2024年8月31日に両国KFCホールで対戦格闘ゲーム『ストリートファイター6(スト6)』のオフラインイベント「睡眠軽量e-SPORTS CUP<SLEEP FIGHTER> Supported by ドリエル(睡眠カップ)」が開催されました。

  • 睡眠カップ

    プロゲーマー、ストリーマー、VTuberの3人が1チームとなり、1週間の睡眠と『スト6』の対戦で勝敗を決める「睡眠カップ」が開催されました(撮影/志田彩香)

睡眠計量 e-sports CUP SLEEP FIGHTER 告知動画(フルバージョン)【エスエス製薬】

睡眠カップは、日々ゲームに勤しむあまり、睡眠を疎かにしがちなゲーマーに、睡眠の重要性を啓蒙することを目的とした大会です。エスエス製薬が主催しており、睡眠改善薬「ドリエル」の「能動睡眠プロジェクト~挑戦しよう、まず寝よう~」をテーマに掲げ、十分に睡眠を取ったプレイヤーによる質の高い対戦を目指します。

大会ルールは、3on3のチーム戦。先鋒、中堅、大将通しが対戦し、BO3(2勝勝ち抜け)で行います。先鋒は『スト6』を始めたばかりのVTuber、中堅はトップ選手顔負けのやりこみをみせるストリーマー、そして大将はプロゲーマーが務めます。

先鋒・中堅は1セット取るごとに10ポイント獲得し、大将戦のみ1セット取るごとに20ポイントが入ります。たとえ試合に負けたとしても、1セット取り、2勝1敗となれば、負けたチームにも10ポイント入るので、同じ負けるにしてもストレート負けにならないようにするのが重要と言えるルールです。

試合の結果のほかに、睡眠時間によるペナルティもポイントに関わってきます。参加プレイヤーは大会の1週間前から睡眠時間の計測を行い、1日6時間、1週間で42時間をベースに睡眠を取るようにします。3人の合計が126時間を下回ったチームはペナルティが科されます。

参加チームは、TEAM A「2000万コマ投げ」(大将・カワノ、中堅・おぼ、先鋒・甘狼このみ)、TEAM B「ヨガソニックサイクロン」(大将・板橋ザンギエフ、中堅・ドンピシャ、先鋒・火威青)、TEAM C「因幡は寝る」(大将・どぐら、中堅・SHAKA、先鋒・因幡はねる)、TEAM D「エレガントPONだ!」(大将・なるお、中堅・Zackray、先鋒・ロボ子)の4チームです。

  • 睡眠カップ

    TEAM A「2000万コマ投げ」(撮影/志田彩香)

  • 睡眠カップ

    TEAM B「ヨガソニックサイクロン」(撮影/志田彩香)

  • 睡眠カップ

    TEAM C「因幡は寝る」(撮影/志田彩香)

  • 睡眠カップ

    TEAM D「エレガントPONだ!」(撮影/志田彩香)

まずは、各チームの睡眠時間のチェックです。結果としては、どのチームも規定である126時間を下回ることはなく、ペナルティは発生しませんでした。全般的にプロゲーマーの睡眠時間が短めで、VTuberがそれを補填する状況です。

特に「2000万コマ投げ」は、カワノ選手が36時間と6時間も少ない状態。1日に換算すると50分は短い睡眠時間でした。そこを甘狼このみさんが52時間と10時間分のキャリーをみせ、トータルで+2時間のギリギリでクリアとなりました。

プロゲーマーは板橋ザンギエフ選手以外が軒並みノルマ割れ、ストリーマーも半分はノルマに到達しないという、まさにイメージ通りの結果です。一方で、VTuberさんはしっかりとした睡眠を取っているのがわかりました。

  • 睡眠カップ

    おぼさんとカワノ選手はノルマに達しませんでしたが、甘狼このみさんが10時間の大きな貯金でチームのピンチを救いました

  • 睡眠カップ

    全員がノルマを達成し、余裕のクリアとなったヨガソニックサイクロン

  • 睡眠カップ

    プロゲーマーのどぐら選手のみがノルマに達しませんでしたが、因幡はねるさんとSHAKAさんがフォロー

  • 睡眠カップ

    ストリーマーのZackrayさんが唯一ノルマに達成しませんでしたがロボ子さんがその分稼ぎました

さて、いよいよ対戦です。1回戦は「2000万コマ投げ」と「ヨガソニックサイクロン」の一戦。先鋒戦は甘狼このみさんが使うザンギエフが、火威青さんの使うダルシムと相性が非常に悪く、苦戦が予想されましたが、渾身のスクリューパイルドライバーが決まり、勝利を収めました。中堅戦は、おぼ本田とドンピシャガイルの対戦。ストレートでドンピシャガイルが勝利しました。

大将戦は、カワノ豪鬼対板橋ザンギエフザンギエフ。豪鬼最大の見せ技とも言える瞬獄殺まで決まり、カワノ選手が勝利。これで「2000万コマ投げ」が決勝に進出しました。

もう1つの1回戦は「因幡は寝る」対「エレガントPONだ!」。VTuber対決では、因幡はねるさんのブランカの飛びからの攻撃がことごとく決まり、ロボ子さん本田が必殺技を溜める余裕を与えませんでした。中堅戦はSHAKAベガ対Zackrayマリーザ。SHAKAさんはもともとマリーザ使いだったこともあり、マリーザを知り尽くしていたため、SHAKAさんに分があると見られましたが、モダンマリーザの利点とリーチの長さを活かし、Zackrayさんが勝利しました。

大将戦は、どぐらベガ対なるおジェイミー。プロゲーマー枠ですが、ストリーマーのなるお選手が登場。競技シーンで活躍していたこともあり、その強さはプロゲーマークラスと言えます。なるおさんはかなり善戦するも、どぐら選手がプロゲーマーの意地を見せ、勝利しました。これで因幡は寝るが決勝戦に進出です。

決勝戦の前に3位決定戦を実施。先鋒戦はロボ子本田が火威青ダルシムを退け、ストレートで勝利。中堅戦はドンピシャガイルがZackrayマリーザをストレートで倒し、ポイントがイーブンに。決勝戦に結果が委ねられます。大将戦の板橋ザンギエフザンギエフ対なるおジェイミーはお互いが1セットずつ取り、最終セットに。最後は飛びからジェイミーの張弓腿を誘い、ボルシチダイナマイトでタイミングをずらしたあと、スクリューパイルドライバーが決まり、板橋ザンギエフ選手が勝利しました。

  • 睡眠カップ

    3位決定戦は「ヨガソニックサイクロン」が勝利しました

決勝戦は、「2000万コマ投げ」対「因幡は寝る」。1回戦と同様に上から攻める因幡ブランカ。ところどころでスクリューが決まり、ダメージを取りますが、手数が上のブランカに先行され、因幡はねるさんが勝利しました。

中堅戦は、おぼ本田対SHAKAベガ。さまざまな大会や普段の練習で何度も戦っている組み合わせです。もはや細部の動きまで知っているでしょう。エドモンド本田を使い続けるおぼさんに対して、ベガにキャラ変更をしたばかりのSHAKAさん。練度の差が出てしまったか。おぼさんがストレートで勝利をもぎ取りました。

これで20-20の同点となり、勝負の行方は大将戦に。決勝戦はカワノ豪鬼対どぐらベガの一戦。どぐら選手が『ストリートファイターV』で使用していたキャラクターであるベガが、Yaer2の追加キャラとして登場したので、ようやく魂のキャラが使用できるようになりました。カワノ選手の豪鬼の仕上がりも良く、まさにSFリーガーに意地を見せる戦いと言えます。

試合は、お互いに1勝し、40-40のフルセット。最終セットはカワノ選手が先行しますが、どぐら選手が2ラウンド目を取り返し、フルセットフルラウンドにもつれ込みます。SAゲージとしては豪鬼3本、ベガ0本と圧倒的にカワノ豪鬼が有利でしたが、SAゲージを使う場面を与えなかったどぐら選手が逆転勝利を果たしました。

  • 睡眠カップ

    優勝した「因幡は寝る」

試合後の表彰式では、順位の表彰のほかにMVS(Most Vakuable Sleeper)の発表も行われました。睡眠時間だけではなく、専用アプリによる睡眠の質や心拍数などを計算し、もっとも品質の高い睡眠を行った選手が選ばれます。MVSに選ばれたのは甘狼このみさん。ダントツの睡眠時間を誇りながらも2位とは僅差で、ギリギリの勝利でした。

  • 睡眠カップ

    MVSに選ばれたのは甘狼このみさん

ゲーマーにとって疎かにしがちな睡眠を組み合わせる試みはなかなかおもしろいものだと感じました。ただ、すべてのチームが睡眠ノルマをクリアしたことにより、勝敗の影響が出なかったのは、ちょっと絡みとしては意味がないような結果だったとも言えます。

ペナルティを科す時間をもう少し厳しくしたり、規定の時間以上に睡眠を取れたら、その分ボーナス点を加算するなど、睡眠の結果が勝敗に絡むようなレギュレーションであればよりおもしろくなったのではないでしょうか。

また、適切な睡眠がパフォーマンスに影響するかも、曖昧だったと言えます。もちろん、楽しみながら睡眠の重要性を伝えるイベントなので、正確な検証結果は必要ではないと思いますが、もし睡眠がゲームのパフォーマンスに影響するかどうかをしっかり調査するのであれば、同じ人で十分な睡眠を取った状態と睡眠不足の状態での検証をしたほうがわかりやすい気がしました。

演出面は、会場に来ていた選手が全員同じパジャマを着て対戦し、チームメイトが対戦しているときの待機席がベッドになっているなど、かなり凝っていました。来場者や視聴者は、テーマに沿った特別な大会を楽しめていたように思います。

  • 睡眠カップ

    選手全員が同じパジャマを着て、ベッドで対戦の待機をしていました

非ゲーム業界の企業が展開するeスポーツイベントでは、「東京メトロカップ」も地下鉄らしさを出していました。今回の睡眠カップでも、睡眠の向上を目的とした企業らしさが出ていたように感じます。今後、ほかの企業がeスポーツイベントを開催するにあたり、参考となるのではないでしょうか。まだまだ、eスポーツを活用した企業主催のイベントには可能性を秘めているので、さらにいろいろな企業が挑戦する価値はあると思います。