Windows 10の大型アップデートが始まっている。いわゆる「Windows 10 November Update」とされる機能更新だ。

  • Windows 10 November Updateが11月12日(米国時間)から提供開始された

最新バージョン1909は「安定版」的なもの

Windows 10は、最後のWindowsとされ、それ(10)以降のバージョンは提供されないことになっているが、年に2度、概ね、春と秋に機能更新が提供されることになっていて、初版のリリース以降、半年ごとに最新版が提供されてきた。直近で、これまでの最新版はWindows 10 バージョン1903だったが、それがバージョン1909に更新される。それが今回の機能更新だ。

ただ、今回の更新は、大型というよりも、累積更新プログラムに近いもので、10が11になったかのような派手なものではない。どちらかといえば春の1903の安定版という位置づけと考えてよさそうだ。

更新については日常通りにPCを使っていれば、自動的に適用されるはずだが、その自動更新の前に設定のWidnows Updateを使って手動で適用することもできるし、場合によっては更新の適用を延期することもできる。

ただ、予期しないタイミングでの更新はつらいし迷惑だ。さあメールの返事を書こうというようなタイミングで更新が始まると、一時的に作業ができない状態になってしまう。今回の更新では、PCが使えない時間はかなり短いようだが、それでも再起動を伴うなど、作業がストップする時間はゼロではない。

日常的にWindows Updateを確認しよう

やりたいことがあって、やるための道具が目の前にあるのに使えないというのは、仕事はもちろん、家庭で使われているPCでも腹立たしく感じるかもしれない。できれば時間的に余裕のあるときに手動で更新しておいたほうがストレスを感じないですむだろう。もはやこの手のスマートデバイスは使うときだけ使うというのではなく、いつも使える状態にしておくことが求められる。この大型アップデートに限ったことではないが、日常的な更新を含めて、日課的にWindows Updateを手動で確認し、アップデートがあればその場で更新することで、不意の更新を抑止するようにしておいたほうがいい。

「特に困っていることはないから更新は迷惑」というのは確かに気持ちはわからないわけではない。更新されることで今まで普通に使えていたアプリが正常に使えなくなることもあるかもしれない。だが、そういうアプリを常用し続けることそのものは、今後、考えなおした方がいい。

確かに、更新そのものの不具合が出揃って、その対策が為されてからアップデートするのがもっとも安全だが、更新に即座に対応できないアプリは、その開発体制に問題が潜在している可能性が高い。更新の不具合については、マイクロソフトが懸命に対処するはずだし、それが信じられなければWindowsを使い続けることそのものをやめるしかない。

Windows 7サポート終了に向けた準備を

Windows 7のサポート終了が2020年1月に迫っているが、今の時期になってその対応に忙殺されているのは、もしそれが専任のシステム管理者が常勤しているような組織であるなら業務の怠慢、予算的な問題だとしたらその組織のIT管理そのものの人為的なセキュリティホールだといえるだろう。

料理人が毎日包丁を研ぐようなもので、自分の仕事や暮らしに欠かせない道具には、メインテナンスが必要だ。よく、PCの専門家ではないユーザーがトラブル時に漏らすセリフに「何もしていないのに……」というのがあるが、実は、何もしていないからトラブルに陥るということも少なくないのだ。

すでに次期20H1のインサイダー向け更新も始まっている。2020年の春がターゲットだが、こちらは大きな機能アップデートとなるはずだ。その直後のタイミングで五輪も開催されることになっている。その五輪を支えるITインフラが、今現在、どのバージョンのWindowsで構築されるのか、あるいはされているのか、エンドユーザーであるわれわれは知る由もないが、ありえない場所で、Windowsのブルースクリーンを見るようなことがないように、関係者各位にはがんばっていただきたいと思う。

(山田祥平 http://twitter.com/syohei/ @syohei)