KDDIが「おもいでケータイ再起動」を、原点の新宿で3年ぶりに開催した。
今回au SHINJUKUで開催した「おもいでケータイ再起動」は、2019年7月5日から7日まで、毎日先着130名を事前予約制でサポートし、ユーザーが過去に使っていた携帯電話を持ち込んでもらい、それを充電、再起動し、端末内に残っている思い出の写真をプリントしてもらったり、写真やメッセージデータを取り出してもらえるという趣向だ。いわゆるガラケーが対象で無料、au以外の端末でもOKという太っ腹イベントということもあり、予約はイベント開始前にいっぱい。次の開催が待たれる。
同社では、2016年のau SHINJUKUを皮切りに、全国行脚でこのイベントを展開してきたが、今回の開催をきっかけに、再び、全国各都道府県を網羅するべく開催していく。直近の開催地については、サイトに掲載されているので、チェックしてみてほしい。
ケータイは放っておくと電源が入らなくなる
昔使っていた端末に電源が入らず、その中に、思い出の写真やメッセージ履歴が残っていることがわかっているのに、それを見たり、取り出したりできないことにもどかしさを感じてる人はかなりの数いるそうだ。
バッテリが切れているなら充電すればいいじゃないかと思うが、実際、そううまくはいかない。充電器を接続しただけでは、電源が入らないのだ。KDDIでは6割くらいの人が電源が入らないとしている。
その理由は、長期間充電していないと電池パックそのものが過放電し、完全放電の状態になってしまうからだ。当初は、同社でも、こればかりはどうにもならないと、それでいったん企画はペンディングとなった経緯もある。
ところが、修理時に利用するバッテリーテスターに、電池パックの故障判定ツールが装備されていて、それを使えば、バッテリを復活させることができるのではないかと考えたスタッフがいた。
実は、端末の充電器は、充電器というよりも、ACアダプタにすぎない。充電のための回路は端末側にあり、それが充電を制御しているのだ。ところが完全放電した電池パックは、その充電回路を起動することもできない。だったら、充電回路がなんとか動き出す程度までをバッテリーテスターで充電し、続きはもっとも安全とされる普通の充電器で行うことにした。
具体的には出力される電圧が3.7Vまで低下してしまった電池パックの電圧が4.2Vになるまで微弱な電力を送り込む。約3分間で充電回路を動かせるまでバッテリ機能が復活するという。そのまま端末を使うには力不足でも、中のデータを取り出す程度なら十分だ。
このバッテリテスターは、当初、社内に5台くらい存在したものだそうだが、電池パックの復活機能に特化したものを機器メーカーに依頼して再生産し、今は50台くらいで運用しているという。
大事な写真データ、クラウドでうまく管理を
こうして始まった全国行脚も、活動実績として体験者3,000名以上46カ所を数えるまでになった。満足度97%を誇るという。イベントが終わったあとに開催を知った人も多く、終了後に次はいつかと問い合わせがあることから、イベントの認知が進んだとして、あらためてもういちど全国行脚を再スタートする。
また、出張開催も開始した。10名以上のグループや団体などの応募があれば、ママサークルや同窓会、フットサル仲間などを対象に、機材を持って出張してくれるという。ユーザーがあきらめていることをKDDIのアセットで解決し「期待を超える体験価値」を提案し続けていくと同社はいう。
ちなみに、充電が開始できるところまでをサポートすれば、あとは自力で解決することができるユーザーも多いのではないかときくと、参加者として40代の女性がもっとも多いなかで、そこまでのリテラシーを持つユーザーはあまりいないのだそうだ。
今や、スマホが主流になってきているが、基本的な充電の仕組みは同じだが、電池パックを取り外せない以上、ガラケー電池パック完全放電後再生の仕組みを使って再起動することは難しい。次の世代のおもいでケータイは、いったいどうなるのかが、今から気になってしまう。大事な写真のデータは、端末内に放置せずに、うまくクラウドを使い、未来永劫、支障なく見れるようにしておくことをおすすめする。
(山田祥平 http://twitter.com/syohei/ @syohei)