イヤホン、ヘッドホンの専業国内ベンダーとして知られるfinalが、完全ワイヤレスイヤホンZE3000「ウルトラ警備隊モデル」を、全世界3,000台限定で発売開始した。
7月17日には、神奈川・川崎の本社で新製品発売特別イベントが開催され、ウルトラセブンとウルトラ警備隊のハヤカワ・サトミ隊員(鵜川薫さん)も応援に駆けつけ、集まったファンの気分を盛り上げた。
「ウルトラ警備隊」を完全ワイヤレスイヤホンに
finalは、イヤホンの内部パーツからをすべて自社で開発するオーディオブランドだ。今回は、既成の完全ワイヤレスイヤホンZE3000をベースに本体はもちろん、充電ケース、パッケージなどに「ウルトラ警備隊」のユニフォームやヘルメットをイメージしたデザインを施した。
また、「電源入りました」「ペアリング開始します」「接続しました」「充電お願いします」といったガイダンス音声には、平成『ウルトラセブン』シリーズでハヤカワ・サトミ隊員を演じた鵜川薫さんを起用し、新規に撮り下ろしている。
イベントにゲストとして登壇した円谷プロダクションの藤田浩氏(営業本部シニアプロジェクトマネージャー)は、コロナ禍最初の緊急事態宣言の頃から始まった今回のコラボの経緯として、実は、円谷プロ側からアプローチして実現した企画だったと打ち明け、きちんとした音響メーカーとつきあいたかったからだとコメントした。
協業の話を進めていくうちに、発売を予定している2022年は『シン・ウルトラマン』が公開されるなど、いろいろ話題も多かったが、ウルトラセブンがちょうど55周年でもあるので、それを第一弾にしようということになったそうだ。
円谷プロが驚いたfinalデザイナーの仕事ぶり
藤田氏が驚いたのはオーディオメーカーであるfinalのデザイナーの仕事だったそうだ。
「他のプロダクションだと、プロダクションがデザインなどを作ることも多いのですが。円谷はそこが柔軟です。できればメーカーのカラーを出したいし、個性を出してデザインしてもらうことを要求します。そしてできあがったものを監修するスタイルが多いんです。
世の中のコラボ製品は、決まった柄を製品に貼るだけということも多いようですが、そうじゃないほうが楽しい。もちろんレギュレーションやカラーの指定などはいろいろありますが、いずれにしてもメーカーの仕事を、まず、プロダクションが楽しみ、そしてお客様に楽しんでいただくというスタンスです。
今回のものができるまでには、めちゃくちゃいいプランがたくさんありました。オーディオメーカーのデザイナーがこんな仕事をするなんてと、正直驚きました。ポインターやウルトラホークなどのメカを模したものもあって、どれを選べばいいのか迷いに迷いましたね」(藤田氏)
ちなみにイベント後にご挨拶した藤田氏は「実はこう見えて60歳なんです」と打ち明けた。リアルタイムでウルトラシリーズを体験してきたバリバリのウルトラ世代だ。
鵜川さん「感情を込めて録音、満足な仕上がり」
一方、音声で貢献した鵜川薫さん(ハヤカワ・サトミ隊員)も興奮気味に語る。
「撮影していた当時のことを思い出しながら、一人でアナウンスブースに入って、一人で敬礼するなどして気分を盛り上げました。はたから見ると変な人ですよね(笑)。感情を込めて録音して、満足な仕上がりになりました。
実は、ずっとエヴァモデル(EVA2020 × final 完全ワイヤレスイヤホン)を使っていたんです。それで、クラシック音楽を聴いているときに、奏者の息づかいがきこえることに気がついたんです。何度も聴いている音源なのに、そんなこと初めてでした。それからずっとfinalユーザーです。だから、こちらからお願いしますという勢いで仕事を引き受けました。心からおすすめできるので、本当によかったです」(鵜川薫さん)。
完全ワイヤレスイヤホンとしてのZE3000は、その高音質で定評のある優れた製品だ。完全ワイヤレスイヤホンは特に、設計上の制約から、低域が強調された不自然なサウンドになりがちなのだが、独自のドライバと内部機構によって、ナチュラルなサウンドを実現しているという。
実際、装着して聴いてみるとわかるが、カナル型イヤホンとして耳穴に突っ込んで装着している圧迫感のあるサウンド傾向があまりなく、のびのびとした音場を楽しめる。
また、イヤホン製品のほとんどは、サイズの異なるイヤピースが同梱されているが、この製品では、SS/S/M/L/LLと、実に5サイズものイヤピースが同梱されている。もちろん、finalの自社開発・設計によるイヤピースだ。密閉度を少し高めるために標準で取り付けられているイヤーピースはやや大きめのLサイズになっているところにもこだわりが感じられる。
こうした遊び心にあふれる完全ワイヤレスイヤホンも、finalが作るとこうなる。