2016年から配布が開始されたマイナンバーカードの保有枚数が、この12月3日時点(2025年)で1億枚を超え、1億2万9,804枚に達したという(総務省の関連ページ)。

2025年1月1日時点での住基人口に占める保有枚数の割合は80.3%となる。10月末時点では9,947万枚と約79.9%だったので、ついに国民の8割以上がマイナンバーカードを保有したと考えていい。逆の言い方をすると、まだ、2割の人口が保有していないということでもある。

順調に取得はすすんだが、発行のピークは2020年春頃と2023年の春頃だ。この時期は国の施策としてマイナポイント事業が実施され、キャッシュレスサービスとの紐付けやチャージや決済でのポイント付与、また、健康保険証としての利用登録や公的受取口座の登録などでのポイント付与があった。実に現金なものだ。

  • 「マイナンバーカード総合サイト」では、電子証明書を搭載したスマートフォンを紛失した人向けの注意喚起がなされていた

    「マイナンバーカード総合サイト」では、電子証明書を搭載したスマートフォンを紛失した人に向けた注意喚起がなされていた

マイナンバーカードの概要をあらためて理解する

マイナンバーカードについては、まだまだ誤解も多い。カードの中に高い秘匿性を持つ個人情報が満載されていると思われていたりもする。これは大きな勘違いだ。実際には、プライバシー性の高い個人情報は保存されていない。ICチップの部分に税金や年金などの個人情報は記録されていないのだ。

また、オンラインでの利用には電子証明書が使われ、マイナンバーそのものが電子的にやりとりされることもない。マイナンバーは社会保障、税または災害対策分野などにおける法定事務、地方公共団体が条例で定める事務においてのみ利用可能で、その主体が限定されている。そうでない主体がカードの裏面をコピーするなどで、マイナンバーを収集、保管することはできない。

その一方で、電子証明書は民間も含めて幅広く利用が可能だ。ただし、内閣総理大臣および総務大臣の定めるところにより利用可能となる。たとえば署名用電子証明書や利用者証明用電子証明書として利用でき、e-Taxでの申告時やマイナポータルへのログイン、コンビニでの各種謄本、抄本、住民票等の発行で使える。

「マイナ保険証」のスマホ利用はどこまで進んだか

オンライン手続きにおいて、マイナンバーカードで本人確認ができる事業者もある。携帯電話会社(MNO)は4社共に対応している。

これまでは、スマホのカメラで自分の顔と免許証など本人確認書類そのものを撮影したりと、何かとめんどうくさい作業が必要だったeKYCだが、オンライン上で完結する本人確認手続きのときにマイナンバーカードが使えるので作業はとてもラクになった。また、マイナンバーカードが運転免許証としても利用できるようになった。

ホットな話題としては、健康保険証がマイナンバーカードを基本とする仕組みに移行し、2025年12月1日、すべての健康保険証の有効期限が満了した。考えてみれば、顔写真もない紙の保険証が本人確認書類として使えていたほうが不思議なくらいだ。

ただ、マイナンバーカードを保有していない人には「資格確認書」が無償で交付されるので、これまで通りの運用もできるのが中途半端で解せない。高齢者などで、役所に行ってマイナンバーカードを発行してもらったり、発行してもらっても、認知の問題などで、パスワードを含めてきちんと管理するのが困難だったりする人々は、どうすればいいのかという課題もある。施設などに入所している場合も、管理を事業者の従業員に委ねることは認められていないからだ。

すでに一部の医療機関では、診察券とマイナンバーカードが一体化しているところもある。さらにはスマホをマイナ保険証として使える医療機関が拡大している。これまではマイナンバーカードそのものをセンサーにかざす作業が必要だったが、今後は、スマホを使って利用することもできる。

現時点でAndroidでは必ずPIN入力が求められ生体認証が使えないが、iOSなら顔や指紋で認証できる。11月11日現在、スマホのマイナ保険証対応医療機関や薬局は42,850件だという。これからもどんどん増えるだろう。対応が遅れているのはスマホのNFCを読み取るハードウェア待ちのためだが、これに関しては、どうして最初からそれができるように準備しておかなかったのかと思う。

物理カードは大事に保管、デジタルならではの便利さも

あらゆることがマイナンバーカードでできるようになり、そして、スマホで同様のことができるようになる。

これだけの機能を一枚のカードに集約してしまって、もし物理カードを紛失したらと思うと、機能の集中にためらいを感じるかもしれないが、発行する側も、再発行のスピードアップを実現しようとしている。

ただ、スマホがマイナンバーカードのコピーとして機能するようになるのだから、物理的なカードは自宅に大切に保管しておくのもひとつの手だ。

物理カードだけだとそうはいかない。自宅に保管しておけば紛失したり盗難に遭ったりすることもないだろう。それがデジタルの便利なところでもある。