日本マイクロソフト、宗像淳氏

「今の小学生のうち、6割以上は、今存在しない職業に就く。自分で自分の未来を切り拓いていかなければならないのです。だからこそ、自分を発信する力を身につけてほしい」。

小学生を対象にしたプレゼンコンテストの決勝大会に、NECパーソナルコンピュータ、東芝、富士通とともに協力した日本マイクロソフトだが、審査員として登壇した同社執行役コンシューマー & パートナーグループ オフィスプレインストール事業統括本部長の宗像淳氏の挨拶の言葉だ。

第2回目となるこの大会、今年のテーマは「学校・地元・家族自慢」で、昨年9月に全国の小学生を対象に作品を募集、合計1751作品の応募があり、グループでの参加もあり、その参加者は3678名に達した。2月7日に日本マイクロソフトの品川本社で開催された決勝大会では、その1751作品から1次審査、2次審査を勝ち抜いた10組の小学生が戦った。

特別審査員の田中理恵さん

特別審査員として元体操選手の田中理恵さんも駆けつけた。田中さんは、東京オリンピック招致のときの自分のプレゼンテーションを振り返り、とても緊張したことを思い出したと述べ、その緊張の中でもみんながんばってほしいと戦う小学生たちを激励した。

予定審査時間を30分近く延長した厳正なる審査会議の結果、主催の朝日小学生新聞賞を受賞したのは、加藤千尋(4年生)、西野文華(4年生)、山田陽和太(4年生)さんらによる福井県越前市立岡本小学校チームだった。「神と紙のまち岡本」をテーマに越前和紙の産地である地元をアピールした。

審査会議は予定審査時間を延長。プレゼンは、どれも甲乙つけがたい優れた内容だったということだろう

また、NEC賞として「あの有名人が愛した能!」福島県会津若松市立日新小学校チーム(寺田一瑳(6年生)宮川祐真(6年生)佐藤直也(6年生)小島のどか(6年生)さんら)、東芝賞として「ビバ! ぼくらのあそび場」東京都世田谷区立桜丘小学校、東京都世田谷区立城山小学校混成チーム(橋本大駕(4年生)、渡邊岳大(6年生)、渡邊春菜(3年生)さんら)、富士通賞として「輝き続ける清泉小学校」神奈川県清泉小学校チーム(雨宮真子(6年生)、石田結愛(6年生)、森万由葉(6年生)さんら)が各賞を受賞した。

福井県越前市立岡本小学校チームの「神と紙のまち岡本」が朝日小学生新聞賞

福島県会津若松市立日新小学校チームの「あの有名人が愛した能!」がNEC賞

東京都世田谷区立桜丘小学校、東京都世田谷区立城山小学校混成チームの「ビバ! ぼくらのあそび場」が東芝賞

神奈川県清泉小学校チームの「輝き続ける清泉小学校」が富士通賞

マイクロソフトは、Officeの活用領域を、仕事の現場としての企業オフィスのみならず、家庭や学校といったところまで拡げようと、さまざまなチャレンジを継続的に行っている。こうしたイベントへの協力もその一環だ。

「もう、Microsoft Officeというネーミングはどうにかしないといけないかもしれませんね。何かいい製品名はないものでしょうか」と宗像氏は笑う。この大会を受け、プレゼン甲子園的なコンテストを定例化することも考えているそうだ。いわばデジタル版の「私の主張」といったところだろうか。

10組のプレゼンテーションは、本当にどれも工夫に満ちあふれた素晴らしいものだった。スクリーンに投影されるスライドに完結せず、リアルな小道具を使い、さらにアクションを交えたプレゼンそのものも勢いがあった。どんなに素晴らしいプレゼンテーションアプリとそれで作った工夫に満ちあふれたスライドも、子どもたちのプレゼンテーションの勢いの前には色あせて見える。東京オリンピックの開催される5年後でも、彼らはまだ中学生、高校生。大人にとっての5年間はアッという間だが、彼らにとっては想像を超えるような先の話だ。その果てしない未来が実にうらやましく感じられたのはナイショにしておこう……。

(山田祥平 http://twitter.com/syohei/ @syohei)