CES 2026で発表されたPanther Lakeこと「Core Ultra Series 3」について、そのCESの会場内で、限られた環境ではあるが実機を拝借してベンチマークテストを実施する機会があった。Core Ultra Series 3が本当にIntelがアピールするほど高性能なのか、一端が垣間見える結果が得られたので、その内容をレポートする。

  • Panther Lakeこと「Core Ultra Series 3」のチップ。今回、このCore Ultra Series 3の実性能をテストできる機会を得た

    Panther Lakeこと「Core Ultra Series 3」のチップ。今回、このCore Ultra Series 3の実性能をテストできる機会を得た

Core Ultra X9 388Hの内蔵GPU「Arc B390」

今回試すことができたPanther Lake搭載PCの実機は、Lenovo製のノートPCで、Core Ultra Series 3の最上位モデルである「Core Ultra X9 388H」を搭載していた。このプロセッサはCPUコア数が16基(Pコア4基+Eコア8基+LPEコア4基)で、最大動作周波数は5.1GHz(Pコア)。内蔵GPU(iGPU)は「Arc B390」だ。

  • 今回のテストで使用したLenovo製のノートPC。モデル名はIdeaPad Pro 5

    今回のテストで使用したLenovo製のノートPC。モデル名はIdeaPad Pro 5

  • Core Ultra Series 3の最上位モデルである「Core Ultra X9 388H」を搭載。OSはWindows 11 Pro 25H2。メモリ容量は32GB、VRAM128MB

    Core Ultra Series 3の最上位モデルである「Core Ultra X9 388H」を搭載。OSはWindows 11 Pro 25H2。メモリ容量は32GB、VRAM128MB

  • Core Ultra X9 388Hは物理16コアの論理16スレッド

    Core Ultra X9 388Hは物理16コアの論理16スレッド

  • iGPUはArc B300シリーズ最上位の「Intel Arc B390」

    iGPUはArc B300シリーズ最上位の「Intel Arc B390」

  • NPUも新しい第5世代に移行しているが、OSからは「Intel NPU」とだけのシンプルな認識

    NPUも新しい第5世代に移行しているが、OSからは「Intel NPU」とだけのシンプルな認識

Core Ultra Series 3ではBattlemage世代のIntel Arc GPUであるArc B300シリーズを統合しているが、Arc B390はもちろん同シリーズの最上位で、演算処理ユニットの規模の目安となるXeコア数もシリーズ最大の12基を備えている。ちなみにXeコアの設計が同等とも言い切れないので単純比較はできないが、Battlemage世代でデスクトップPC向けのディスクリートGPU(dGPU)「Arc B570」のXeコア数は18基だ。

  • テスト実施にあたり時間制限等があったため、駆け足の内容になってしまうが、以下、出来る限りで計測できたPanther Lakeの性能をお伝えしたい

    テスト実施にあたり時間制限等があったため、駆け足の内容になってしまうが、以下、出来る限りで計測できたPanther Lakeの性能をお伝えしたい

それでは、このCore Ultra X9 388H搭載ノートPCで実施したベンチマークテストの結果を紹介していこう。なお、システムのOSはWindows 11 Proで、メモリ容量は32GB、VRAM128MBと認識されていた。

サイバーパンク2077

「サイバーパンク2077」(v2.31)のベンチマークモードで、標準プリセットを変更しながらゲーミング性能を計測してみた。XeSS 2が使えたので有効にしている。今回はクイックプリセットで「中」→「高」→「ウルトラ」と品質設定を上げていき、さらにレイトレーシングを有効にしてプリセット「中」と「ウルトラ」でfpsを測っている。

  • XeSS 2を有効にしている

    XeSS 2を有効にしている

各設定内容と結果は以下の画像の通り。このゲームでレイトレーシングを有効にするとさすがに"重い"が、それでも「中」設定であれば30fpsに届く場面もあった。レイトレーシングを無効にすれば、「中」でアベレージが60fps付近まで届き、下限で30fpsになる場面が許容できるなら「ウルトラ」設定で遊ぶことも現実的になる。

  • プリセット「中」

    プリセット「中」

  • プリセット「高」

    プリセット「高」

  • プリセット「ウルトラ」

    プリセット「ウルトラ」

  • レイトレーシング有効、プリセット「中」

    レイトレーシング有効、プリセット「中」

  • レイトレーシング有効、プリセット「ウルトラ」

    レイトレーシング有効、プリセット「ウルトラ」

ファイナルファンタジーXIV: 黄金のレガシー

「ファイナルファンタジーXIV: 黄金のレガシー」の公式ベンチマークソフトを試してみた。このベンチマークテストは以下のサイトにて無料配布されており、スコアだけでなく、ハードウェア環境の評価として「非常に快適」から「動作困難」まで、実動作時の目安を示してくれる。今回のCore Ultra Series 3のテスト結果と、各自の手持ちPCの性能比較もしやすいと思うので、活用いただきたい。

「ファイナルファンタジーXIV: 黄金のレガシー ベンチマーク」
https://jp.finalfantasyxiv.com/benchmark/

  • FF XIVベンチの公式が公開している評価の目安

    FF XIVベンチの公式が公開している評価の目安

結果は以下の画像の通り。設定は解像度1920×1080にて、プリセットで「高品質(ノートPC)」→「高品質(デスクトップPC)」→「最高品質」まで3段階に上げていった。高品質(デスクトップPC)でも「快適」判定で、最高品質でも「快適」を達成。スコアの内訳で平均フレームレートを見ても、高品質(ノートPC)では98fps、高品質(デスクトップPC)でも74fps、最高品質でも66fpsが出ており、良好だ。

  • 「高品質(ノートPC)」でのスコアは13760(とても快適)

    「高品質(ノートPC)」でのスコアは13760(とても快適)

  • 「高品質(デスクトップPC)」でのスコアは10596(快適)

    「高品質(デスクトップPC)」でのスコアは10596(快適)

  • 「最高品質」でのスコアは9194(快適)

    「最高品質」でのスコアは9194(快適)

Speedometer 3.1

ブラウザベースで動作するベンチマークテスト「Speedometer 3.1」で性能を測ってみた。ウェブアプリ処理の総合能力の測るテストだ。今回、ブラウザにはChromeを使っている。結果のスコアは30台中盤で、13/14世代Intel Coreの上位モデルを搭載するクラスのデスクトップPCに近いスコアが出た。ブラウザでSpeedometerのサイトにアクセスして実行するだけで計測できるので、各自の環境でも計測比較してみてほしい。

  • 何度か計測したがスコアは34~36あたり

    何度か計測したがスコアは34~36あたり

  • スコアの詳細

    スコアの詳細

ゲーム性能、XeSS 3対応なら倍率ドン?

ここまでのテストではXeSS 3の、特にマルチフレーム生成のテストができていなかったが、XeSS 3についても別の環境で少しだけ試すことができている。別途、IntelがCES会場の近隣ホテル内にて、リビングで楽しむゲームシーンなど、Core Ultra Series 3搭載PCの使用シーンを提案する体験ブースを出展していた。そこで、短時間ではあるがXeSS 3対応ゲームを用いたゲーミング環境を試すことができた。今回わかったXeSS 3で注目すべきポイントは2つあり、「マルチフレーム生成技術によってfpsが最大4倍になる」ことと、「バッテリ駆動中でも性能が落ちない」こと。

  • ここまでのテストとは別環境となるが、XeSS 3を有効にしたゲーミング環境も試すことができた

    ここまでのテストとは別環境となるが、XeSS 3を有効にしたゲーミング環境も試すことができた

まずfpsだが、XeSS 3オフ時のゲームプレイでフレームレートがおよそ60fps未満だったものが、XeSS 3適用で200fps超まで高速化した。さらに、ゲームプレイ中にAC電源のコードを抜いてシステムをバッテリ駆動へ移行しても、200fps前後の速度を維持した。バッテリ駆動時でも性能が落ちないということは、AC電源接続時のみ大電力で無理に性能を出しているのではなく、省電力性からバッテリ駆動で賄える電力内で最大性能が出せているということになる。ただ、PCメーカーの設計やWinsdowsの電源モードで、バッテリ駆動中の電力制限をどこまで規制するのかにもよるので、バッテリ持続時間重視のPCではこの通りにはならない可能性もある。

  • XeSS 3オフ時はおよそ60fps未満だったものが、XeSS 3適用によって200fps超まで高速化

    XeSS 3オフ時はおよそ60fps未満だったものが、XeSS 3適用によって200fps超まで高速化

  • ゲームプレイ中に、電源コードを抜いて見せる。バッテリ駆動へ移行してもfpsがほとんど落ちない

    ゲームプレイ中に、電源コードを抜いて見せる。バッテリ駆動へ移行してもfpsがほとんど落ちない

  • バッテリ駆動時のfps。200fps前後で安定

    バッテリ駆動時のfps。200fps前後で安定

改めてXeSSを少し復習しておくと、これはIntel独自の超解像技術で、低い解像度で出力した映像を、アップスケーリングで高解像度化するもので、GPU負荷を下げつつ高い映像品質を得ることができる。おおむね、NVIDIAのDLSSやAMDのFSRに相当する技術だ。Panther Lakeの内蔵GPUでは、その最新版であるXeSS 3を利用することができる。

そしてXeSS 3にはマルチフレーム生成技術のXeSS-MFGが含まれる。映像の1フレームと1フレームの間に、本来描画していなかった3フレーム分の映像をAIベースの技術で生成し、差分として差し込むことで、本来1フレームのところを計4フレーム(つまり映像を4倍なめらかに)してしまう技術だ。

  • XeSS 3のマルチフレーム生成技術。フレームとフレームの間に3フレームの差分を生成し差し込んでいる

    XeSS 3のマルチフレーム生成技術。フレームとフレームの間に3フレームの差分を生成し差し込んでいる

アップスケールとマルチフレームによる映像劣化やレイテンシ遅延のデメリットは、少なくと今回のCESでIntelが披露していたXeSS 3対応ゲームタイトルにおいて、目視で明確に感じることはなかった。DLSSやFSRと同様に、対応ゲームタイトルが増えてくると、特に素のGPU規模(=素の性能)をデスクトップPCほど大規模化できないモバイルPCでは、ゲーム環境が改善する恩恵が大きいだろう。

モバイル1台だけで解決する場面は増える

今回のテストだが、Intelが用意したCES会場内の一室からは機材を持ち出せず、さらに正味1時間弱の時間制限があるなかで実施が許されたものだ。ゆえに今回の内容はプレビュー程度に留まっているが、Core Ultra Series 3の、ことゲーム性能に関しては「看板に偽りなし」だったと判断していいだろう。これが世に出れば、ディスクリートGPU無しのモバイルPCのゲーム環境は飛躍的に改善するだろう。期待できるものであり、追って環境が整い次第、Core Ultra Series 3の性能を網羅したテストの機会も設けたい。

  • Intelが公開していたNVIDIA GeForce RTX 4050 Laptopとのゲーム性能比較グラフ。電力比でも、システム単位で60WのRTX 4050に対し、45WのCore Ultra X9 388H(Arc B390)と抑えた上で、ライバルに勝るとアピール。この性能が本物ならiGPUだけで済む場面は確実に増える

    Intelが公開していたNVIDIA GeForce RTX 4050 Laptopとのゲーム性能比較グラフ。電力比でも、システム単位で60WのRTX 4050に対し、45WのCore Ultra X9 388H(Arc B390)と抑えた上で、ライバルに勝るとアピール。この性能が本物ならiGPUだけで済む場面は確実に増える