飛ぶ鳥を落とす勢いとは、まさに中華レンズのためにある言葉のように思えます。雨後の筍のように次から次に市場に新しいレンズが現れ、写りやつくり、そして価格など、我々写真愛好家の誰しもが納得できる完成度の高さ。現在のところ単焦点レンズがその大半を占めますが、焦点距離のバリエーションの豊富さなども魅力と述べてよいでしょう。今回のCP+でも、例年同様多くの中国メーカー製レンズが出展されました。ここでは筆者(大浦タケシ)が注目したレンズをいくつかピックアップしたいと思います。
まずは、個人的に外すことのできないと思えたのがKase社の提案する「REFLEX 150mm F5.6 AF」です。REFLEXと名がつくようにレフレックスレンズ(反射望遠レンズ)ですが、注目は焦点距離! 同社は昨年のCP+で、焦点距離200mmのレフレックスレンズ「REFLEX 200mm F5.6」を展示し、私たちを驚かしてくれましたが、さらにそれよりも50mm短い焦点距離のレフレックスレンズを出すとは衝撃的と言わざるを得ません。しかもフルサイズ対応としているのです。
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KASEが発表した「REFLEX 150mm F5.6 AF」。焦点距離150mmの反射望遠レンズとなります。AFに対応しており、マウントはソニーE、ニコンZ、キヤノンFE、富士フイルムGFX。日本での発売は5月を予定していますが、現時点での価格は未定です(KASE)
そもそも、レフレックスレンズは構造的に、また光学的に望遠あるいは超望遠といわれる焦点距離であるのが一般的で、これまでの常識でもありました。過去焦点距離の短いものといえば、ミノルタの「RFロッコール250mm F5.6」が私の知る限り一番短いものだったと記憶しています。
そして、このレンズはオートフォーカスに対応していることもトピック。レフレックスレンズは被写界深度が浅く、マニュアルでのピント合わせは難儀することが少なくなかったのですが、オートフォーカスであればカメラ任せの撮影が楽しめます。これまで、オートフォーカス対応のレフレックスレンズといえばミノルタ/ソニーの「AFレフレックス500mm F8」しかなかったので、それに続くものとして注目です。
現時点で発表されているマウントはキヤノンEF、ソニーE、ニコンZ、富士フイルムGFXの4種類。キヤノンRFで使いたい場合は、EFマウントにマウントアダプターを付ければ無問題でしょう。さらに、本レンズはファームアップ用のUSB(Type-C)ポートを備えるほか、付属するフロントレンズキャップはマグ ネットタイプとするのも見どころ。今回のCP+では、どのような写りが得られるか試すことはできませんでしたが、大いに期待できそうです。
日本代理店の担当者によると、中国での発売開始は3月10日、日本での発売は5月ごろを予定。現時点では価格は未定とのことです。ちなみに、昨年発売したREFLEX 200mm F5.6の日本国内価格は大手カメラ量販店で11万円ほどですので、それを上回るものと考えられます。なお、個人的にレンズの貸し出しをお願いしておきましたので、いずれその写りをお披露目できるかと思います。
そのほかの注目はMeike。今回CP+初出展となる香港のレンズメーカーです。小さな海外メーカーがCP+に初めて出展する場合ブースの広さは1コマが多いのですが、同社は2コマとしており、この見本市に対する力の入れようが分かります。扱うレンズは多く、説明を聞いている途中で分からなくなってしまうほど。ちなみに同社の創立は1997年で、歴史あるレンズメーカーといえます。
話を聞いたなかで、注目は開放値F1.8とし、35mm、55mm、85mmで展開するVOKINGシリーズ、AF85mm F1.4とAF24mm F1.4で構成する同社のフラグシップMIXシリーズとなるようです。そのほかマウントアダプターなども展示され、興味の尽きないブースでありました。なお、展示方法など今後末長く出展することを考えると、もっと整理し分かりやすくしたほうがいいのではないかと、取材するこちらが心配になるほどでした。
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Meikeの開放F1.8の新レンズシリーズ。フルサイズ対応で、焦点距離は35mm、55mm、85mmの3本をラインナップ。中央のレンズの焦点距離はミスプリントで、50mmではないとのこと(Meike)
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同じくMeikeのAPS-C専用レンズでそのホワイトバージョン。焦点距離は25mm、35mm、56mmですべて開放絞りF1.7としています。もちろんAF対応で、マウントはソニーE、ニコンZマウントなど用意するそうです(Meike)
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こちらはホワイトカラーバージョンの色違いでブラックバージョン。得られる画角を考えるとAPS-Cフォーマットのミラーレスとの相性はよさそう。35mmのレンズだけ、フードがなぜかこの角度にしか装着できませんでした(Meike)
最後はお馴染み焦点工房となります。“中華レンズ”を長年扱う商社として多くのメーカーのレンズ、マウントアダプターなどを展示。筆者が注目したのが、7ARTISANSの「18mm F6.3」でした。参考出品らしく詳細は分かりませんでしたが、フォーカスリングを回すと、鏡筒前面にある距離目盛りの描かれたリングもグルグルと回るユニークな構造。レンズに添えられた説明には「手に取って遊べる感覚、気分転換にもつながる1本」と書かれています。さらに「具体的な遊び方については現在検証・実験中」とも。思わずなんじゃこれとつぶやいてしまいました。
そのほか、非AiのFマウントニッコールのカニ爪を使って絞りを設定するマウントアダプター、Monster Adapter「LA-FZ11」も個人的には注目でした。
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遊び心満点のパンケーキレンズ。7ARTISANS「18mm F6.3」で、ピントリングを回すと、レンズ周囲のリングも回転します。遊び方は検証中とのことですが、ギミックとして面白く感じました(焦点工房)
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非AIのFマウントニッコールの絞り環をモーターで駆動し、Zマウントのカメラから自動露出制御のできるモンスターアダプターのマウントアダプター「LA-FZ11」。2026年内に発売予定。これを見たニコンの技術者がやられたと言ったとか(焦点工房)
中華レンズは、現在単焦点レンズが中心で、以前まではマニュアルフォーカス一択でしたが、最近ではオートフォーカス対応のレンズもあちらこちらで見かけるようになりました。それにより使い勝手が向上し、さらに多くのファンをつかんだものと思われますし、ブースの賑やかさがそれを証明していると言ってよいものです。今後を考えると、ズームレンズや超望遠レンズなど精力的に展開してもおかしくない状況ですが、果たしてどうなることでしょうか。動向が注目されます。
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例年、無造作にショーケースのうえにレンズを展示するのはYONGNUO 。写真はAF対応の新しいレンズシリーズで50mmF1.8。対応マウントはソニーEとニコンZとのことでした。カラーはブラックのほかホワイトもラインナップ(YONGNUO)

