1月25日、コナミグループが運営するeスポーツ施設「esports銀座studio」にて、「eBASEBALL プロリーグ」2019シーズン SMBC e日本シリーズが行われました。
e日本シリーズは、「eペナントレース」「eクライマックスシリーズ」を勝ち上がった、セ・リーグ覇者「読売ジャイアンツ」とパ・リーグ覇者「千葉ロッテマリーンズ」による一戦。e日本シリーズはBO3方式で行われ、2戦先勝したチームが日本一です。結果、読売ジャイアンツが千葉ロッテマリーンズを2-0で下し、日本一の栄冠に輝きました。
eペナントレースでは、1試合5イニング制で同一カード3連戦をすべてのチームと対戦していましたが、e日本シリーズでは、1試合9イニング制で1人3イニングの交代制で行われます。9回終了時に同点の場合は、タイブレーク方式の延長戦に突入。タイブレーク方式は、ノーアウトランナー1、2塁の状態でゲームが開始され、得点が取りやすい形でゲームが進行します。延長15回を終えても同点の場合は再試合。タイブレーク方式はそのままで、回の終了時に勝ち越したチームの勝利となります。
読売ジャイアンツは、プロ野球でもセ・リーグを制した強豪。「丸佳浩」や「坂本勇人」、「岡本和真」など圧倒的な打力を誇るチームです。e日本シリーズでもその打撃力を活かした攻撃力で、千葉ロッテマリーンズを圧倒しました。
ゲーム内のチーム力以上に、選手の力が発揮された
eBASEBALLでは、プロゲーマーが実際のプロ野球団に所属して戦います。ゲームで使用するチームはもちろん所属チーム。使用するゲーム『実況パワフルプロ野球』は、プロ野球での実績がデータとして反映されるので、上位チームと下位チームでは差が生まれてしまいます。
そのため、通常であれば、プロ野球でAクラス入りしたチームが有利になりますが、今シーズンのeペナントレースはそうではありませんでした。
実際のプロ野球の結果はセ・リーグが1位読売ジャイアンツ、2位横浜DeNAベイスターズ、3位阪神タイガース、4位広島東洋カープ、5位中日ドラゴンズ、6位東京ヤクルトスワローズです。それに対して、eBASEBALLの結果は1位ヤクルトスワローズ、2位読売ジャイアンツ、3位中日ドラゴンズ、4位横浜DeNAベイスターズ、5位広島東洋カープ、6位阪神タイガースでした。
パ・リーグは、プロ野球の結果が1位埼玉西武ライオンズ、2位福岡ソフトバンクホークス、3位東北楽天ゴールデンイーグルス、4位千葉ロッテマリーンズ、5位北海道日本ハムファイターズ、6位オリックスバファローズです。それに対してeBASEBALLの結果は1位千葉ロッテマリーンズ、2位オリックスバファローズ、3位東北楽天ゴールデンイーグルス、4位福岡ソフトバンクホークス、5位北海道日本ハムファイターズ、6位埼玉西武ライオンズでした。
こう見ると、セ・パともにリーグ優勝したチームは、Bクラスのチーム。つまり、チーム力以上に、プロゲーマー選手が力を発揮して、eペナントレースを戦い抜いていたことがわかります。
もちろん、読売ジャイアンツもチーム力だけで日本一になったかというと、そうではありません。ホームラン王と打点王を獲得し、eBASEBALL独自のランキング集計方法であるプロリーグランキング2位に輝いた舘野選手など、プレイヤーの腕前が光っていました。
大事なのは自分たちのチームを熟知すること
e日本シリーズが終了した後の取材で、千葉ロッテマリーンズの下山選手は、「もっとも千葉ロッテマリーンズを使いこなせるプレイヤーがそろった結果、自分たちはe日本シリーズに出場できました」と答えていました。
『実況パワフルプロ野球』というゲームが単純にうまいだけでなく、千葉ロッテマリーンズを熟知し、その戦力をどうやって使うかを理解しているからこその発言だったように思います。eスポーツでよく使われる言葉で言えば、「練度が違う」ということなのでしょう。
実際に、e日本シリーズ第2戦の8回裏、ワンアウトランナー2、3塁の場面で、千葉ロッテマリーンズを知り尽くしたからこそ生まれたプレイがありました。2塁走者に「岡大海」を代走で出した結果、「井上晴哉」の浅めのセンター前ヒットで、ランナー2人が生還して同点。この代走起用も「岡大海」の足の速さ、「井上晴哉」のパワーを熟知したからこその采配だといえます。そして、その直前にノーアウト1、2塁から3バントを成功させ、この場面を作った下山選手の技術と胆力にも感服しました。
そういう意味では、今回のeBASEBALLは、選手個々の力を見ることができた、いい大会でした。eBASEBALLは「もうひとつのプロ野球」というキャッチコピーがついてますが、確かにプロ野球を題材にしたゲーム大会の立ち位置だけでなく、もうひとつのプロ野球としての楽しみ方が確立しつつあるように思います。