360度カメラで知られるInsta360が、360度カメラを搭載した新趣向のドローン「Antigravity A1」を日本で発売した。全体をまるごと撮影し、あとで自由に構図を変更して狙い通りの動画が作れるのが特徴。さらに、付属のゴーグルを装着することで、まるで空を飛ぶような感覚も味わえるようにしたのが目新しい。ドローンに対する規制が厳しい日本ではさまざまなルールに従う必要があり、気軽に飛ばせるとは言い難いものの、空を飛ぶ楽しさを家族や友だちと一緒に楽しめる新世代のドローンとしてアピールする。

  • 360度カメラを搭載した新趣向のドローン「Antigravity A1」、日本でも販売が始まった。価格は209,000円からとやや高め

    360度カメラを搭載した新趣向のドローン「Antigravity A1」、日本でも販売が始まった。価格は209,000円からとやや高め

360度カメラの搭載で難しさをなくした

Antigravity A1は、Insta360が初めてリリースしたドローン。Insta360が得意とする360度カメラの技術を用い、機体前方の上下に2つのカメラを搭載したのが特徴。空を飛ばしている間、全方位を8K画質で撮影して360度動画を記録する。この360度動画は、周囲すべての状況が記録されているので、撮影後にスマホやパソコン自由にアングルを変更して狙い通りの動画が生成できる。

  • 本体は比較的コンパクトにまとめられている。重さは249gで、日本では機体登録の手続きが必要になる

    本体は比較的コンパクトにまとめられている。重さは249gで、日本では機体登録の手続きが必要になる

  • 本体上下に360度カメラを搭載。前面に縦に並ぶ2つの黒い部分は、飛行に用いるセンサーだ

    本体上下に360度カメラを搭載。前面に縦に並ぶ2つの黒い部分は、飛行に用いるセンサーだ

  • バッテリーは後方にある

    バッテリーは後方にある

通常のドローンは前方しか撮影できないので、狙ったアングルで撮影するにはドローンを操縦しながらカメラの向きを調節しなければならず、かなりの技術を要する。だが、Antigravity A1ならば細かいことを気にせず撮影状態にして飛ばせばよく、撮影後にアングルをじっくり調整できるので、初心者でも扱える。

動画や写真のアスペクト比も撮影後に自由に設定できるので、1本の映像から正方形や縦長、横長の動画が生成できるのもユニーク。

  • 着陸の際は自動で脚が出てきて底面の360度カメラを保護する仕組みが備わる

    着陸の際は自動で脚が出てきて底面の360度カメラを保護する仕組みが備わる

  • 本体底面にもセンサー類が見える

    本体底面にもセンサー類が見える

【動画】Antigravity A1の着陸シーン。自動で脚が出てくるのが分かる

ゴーグル型ディスプレイを装着して操縦する

Antigravity A1は、ゴーグル型ディスプレイ「Visionゴーグル」が付属し、これを装着したうえで片手で扱える「Gripコントローラー」で操縦する仕組み。頭の動きに連動して映像のアングルが変わるので、実際に操縦者が空を飛んでいるような体験ができる。Visionゴーグルの左目部分にある表示パネルには、撮影者が見ている映像が表示されるので、周囲の人も楽しめる。

  • 付属のVisionゴーグル。左目の部分がディスプレイになっており、撮影した映像が表示される仕組み

    付属のVisionゴーグル。左目の部分がディスプレイになっており、撮影した映像が表示される仕組み

  • 操縦時のスタイル。Visionゴーグルを装着し、右手のGripコントローラーで操る仕組みだ

    操縦時のスタイル。Visionゴーグルを装着し、右手のGripコントローラーで操る仕組みだ

  • Visionゴーグル内に表示されたメニュー。Gripコントローラーを動かして選択する

    Visionゴーグル内に表示されたメニュー。Gripコントローラーを動かして選択する

ちなみに、Visionゴーグルを装着して操縦する場合は、操縦者がドローンを直接目視できないため、目視外飛行の申請や許可が別途必要となる。そのため、家族や友人にVisionゴーグルを渡して空を飛ぶ感覚を楽しんでもらいつつ、別の人間がドローンを目視してGripコントローラーで操縦する使い方が一般的になりそうだ。

Visionゴーグルは、1インチのMicro OLEDパネルを搭載しており、精細な表示が可能。電源は専用のモバイルバッテリーをケーブル経由で接続する仕組みにし、Visionゴーグルの重さを340.4gに抑えている。

CEOに聞く、日本市場投入の背景

Antigravity CEOのMichael Shabun氏に、Antigravity A1投入の狙いを聞いた。

Michael Shabun氏は「これまでのドローンが撮影愛好家のためのツールだったのに対し、Antigravity A1は撮影はもちろん、飛行そのものの楽しさや、空から世界を探索する喜びを体験できる点が異なり、新しい市場カテゴリーを切り開く存在だ」「先に飛行し、あとから構図を決めるという新しい発想で、従来のドローンが抱えていた視点・操作・創作面での制約を打ち破れる」と自信を見せる。

360度カメラを搭載した背景については「撮影後に自由にフレーミングできることはユーザーにもたらされる“付加価値”であり、すでにInsta360のXシリーズを通じて多くのユーザーに評価してもらっている。360度素材を撮影しておくことで、後処理の自由度が飛躍的に高まり、想定していなかった発見や驚きが生まれることも少なくないからだ。360度カメラの価値を空撮の領域に拡張したのがAntigravity A1だ」と語る。

Michael Shabun氏は、Visionゴーグルについて「Antigravity A1の“魂”ともいえる存在」と語る。「Visionゴーグルがあることで、ドローンは“画面越しに操作する飛行体”から“没入できる空間”へと進化し、飛行体験とコンテンツ創作の論理そのものを根本から変えられる。ユーザーは、まるで鳥のようになって飛行の楽しさに完全に没入できる」と語る。

ドローンに対する規制が厳しい日本市場にあえて投入するのは「日本の消費者は技術革新に対する感度が非常に高く、製品そのものが優れていれば、新規ブランドであっても高い関心と支持を示してくれるからだ」と解説。さらに「日本の消費者は製品品質に対する要求水準がとても高く、それが製品を磨き上げる大きな原動力になる」とも語る。

価格は、標準的な付属品が付く標準版が209,000円、バッテリーが3つ付属するエクスプローラーキットが249,000円、大容量バッテリーが付属するインフィニティキットが263,900円。