n年前の今日、どんな出来事があったか覚えていますか?本コーナーでは、ちょっと懐かしいガジェット関連のトピックを振り返ってお届けします。最新情報の箸休めにでもご笑覧ください。

6年前(2017年)の9月14日、HPから“背負えるPC”「OMEN X by HP Compact Desktop P1000」が発売されました。PCを背負うと言ってもノートPCをリュックに入れて出かけるというわけではなく、中身はデスクトップPC。いったい、何のためにこのような特殊なマシンが作られたのでしょうか。

  • OMEN X by HP Compact Desktop P1000

    OMEN X by HP Compact Desktop P1000

その答えはズバリ、VR用途に特化したマシンでした。VRヘッドセットを被って高性能なデスクトップPCとの接続を前提としたVRゲームを遊びつつ、配線に縛られずにVR空間内を自由に歩き回りたい……それなら全部背負ってしまえば自由に動けるじゃないか、という発想で作られた製品です。

肩と腰回りのベルトでしっかりと体に固定するハーネスのような形状のバックパックキットに、薄型のPC本体とバッテリー2本(予備込みで最大4本)を装着し、外部電源に頼らず駆動できます。ハーネス部分は背中とPC本体の間に排熱がこもらないよう宙に浮くような構造になっていたりと、一見奇抜に見えて真剣に考えられたVR特化PCでした。

実はこういったVR用の背負えるPCというアイデアはHPだけのものではなく、当時はMSIやZOTACなど複数のメーカーの製品が存在しましたし、試作品の披露のみで終わってしまったものも含めるとDELL(Alienwareブランド)も取り組んでいました。

それらのうち、ZOTACはその後も細々とバックパック型PCを作り続けており、2023年に入ってからも新型の「VR GO 4.0 A4500」を発売。一般の個人が買うことはほぼないニッチなジャンルの製品ですが、VRアミューズメント施設などで活躍しています。