創業100周年を迎えるオリンパスが新OM-D E-M1Xを発表した。
OM-D E-M1Xは、プロフェッショナルモデルとして位置づけられるマイクロフォーサーズミラーレス一眼カメラだ。昨今のトレンドとしては、フルサイズミラーレスが盛り上がっていて、ニコンもキヤノンもその方向に走っているが、フルサイズミラーレスが盛り上がれば盛り上がるほど小型軽量マイクロフォーサーズの存在感は高まるとオリンパスの笹宏行社長はいう。フルサイズミラーレスへの参入はまったく考えていないと宣言する。
会場がざわついた驚異の手ぶれ補正
そして登場したOM-D M1Xだが、縦位置グリップを持ち、そのホールディング性を高めているほか、世界最高7.5段分の手ぶれ補正というのも驚異的だ。発表会では100ミリ焦点距離(35ミリ換算200ミリ)で4秒間の手持ち撮影作例が披露され、会場がざわめいていた。これはボディー単体の最高約7.0段分に加え、レンズ「M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO」と本体を組み合わせることで、世界最高約7.5段分となる「5軸シンクロ手ぶれ補正」で実現するものだ。手持ちで4秒って、ゴルゴ13でも無理じゃないかと思うくらいなのだが、テクノロジーの進化はすごい。
また、2つのバッテリを装着できるシステムとなっていて、一脚や三脚をつけたままで交換ができるほか、USB Type-C PDによって充電が可能となっている。発表会での説明員によれば最大15V3Aの45ワットだというのだが、プレスリリースには100ワットとある。これはPD規格の最大PDP(Power Delivery Power)のことを指しているのだろう。このあたりはPD浸透期の混乱が感じられる。ちなみにバッテリへの充電ができるのはカメラの電源がオフのときだけとなっている。
さらにはカメラがさまざまなセンサーを内蔵しているのもいい。GPSはもちろん、温度計、気圧センサー、コンパスといったフィールドセンサーによって温度や標高、方位を記録する。人工光の明滅周期をカメラが検出するフリッカーレス撮影も興味深い。何よりIPX1より厳しいとされる社内防滴試験をクリア、プロの写真家が出会うであろう過酷な環境でも撮影できるという。
内蔵Wi-Fiも5GHz対応していたりするのが嬉しい。また、いっさい音を出さない静音モードが用意されたので、コンサートや舞台の撮影などにも重宝するはずだ。
プロの機能を凝縮した結果、フルサイズ一眼並みの重さに
ともあれOM-D E-M1Xは、プロの写真家が求めている機能を凝縮したようなハードウェアスペックを、さらにさまざまな画像技術が固めているイメージの、まさにプロ用カメラだ。
そしてその代償が本体で約997gという重さになる。これはバッテリ2個を載せた重さで、本体のみの重さは849g。ここから逆算するとバッテリ1個のときは約920g前後といったところか。
たとえばニコンのフルサイズ一眼レフD850は1005g、キヤノンのフルサイズ一眼レフEOS 5D Mark IVは890gだ。
マイクロフォーサーズであること、ミラーレスであることを考慮すると、本当は驚愕の軽量を実現してほしいとも思う。とはいえカメラはシステムだ。何本もレンズを交換しなければならないことを考えれば、レンズが軽いマイクロフォーサーズは総重量の点では有利かもしれない。
オリンパスでは574gのOM-D E-M1 Mark IIも併売するという。しかも2月22日にはシルバーボディーを100周年記念限定カラーモデルとして発売する。だが、個人的にはOM-D E-M1Xと同等の機能を実装したOM-D E-M1 Mark IIIの発売を期待したいところだ。