンに変更。そこから3連勝を決め、7勝6敗でふ~ど選手の逆王手となります。
そこからは、ときど選手が追いついて、ふ~ど選手がアドバンテージを取る展開が続き、ついに最終戦の19試合目に。ここでふ~ど選手が勝利し、優勝を決めました。結局、最初にときど選手がリーチをかけたところから、追いついたあとは、一度もときど選手に先行を許さず、勝利を手にしました。
今回の大会で、いくつか思うところがありました。1つは『SFV』のプロシーンがかつてないほどに充実し、それだけに個々の活躍が厳しくなっていることです。
優勝したふ~ど選手をはじめ、レジェンドのウメハラ選手、大躍進の竹内ジョン選手ら実力者がBリーグからの参戦でした。逆に前回決勝リーグに残ったひぐち選手、水派選手、板橋ザンギエフ選手、様式美選手、カワノ選手は本戦ファイナルに残れておらず、コンスタントに活躍する難しさを示しています。
ほかにも藤村選手やどぐら選手、まちゃぼー選手、キチパ選手、ボンちゃん選手、もけ選手、ネモ選手、ナウマン選手など、プロリーグやプロツアーのファイナルで良く見かける選手がBリーグで戦っています。マゴ選手やShuto選手、板橋ザンギエフ選手はAリーグで敗北し、本戦ファイナルに進出できていません。ここに上がった人以外にも有名な強豪選手はおり、それらを倒さないとファイナルに進出できない狭き門となっているわけです。
そんな状況だけに、ときど選手、ウメハラ選手、ももち選手の往年の選手がそろった今大会は、古参ファンとしてみれば、感動がひとしお。その群雄割拠でベテラン勢、中堅勢が中心となって回っている『SFV』のプロシーンにおいて、若手の竹内ジョン選手の活躍も光ました。
竹内ジョン選手は、4年前の最初のEVO Japanで準優勝し、若手プレイヤーとして頭角を現した選手です。今以上にベテランが活躍するなかの強い若手の登場に湧き上がりましたが、そこから大きな戦績を残せず、カワノ選手やひぐち選手に若手エースの称号を譲り渡していました。
今回は、ずっと温めていたキャラクター・コーディの練度、パッドからアケコンへの変更、日々の練習などが花開き、初のTOPANGA Championship本戦ファイナル出場につながりました。ずっと応援していた人にとってはこれ以上の喜びはなかったのではないでしょうか。
Bリーグ、Aリーグ、ファイナルと上に上がるにつれ、成績が落ちていき、まだトッププレイヤーとして仲間入りするには足りないものが多くあると気がついた大会となったと思いますが、今後に期待できる結果でもありました。
TOPANGA自体も大きく変わったように思えます。これまでは公式公認とはいえ、コミュニティ感、インディ感が抜けきれていませんでしたが、今回は選手紹介インタビューや大会直前のPVなどかなりメジャー感のある作りとなっていました。
本戦ファイナルの3日目は東京タワーの「RED°」を使用したことで、さらに画面映えする配信になったように思えます。配信自体もYouTube、Twitch合わせて同時接続人数5万人を超えたのも、メジャー大会として認められた証なのではないでしょうか。
大会の最後に、運営の豊田氏が登壇。『SFV』としての日本でのChampionshipは最後になりますが、『SFV』でまだWorld Championshipがやれていないので、やっていきたいとのコメントがありました。コロナ禍で実現していなかった世界大会ですが、大会自体がその期間に熟成したことにより、ほかのeスポーツタイトルの世界大会に引けを取らない大会にしてくれるような気がします。