日本でも、ついにNexus 7の販売が始まった。米国では、8ギガバイト版が199ドル、16ギガバイト版が249ドルで販売されているが、日本国内では、16ギガバイト版が19,800円。もっとも、レートを計算してみると79円とそれなりのレート。苦労して海外から購入するよりもいいだろう。199ドルで79円換算なら15,721円とかなりお安い。ただ、アメリカだと消費税は9%程度になるので、実際の購入価格は200ドルを超える。
実は筆者は、先々週、米国でNexus 7を買って、米国で先に触って評価していた。今年6月に発表されたものなので、すでに、実機の評価はいろいろとある。なので、ここでは、少し使いこなしを交えつつ、Nexus 7の話をしよう。
標準でホーム画面にあるのは、自分のライブラリにあるコンテンツを画面全体に表示する「大きな」ウィジェット。また、ホーム画面下の固定領域も、あるいは、Play BookやPlay Movieなどのアイコンになっている。ちょっと大きい感じはするが、Android 4.1は、ウィンジェットサイズの変更が可能なので、小さくしてしまえばいいし、不要なら削除しても問題はない。ウィジェット自体を長押しすると、選択状態となる。そのまま、画面上部の「×削除」までドラッグしていくと削除できるし、一回指を離すと、周囲に青い枠が出る。この状態で枠の大きさを変更できる。このウィジェット(マイライブラリ)は、大きさに合わせて表示を制御してくれるので小さくしても問題ない。なお、このマイライブラリウィジェットは、新規に配置するときに、「ライブラリ全体」、「マイブック」だけ、「マイムービー」だけを選択できるので、必要に応じて、使い分けるといいだろう。
ホーム画面の初期状態から見ると、かなりGoogle Playのコンテンツを重視している感じはする。Nexus 7は、Google Playというストアのための端末といえそうだ。だから価格にもこだわったのであろう。この点では、AmazonのKindleと同じ考えだ。ただ、ゲーム専用機のように、量産後のコストで価格を算出しているのかどうかは疑問だ。取り扱う店舗の利益は薄いようだし、通販が中心のようなので、原価割れしているとまではいえないだろう。
Android 4.xデバイスなので、本体正面には、ボタン類は一切なし。液晶面に見えるのは、上部にあるカメラ(Nexus 7にはバックカメラはない)とLEDぐらい。かなりシンプルな感じだ。
操作は、画面下部に「バック」、「ホーム」、「タスク」の3つのソフトキーが表示されてこれを使う。側面にあるのは、ボリュームキーと電源ボタンのみ。ヘッドホンジャックは、本体下部側面にある。Tipsになるが、アプリの実行中でも、画面下部のホームアイコンから上に指を滑らせ、表示されるGoogleロゴの上で離すと、入力待ちなしでGoogle Nowが起動する。慣れると、片手で持って、親指で操作できないことせない。もっとも、それほどGoogle Nowを使うのかというとそうでもないが……。
また、Nexus 7は、画面を横向きにしても勝手に画面が切り替わることはない。このため、通常は縦長の状態で操作することになる。ただし、ビデオ再生のときなど、横長の表示を必要とするアプリは、勝手に横向きに切り替える。Nexus 7は解像度が高め(1280×800ドット)なので、短辺方向にも十分なドットがあり、テキストを表示させても、それほど読みにくくならない。ジャイロセンサーも搭載されているので、どうしても回転させたければ、rootを取って、設定を変えることはできる。
ただし、横向きで映画を再生しているときには、上下を入れ替えると、画面の向きも上下が逆になる。この動作はアプリケーションに依存するようで、横向きになるからといって必ずしも回転するとは限らないようだ。
7インチだとスマートフォンと同じく縦持ちのほうが持ちやすいのはたしか。また、持ち歩くときには、画面の回転を煩わしく感じることもある。Acerの7インチタブレットIconiaTab A100には、画面回転ロックのスライドスイッチがあった。必ずしも自動回転がいいというわけでもなさそうだ。
GUIの基本スタイルは、スマートフォンもタブレットも縦というスタンスなのか、理由ははっきりとしないが、少なくともNexus 7は縦持ちで使えとGoogleは主張しているようだ。
7インチだと、10インチと違って、手頃なサイズ、重さなので、持ちやすさが違う。サイズが小さいと、手にかかるモーメントも小さく、取り扱いが10インチよりも楽だ。特に、日本だと、電車の中で立って電子書籍を読むような場合に片手で持ったまま、ページめくりぐらいならできる大きさである。さすがに、片手で、ソフトウェアキーボード入力は少し困難を感じるが、メールを見るだけといった操作なら十分可能だ。
ただ、本体側面は、液晶側から裏側に向かって角度が付けられているため、カバーなどを付けると、右側面のボリュームボタンが触りにくくなることがある。本体正面はゴリラガラスで強靱とはいえ、背面はプラスティック、側面は金属である。落としたり、ぶつけたりすることを考えるとなんらかのカバーぐらいは欲しいところ。
なお、Nexus 7には、液晶側に磁気センサーがあり、液晶面カバーに組み込んだ磁石で、自動的に画面をオフにする機能がある。磁気センサーは、ホーム画面左下の固定領域の左端のアイコンのあたりにあり、この上に磁石を置けば、自動的に画面がオフ状態になる。冷蔵庫などに紙などを固定するマグネットは、動作したが、ゴム磁石では磁力が弱くてダメだった。
このため、専用ケースを探すときには、磁石の有無は確認した方かいいだろう。カバーを閉じると画面がオフになり、自動的にスタンバイ状態となる。
また、手元に薄くて強力な磁石があるなら、自分でケースやカバーに取り付けても、動作する。筆者は、サンワサプライの電子ブックリーダー用の2つ折りカバー(タブレット手帳ケース。PDA-TABT7)をNexus 7用に使っているが、カバー側にあるポケットの内側に円盤型の磁石を取り付けてある。Nexus 7は、背面にカメラがないため、必ずしも専用ケースでなくても使えるというメリットもある。デジカメやスマートフォンもあるし、タブレットにはバックカメラは必ずしもなくていいだろう。
Nexus 7専用ではないが、とりあえずの保護用に購入したサンワサプライの「タブレット手帳ケース PDA-TABT7」。ヨドバシカメラで1,560円で入手 |
カバー裏のポケット部分に磁石を付けてみた。なお、磁気センサーは、ホーム画面左下、写真のChromeアイコンのあたりにある |
映画などを見る場合、さすがに1時間以上、手に持っているのも疲れるし、テーブルや膝の上などに平らに置くと、上からのぞき込むような体勢になってしまって、首が疲れてしまう。普通にアプリを使うときには、スタンドの必要性はほとんど感じないのだが、1時間程度の動画を視聴するときには、かなり気になる。できれば、カバーやケースなど、横向き角度を付けて固定できる手段を用意したおいたほうがいいと思う。ただ、スタンドになるからといって、あまりごついケースもどうかと筆者は思う。7インチのコンパクトさや軽さを生かせないのも考えものだ。
なお、前述のように動画再生時は、長辺のどちらを上にしても画面が回転して正しい向きになるので、前述のブックカバー型の手帳タイプケースでも、カバーを折り返すようにすれば机などに角度を付けて立つようになる。
本体下部側面には、マイクロUSBコネクタがある。これは、PCなどとのUSB接続に利用するほか、充電にも使う。これまでは7インチのタブレットでも、電源は専用コネクタというものが多く、専用のACアダプタを持ち歩く必要があった。しかし、Nexus 7は、PCのUSB端子やUSB出力型のACアダプタが利用できる。Nexus 7同梱のACアダプタは、USB出力型なので、これを持ち歩いて、他の機器の充電に使うこともできる。これは、以外に便利な点だ。
もう1つ、このUSBコネクタは、マイクロUSBのB型だが、OTG(On The Go)になっている。ホストケーブルを使えば、Nexus 7はUSBホストとして動作し、USBキーボードなどを接続できるようになる。なお、OTGでは、USB端子をホストとして動作させるか、クライアント側として動作させるかは、信号ピンで切り替えているため、ホストケーブルの結線になっていないものは、コネクタの組み合わせ的にOKでも、ホストとして動作しないので注意されたい。
もし、自宅などで、メディア再生用などにNexus 7を使うのなら、Bluetoothを使って、PC側のスピーカーから音を出すように設定しておくと便利だ。配線はなにも必要ないし、一回、接続状態としてPC側、Nexus 7側を設定しておけば、Bluetoothの接続範囲内に入ったら勝手に接続してくれる。持ち出して、Bluetooth接続が切れれば、自動的にNexus 7は本体から音を出すようになる。
筆者は、Windows 7を動かしたPCにBuletoothアダプタにバッファローのBSHSBD08BKを使っているが、最近のアダプタであれば、おそらく問題はないだろう。
Nexus 7のBluetoothは常時オンのままでも消費電力への影響は感じられない。もともと、Nexusシリーズは、クレードルとの音声接続には、Bluetoothを使ってきたという実績があり、動作は安定しているようだ。
編集部注: 本稿は、2012年9月28日にAndorid情報のWeb専門誌「AndroWire」に掲載した記事を再構成したものです。