8月14・15日、舞浜アンフィシアターにてeスポーツイベント「STAGE:0」の決勝大会が開催されました。「STAGE:0」は、『クラッシュ・ロワイヤル(クラロワ)』『フォートナイト』『リーグ・オブ・レジェンド(LoL)』の3部門で行われる高校対抗のeスポーツ大会。全国1,475校、1,780チームが大会にエントリーし、予選を勝ち抜いた『フォートナイト』部門42チーム84名、『クラロワ』部門8チーム24名、『LoL』部門8チーム40名が舞浜に集結しました。

  • テレビの力を総動員させた高校eスポーツの甲子園「STAGE:0」
  • 舞浜アンフィシアターは、2,170席を有するeスポーツを観戦しやすいすり鉢型のシアター。各校の応援団が駆けつけました

14日は『フォートナイト』と『クラロワ』の2タイトル、15日は『LoL』の決勝戦が行われました。

『フォートナイト』は、最大100人が1つのエリアで戦うバトルロイヤル系のタイトル。STAGE:0では、生き残ったチーム順と相手チームを倒した数に対してポイントが付与され、3試合の合計がもっとも高いチームが優勝するというルールを採用しました。

優勝したのは千葉県立下総高等学校「とうもろこし畑」チーム。1・2試合目ともに最後まで生き残る「ビクトリーロイヤル」を獲得し、3試合目は勝利こそ逃したものの、終盤まで生き残ったうえに、多くの相手校を撃破したことで優勝を果たしました。

  • 『フォートナイト』は84人のプレイヤーがステージ上に集まって対戦しました

  • 優勝した千葉県立下総高等学校「とうもろこし畑」の2人

『クラロワ』は、お互いのタワーを守りつつ、相手のタワー破壊を目指すゲーム。プレイヤーは、カードからキャラクターを選択して、フィールドに配置していきます。

大会では、3試合中2試合に勝利したチームが勝ち抜けするルールで、渋谷教育学園渋谷高等学校「Intuition」が、決勝トーナメントを全勝で勝ち抜け、危なげなく優勝を収めました。

  • 壇上で対峙し、1対1もしくは2対2で対戦した『クラロワ』

  • 優勝した渋谷教育学園渋谷高等学校「Intuition」

『LoL』は、チャンピオンと呼ばれるキャラクターを操作して、自分たちの拠点を守りつつ相手の拠点破壊を目指す5対5のゲーム。チャンピオンを成長させながら、お金を稼いでアイテムを購入していきます。戦略性とともにアクション性も兼ね備えたゲームといえるでしょう。

大会では、前評判の高かった、N高等学校と岡山県立共生高等学校による決勝戦となりました。先だって行われた毎日新聞主催の全国高校eスポーツ選手権の準決勝においても、同じ組み合わせの対戦が発生しており、そのときは岡山共生高等学校が勝利を収めています。しかし、今大会では、3試合2本先取の試合で、お互いに1ゲームずつ取り合う拮抗した戦いの末、最後はN高等学校が勝利し、リベンジを果たしました。

  • 5対5で対戦する『LoL』

  • プロチームに所属し、すでに有名人である岡山県立共生高等学校の赤バフ選手

  • 優勝した角川ドワンゴ学園N高等学校「KDG N1」

本気で戦う高校生を応援するのは本気の大人たち

STAGE:0は、テレビ東京開局55周年の企画として開催されており、アンバサダーとして、お笑いコンビ「アンガールズ」の田中卓志さんとモデルの池田美憂(みちょぱ)さん、スペシャルサポーターとして、お笑いコンビ「アルコ&ピース」の平子祐希さんと酒井健太さん、応援マネージャーとして、アイドルグループの日向坂46が参加しました。

今回、STAGE:0を知ったきっかけや配信を視聴したきっかけが、「有名人目当て」だった人も少なくないかもしれません。そのためもあってか、大会では初心者でもわかるような解説や実況などが目立った気がします。eスポーツに馴染みのない人にも響くイベントだったのではないでしょうか。

だからといって、出演者たちがただ大会をにぎやかす存在だったかというと、そうではありませんでした。ゲームの内容や参加校、選手のことをしっかりと把握したうえで、eスポーツ大会を支える重要な役割を担っていたといえます。本気でeスポーツに取り組む高校生を応援するのは、まさに本気の大人たち。大会閉幕時に、イベント運営に携わっていたテレビ東京 アナウンサーの田口尚平さんが、感極まって声を詰まらせていたことからも、主催者側の本気度が伝わってきました。

  • 応援マネージャーを務めた日向坂46

  • アンバサダーとしてSTAGE:0を支えたアンガールズ田中卓志さん

eスポーツに馴染みのない人からすると、たかがゲームと思うかもしれません。ですが、特に教育に携わる人や保護者は、一蹴するのではなく、高校生が本気で全国を目指して戦っている背景を知り、応援してほしいところです。

大会終了後の優勝者インタビューで、N高等学校のまりも選手は「僕らの高校は通信高校なので、あまり青春をする機会がないんですよね。青春ができて良かったです」と答えていたのが印象的でした。

通信制高校は、「通学のあるタイプ」と「完全通信タイプ」の2つに分けられますが、完全通信の場合、在宅で授業を受けるため、部活動も限定的。オンラインでプレイできるeスポーツは、通信制高校に通う生徒たちに、部活動の楽しみを提供しているわけです。また、全国規模の大きな大会に出場することで、家族や学校の友達が応援に駆けつけてくれています。大会がなければ、eスポーツに取り組む子どもたちが部活で活躍する姿を見る機会もなかったかもしれません。それだけでも十分な価値があったのではないでしょうか。

  • N高校の大きな横断幕

  • おそろいの帽子や手作りの団扇を用意して応援する家族や友人たち

大会終了間際には、来年のSTAGE:0の開催も発表。全国高校生eスポーツ選手権も第2回の開催が決まっており、高校生プレイヤーの目指す場所が示されました。今後は、わざわざ次回開催を発表することなく、“当然あるもの”として開催できるほど定着することを期待しています。願わくは中学生大会、小学生大会も開催してほしいところです。

9月1日にはテレビ東京系列にて、22時から100分のSTAGE:0の決勝大会の模様を伝える特別番組「高校生ぃぃeeeee」が放送される予定です。大会が終わってからさらに多くの人に情報を発信できるのも、テレビ局が手がけるイベントならではの魅力でしょう。

STAGE:0 決勝大会 Day1

STAGE:0 決勝大会 Day2