英Raspberry Piは12月1日(現地時間)、シングルボードコンピュータ「Raspberry Pi」シリーズの一部モデルの価格を引き上げると発表した。背景には、AI向けデータセンター需要の拡大に伴うメモリー価格の急騰がある。一方で、新たに1GB版の「Raspberry Pi 5」を45ドルで投入し、低価格帯を維持する姿勢を示している。
値上げの対象となるのは主に「Raspberry Pi 4」の中〜大容量メモリモデルと「Raspberry Pi 5」である。新価格は以下の通り。
産業・組み込み向けの「Compute Module 5」についても、16GBモデルが20ドル値上げされる。一方で、Raspberry Pi 4の低容量モデルやRaspberry Pi 3+以前のモデル、低価格帯のRaspberry Pi Zeroシリーズなどの価格は据え置かれる。
今回の値上げの理由としてRaspberry Piは、「LPDDR4メモリー価格の前例のない高騰」を挙げる。CTEEによれば、2025年第3四半期時点でDRAMの契約価格は前年比約171%増という大幅な上昇を示している。
その背景には、AI投資の拡大に伴うデータセンターの増設ラッシュがある。大量のメモリーチップを必要とするAI向けGPUサーバーの需要増加を受け、韓国や米国のメモリーメーカーがサーバー向けの高付加価値製品の生産を優先。その結果、PCや組み込み機器向けのメモリー供給が絞られ、市場全体で価格が上昇している。
Raspberry Piは、急騰したメモリー価格では採算が取れず、生産維持が難しくなる可能性があると判断し、一部モデルの値上げを決定した。一方で、低価格コンピューティングへのアクセスを確保するため、1GB版のRaspberry Pi 5を新たに追加した。
同モデルはクアッドコアの2.4GHz Arm Cortex-A76プロセッサ、デュアルバンドWi-Fi、PCI Expressポートなどを搭載し、45ドルの価格でエントリー帯を担う。メモリー容量が限られるため、重いアプリケーションや多数のアプリを同時に扱う用途には不向きであるが、プログラミング学習やセンサー制御、軽量なWebサービスの実験など、教育・ホビー分野では依然として活用余地が大きい。
Raspberry Piのイーベン・アプトンCEOは、メモリー価格の高騰は「痛みを伴うが、最終的には一時的なもの」と述べ、市況が落ち着けば今回の値上げを「巻き戻す(元に戻す)」意向を示している。

