2026年2月3日、都内でIntel Connection Japan 2026が開催された。AI PC分科会の最初に「インテル Core Ultra シリーズ 3 プロセッサー: 最新テクノロジーを融合した次世代アーキテクチャーの概要」という公演が行われた。講演したのはインテル IA 技術本部 部長の太田仁彦氏だ。
優れたプロセス技術と優れたデザインが組み合わさった優秀なプロセッサー
基調講演でも語られていたが、インテルは最先端の半導体製造技術と最新のx86アーキテクチャを共に持っており「素晴らしい製造技術と素晴らしいデザイン設計、この2つの実行が、まるで車輪の両輪のように相まって綿密に組み合わさったときに、本当に優良なプロセッサーができると考えています(太田氏)」と言う。
半導体製造技術のポイントは2つあり、一つはIntel 18Aという製造プロセスだ。最先端の微細化技術に加えて、同社で初となるRibbonFET(一般的にはGAA)を使用することでエネルギー効率で約15%の低減が行え、業界初の背面電源配線技術PowerViaによって約30%もの面積低減が可能になった。このようにIntel 18Aはインテルにとって大きなマイルストーンとなる製造プロセスだ。
優れたデザインという点では前世代のCore Ultra Series 2で登場した二つの製品である200Vと200Hのいいとこどりをしたのが今回のSeries 3であると太田氏は説明。プロセッサーの性能は高く、消費電力を抑え、トップからボトムまでスケーラブルな製品をそろえて、グラフィックス性能も高い。
トップからボトムまで提供するのに対して、大きく3つのコンフィグレーションを用意した。パッケージの大きさや配列は同じなのでOEMは同じマザーボードで複数のグレードの製品が提供できる。
具体的にはCore Ultraシリーズの登場以来使用しているチップレット構造のうち、コンピュートタイル、グラフィックスタイル、プラットフォームコントローラータイルをそれぞれ2種類づつ用意し、合計8種類の組み合わせから3種類を製品化している。
最もベーシックなグレードはコンピュートタイルがPコアとLEコアが2個づつの4コアで、これにXeコアが4つのGPUを搭載し、外部PCIeが12レーンのものだ。
上位グレードは二種類想定されており、4コアのXeのGPUは変わらないが、CPUにEコアを4つ追加した8コア構成に外部PCIeが20レーンのプラットフォームコントローラータイルを使用した製品、そして12コアのXeコアのGPUと8コアのCPUの製品(PCIeは12レーンまで)の製品となる。前者は外付けGPUや複数のSSDの取り付けと言った周辺機器を想定しており、後者は内蔵グラフィックスで最上位という位置づけだ。
製造プロセスとX86の改良によって最大27時間のビデオ再生が可能なバッテリライフ、最大77%向上したグラフィックス性能、最大60%向上したCPU性能と最大2倍のAI処理になった。
電力効率に関してはシングルコア性能で前世代と同じ処理を最大40%低い電力で実行できる。マルチコア性能では200V比で最大60%の性能向上しただけでなく、Thin&Powerful、Thin&Lightのどちらのカテゴリでも競合製品よりも高い性能をしめした。
最大27時間はNetFlix視聴の数値だが、Teamsをビデオエフェクトをかけても9時間できるが「(こんなに長く会議をすると)多分疲れ切っちゃって、仕事もほどほどでいいんじゃないか(太田氏)」と言えるほどの電池持ちがあると言う。
GPUに関しては5年ほど前にIntel Arc Graphicsという製品を22年のブランクを経て外付けGPUを投入し、その技術を内蔵グラフィックスにも反映させる戦略転換を行った。今回の製品群では12Xeコアの製品にIntel Arc B390というブランド名をつけ、性能をアピールしている。
内蔵グラフィックス製品ながらAI処理のためのXMXエンジン、強化されたレイトレーシングユニットを搭載し、L2キャッシュを大幅に増加させて性能向上を図っている。前世代と比較しても、競合製品と比較しても大きな性能アップが行われ「内蔵にとどまらず、ノートPCでも外付けのディスクリートGPUを搭載したモデルにも十分肉薄(太田氏)」するようになっている。
ゲームに関してはXeSS3をサポート。超解像度から開始したXeSSだが、次のXeSS2ではフレーム間をAIで生成するようになり、今回のXeSS3では最大3フレームを自動生成するようになり、XeSS3対応ソフトならば飛躍的にフレームレートがアップする。
Intel AI PCの総計算能力は40のデータセンターに匹敵
ここまで基本的なパソコン性能をしめしていたが、Core Ultraシリーズと言えばNPUも搭載しており、AI PCなしには語れない。
第二世代の200VシリーズはNPUが40~48TOPSとなりCopilot+PC、あるいはIDCが定義する次世代AI PCで、数年後もAI用途に使える製品と言える(参考記事ではトヨタ・コニック・プロ社がAI PCを全従業員に貸与した事例であり基調講演でも取り上げられた)。
IntelはAI PCの普及のためにISV、ソフトウェアディベロッパーのコミュニティをサポートし続けている。現在では350を超える会社に協力し、AI機能を持つアプリケーションも増えてきている。「知らず知らずのうちに、このアプリケーションの中で(AI機能が)実は使われているんですよというのが、まさに今始まりつつある(太田氏)」。
この数年の間にAIモデルの数も増えてきており、移り変わりも激しい。Intelもなるべく主要なモデルに関しては動作するように対応し続けている。また、個別対応ではなく、業界標準ともいえるPyTorch、Windows MLのような重要なフレームワークやAPIに対する対応や最適化も進めている。中でもマイクロソフトとの協業は大切で、Intel Core Ultra Series 3はCopilot+PCに完全準拠したものとなっている。
IntelがAI PC対応プロセッサを出荷し始めて数年経過しているが、これらすべてを合わせると4Z Opsとなるという。数字だけ聞いてもピンと来ないが、これは約40のデータセンターの計算能力に匹敵する。
現在AIサービスを提供している事業者においてはどこで演算が行われるかが自社のサービスコストに直結する。
すでにAIサービスにおける演算の在り方を見直し始めている事業者もおり、経済的かつ技術的ニーズがAIのハイブリッド事態を開き、AIが自ら他のAIやサービスを動かすエージェントAIの時代に突入する流れになる。
ハイブリットエージェントAIは要求するタスクに対して自律的にエージェントが動くが、その際MCPサーバーの仕組みを借りて、ローカルとクラウドにあるデータベースにセキュアにアクセスしてハイブリッドに最適解を出す仕組みで、IntelはAIスーパービルダーというアプリケーションでこの仕組みを提供している。
Intel Core Ultra Series 3はハイブリッドAIエージェントのようなものがローカルでも実行できる時代に突入し、ユーザーや事業者が最適なコストや電力でAIを運用する可能性を出している。
ここで重要なのは二大AIエンジンとなるGPUとNPUが正しく動作することだ。Intelプロセッサでは問題なく動作するベンチマークソフトが他社プロセッサの場合、動作しない組み合わせがある。
単に競合よりも性能が高いだけでなく、ハードソフトの両面で幅広い高い互換性をもっており「『インテルだったら動くよね』という期待に十分に応えられるものづくりに励んでいます(太田氏)」。
高いパソコン性能の上に互換性の高いAI機能を持つIntel Core Ultra Series 3プロセッサーを展示エリアで実際に確認して欲しいと述べ講演を終了した。























