米Micron Technologyは12月3日(現地時間)、一般消費者向けメモリー・ストレージ製品ブランド「Crucial」の事業から撤退すると発表した。世界の主要小売店、オンライン販売業者、流通業者を通じたCrucialブランド製品の販売を終了する。

Crucial製品の一般消費者向けチャネルでの出荷は、同社の2026会計年度第2四半期末(2026年2月)まで継続される。Micronは、この移行期間中、パートナー企業や顧客と緊密に連携し、Crucial製品の保証サービスとサポートは引き続き提供する。

発表の中でスミット・サダナ氏(最高事業責任者)は、「データセンターにおけるAI主導の成長がメモリーとストレージ需要の急増をもたらしている」とし、成長性の高いセグメントに属する顧客への供給および支援を強化するため、Crucialコンシューマー事業から撤退する「苦渋の決断を下した」と述べている。一般向け事業を縮小する一方、今後はエンタープライズおよび商用チャネル向けのMicronブランド製品へと経営資源を集中させる方針である。

Crucialは1996年に立ち上げられ、約30年にわたりPCビルダーやホビイスト、小規模事業者向けに、DDRメモリーモジュールやSSDなどを比較的手ごろな価格で提供してきたブランドである。Micronの決定により、こうしたDIY市場やアップグレード需要を支えてきた選択肢が一つ減ることになる。その背景には、AI投資の拡大とデータセンターの増設ラッシュに伴う、メモリーチップの不足と価格高騰がある。

AIサーバーで使われるGPUや専用アクセラレーターは、「HBM(High Bandwidth Memory)」と呼ばれる高帯域・高性能メモリーを大量に搭載する。HBMは製造難度が高く、生産能力を短期的に拡大することが困難である。このため、米国や韓国のメモリーメーカー各社はサーバー向けの高付加価値品を優先的に生産しており、その影響が一般的なDRAMやLPDDR4/4Xにも及び、市場全体で供給不足と価格上昇を招いている。

Reutersによると、Samsung Electronicsは11月、供給不足となっている特定のメモリーチップの価格を9月比で最大60%引き上げた。2024年後半には「十数週間分」を維持していた汎用DRAMの在庫水準は、2025年を通じて「数週間分」まで低下したとされる。

今回のCrucial事業からの撤退は、こうした需給ひっ迫の中でMicronが「限られた生産能力をどこに振り向けるか」を選択した結果といえる。