7月24日(現地時間)に米国で2世代目にあたるNexus 7が発表されました。さっそくこれをオーダーし、知人に転送を頼み、これを入手しました。日本での発売も予定されているようです。

これを「新しいNexus 7」などと言ってしまうと、なんだか良く解らなくなってしまうので、発売年を付けて「Nexus 7(2013)」として、昨年発売されたNexus 7(2012)と区別することにします。このNexus 7(2013)は、機種名としてはK008などという型番があるようですが、Google側では「flo」(Wi-Fi版)、「deb」(LTE版)というデバイス(ハードウェア)のコードネームを持っています。ちなみにNexus 7(2012)は、「grouper」(Wi-Fi版)、「tilapia」(3G版)というコードネームになっています。

外観

外回りですが、前世代のNexus 7(2012)よりも薄く、横幅が短くなっていますが、縦方向(長辺)は少し長くなっています。ただし液晶のサイズはどちらも7インチ(マニュアルの表記だとNexus 7(2012)が7インチ、Nexus 7(2013)が7.02インチ)で縦横ともに同じサイズなので、液晶の周囲、俗に「額縁」と呼ばれる部分が小さくなっています。

Nexus 7(2012)の上にNexus 7(2013)を置いたところ。Nexus 7(2013)のほうがわずかに横幅が短く、縦が長い

重量は、290グラムと、前世代より50グラム軽くなっており、手に持つとやはり新しいNexus 7のほうが軽く感じます。重さや薄さの違いは、おそらくバッテリ容量の違いに起因しており、Nexus 7(2012)で4325mAhあったバッテリは、2950mAhにまで下げられています。これは前世代の7割以下になります。重量の差は、このバッテリの容量の差に起因する部分が多いと考えられます。

ホーム画面に配置できるアイコンの数などは同じで、液晶のサイズもほとんど同じ

匡体は、プラスティック状で全体がバスタブのような一体型であり、正面に液晶保護ガラスがはめ込んであるような構造です。Nexus 7(2012)が背面、側面で部品が違っていることを考えると、薄型化のために構造がかわったのだと思われます。

背面部分は、いわゆる「梨地」仕上げですが、表面は「しっとり」とした感じのある塗装が行われています。前世代では、背面の素材にすこしべたつきが感じられ、表面の細かい凹凸は、それを軽減するものという感じでしたが、Nexus 7(2013)は、そういう感じはなく、すべすべしっとりという感じで持った感じはそれほど悪くありません。横幅も狭くなっているで、片手で親指と中指、薬指で両側から挟むように持ったときの感じが2012年版と大きく違います。筆者は、どちらかというと手が大きいほうではなく、2012年版Nexus 7は持ちにくいというほどではないものの、少しストレスを感じていました。しかし、2013年版のNexus 7は、わりと素直に持っていられるという感じに仕上がっています。

ただ、側面のボタンは飛び出している部分が小さくなり、指の感触で探るのが少し難しくなったようです。Nexus 7(2012)では、指先の感覚だけで迷うことなく電源ボタンに指をかけることができたのですが、Nexus 7(2013)では、ボタンの位置を捜すのにちょっと迷います。匡体が背面に向かってすぼまるような形状なので、正面からボタンを直接見ることができず、電源ボタンと本体の間の段差が小さく、Nexus 7(2012)のようにはっきりとした触覚がありません。筆者の場合、画面キャプチャーで電源ボタンを触る頻度が高いので、気がついたのですが、普通のユーザーならそれほど問題ではないのかもしれません。

背面のロゴは、前世代が縦向きにしたときに正しく読める方向だったのに対して、2013年版は、90度違っていて、横向きにしたときに正しく読める方向になっています。

このロゴ自体に機能はないのですが、Nexus 7 2012では、NFCアンテナの位置を示す印として機能していました。このロゴとその上あたりまでがアンテナの位置だったのです。

これに対してNexus 7(2013)では、ロゴ中央の「x」が本体の中央付近になり、ここがNFCアンテナと無接点充電のコイルの位置を示しています。

背面。Nexus 7(2013)では、nexusロゴが横向きになった。また、表面は梨地仕上げで触るとしっとりした感じがある

ハードウェア

ハードウェア的な構成としては、CPUやメモリの違いもありますが、大きな違いはリアカメラの搭載でしょう。前世代のNexus 7は、性能的にはおおむね満足できたのですが、背面カメラがないために、カメラを使うアプリケーション、たとえば、QRコードリーダーなどを使うのがちょっと不便でした。また、カメラを使ってドキュメントを取り込むアプリも解像度などからほとんど使うことが困難でした。

しかし、今回はオートフォーカスの5メガピクセルのカメラが本体背面、左上に付いています。特にカメラとして性能が優れているようでもありませんが、持ち歩く機器としては背面に高解像度のカメラが付いたというのは大きなメリットといえるでしょう。

また、相変わらず「バイブレーター」はついていませんが、本体正面、USBコネクタ側にLEDが搭載されています。メッセージの着信などを表示できるのは、結構便利です。Nexus 7(2012)では、メッセージや新着メールなどの通知音を出すことができましたが、音を聞き漏らしたら、電源ボタンを押して画面を確認しないかぎり、メッセージの有無を確認することはできませんでした。

通知用LEDが搭載されたので「設定」→「ディスプレイ」には「光を点滅させて通知」が追加されている

また、ヘッドホン端子の位置が、下から上に変わっています。筆者的には使い勝手はどちらも同じと思っていますが、長年の感覚からすると、なんとなく上のほうが自然な感じはします。

なお、USBコネクタはNexus 7(2012)と同じく下側で形状はマイクロUSBですが、Slimportという仕様になっていて、専用のアダプタを接続することで、HDMIなどに変換することが可能です。信号としてはDisplay Portの信号になっていて、接続したアダプタを判別してUSBとの切り替えを行っているようです。ただし、アダプタはオプションで別途ユーザーが用意する必要があります。

液晶のサイズはほぼ同じですが、解像度が1920×1200と向上しています。また、発色などもNexus 7(2012)よりもいいように感じられます。同じ写真を表示させてみると、階調表現の幅が広がっていて、Nexus 7(2012)では白飛びに近い感じの表示になってしまう部分も階調が区別できるような表示になっています。もっとも、解像度の違いなどが影響している可能性もあります。

左がNexus 7(2013)。どちらも最大輝度を設定。2013版のほうが輝度が高いようだ。解像度の違いもあるが、2013版のほうが階調が細かく出る感じがある

とはいえ、これで1080pのHD動画を表示できるようになり、コンテンツプレーヤーとして期待できます。スピーカーもステレオになっており、本体の上下(短辺側)に配置されています。サラウンド機能があり、ステレオ感を強く感じることができます。ただ、ただしくステレオ再生するには、本体を横向きで使いスピーカーが左右に来るようにしなければなりません。

ソフトウェア

Android 4.3(Jelly Beans MR2)の変更点などは、前回解説したので、ここでは省略します。なお、前回の記事で「MR」をマイナーリリースと表記していましたが、正しくはメンテナンスリリースです。訂正させていただきます。

Nexus 7(2013)の電源を最初に入れたとき、初期設定の途中で強制的にシステムアップデートが入ります。その後、初期設定を完了したあと、システムアップデートがOTAで入りました。初期状態のJelly Beansは、ビルド番号がJWR66Nでしたが、アップデート後にJSS15Jとなりました。なお、Nexus 7(2012)のWi-Fiモデル(grouper)は、JWR66Vになっています。

JWR66Vは、android 4.3リリース1であり、JSS16Jは、android 4.3リリース2.1になります。わずかですが、違いがあるようです。

購入直後にアップデートが行われ、初期設定が済んだ時点では、ビルド番号はJWR66Nだが、すぐにアップデートが行われJSS15Jになる

また、android 4.3から搭載された規制マークの電子表示ですが、米国から入手したものに関わらず、日本のVCCIマークと技適マークが確認できました。

「設定」→「タブレット情報」→「規制情報」には、ちゃんとVCCIと技適マークがある

なお、グーグルのサイトによれば、Nexus 7(2013)は、Bluetooth SmartReadyになっているとのことでしたが、筆者の手元にあったBluetooth Smartデバイスを検出することができませんでした。このデバイスは他のシステム(Windows 8やiPadなど)では検出できているので、動作はそれほどおかしくないとは思われるのですが。このあたりは後日、いろいろなデバイスで試してみたいと思います。

背面カメラの装備など、これまでのNexus 7(2012)で弱点と思われていた部分が改良されたうえ、薄型化しており、後継機種としては及第点といえるでしょう。日本での販売も予定されており、そうなると入手もしやすく、かなり普及した機種になるのではないかと思われます。

本稿は、2013年8月9日にAndorid情報のWeb専門誌「AndroWire」に掲載した記事を再構成したものです。