Luupは11月18日、マイクロモビリティのシェアリングサービス「LUUP」の新たな車両として、座って乗れる特定小型原付「電動シートボード」のサービス提供を開始しました。まずは横浜・みなとみらいエリアから始め、2026年春には都内など他エリアにも配置する予定です。

  • LUUPの新車両として、座って乗る特定小型原付「電動シートボード」のサービス提供が開始されました

    LUUPの新車両として、座って乗る特定小型原付「電動シートボード」のサービス提供が開始されました

これまでLUUPでは立ち乗りの電動キックボードと電動アシスト自転車の2種類を提供してきましたが、そこに座席・カゴ付きの電動シートボードが加わり、3種類での展開となります。

電動シートボードは「自転車と間違えない」デザインに

電動シートボードは当初2024年冬から利用開始予定でしたが、そこから延期してのローンチとなりました。投入遅れの理由として、同社の岡井大輝社長は「(本体を)ゼロから開発する必要があったから」と語ります。

  • 電動キックボード(奥)と電動シートボード(手前)の比較。車高と座席・カゴの有無の他はほとんど同じように見えます

    電動キックボード(奥)と電動シートボード(手前)の比較。車高と座席・カゴの有無の他はほとんど同じように見えます

電動シートボードの特徴は、自転車との誤認を防ぐデザイン。カラーリングも従来の電動キックボードとそろえています。自転車との誤認を避けた理由は、危険運転の取り締まり時に自転車と見分けやすくすることに加え、ユーザーが自転車感覚で運転してしまうのを防ぐためです。

  • 荷物カゴは本体後部に配置。中の物が飛び出さないようフックも設置しました

    荷物カゴは本体後部に配置。中の物が飛び出さないようフックも設置しました

本体各部の特徴として、本体後部に電動自転車のカゴより大きな収納カゴ(15L以上)を設置。走行時の荷物落下を防ぐフックも備えました。電動キックボードより大きい12インチの前輪を採用しています。

  • 前輪のサイズを大きくして安定感を確保

    前輪のサイズを大きくして安定感を確保

電動シートボードは座って走行するため、既存の電動キックボードのように走行開始時に地面を蹴って進む必要はないかわりに、誤操作による急発進を防ぐ必要もありました。そこで右ハンドルにに「DRIVE/PARKINGスイッチ」を搭載。左ハンドルにはスライド式のウインカースイッチがあります。

  • 「DRIVE/PARKINGスイッチ」を押すことで発進します

    「DRIVE/PARKINGスイッチ」を押すことで発進します

安定して座るため、電動シートボードはステップボードが240mmと既存のキックボードよりやや広め。両足をそろえて座りやすい幅に設定したそうです。

  • 記者発表会に登壇した、横浜みなとみらい21 漆原順一理事長(左)とLuup  岡井大輝代表取締役CEO。両足をそろえて乗っても安定感のあるボードの幅になっています

    記者発表会に登壇した、横浜みなとみらい21 漆原順一理事長(左)とLuup 岡井大輝代表取締役CEO。両足をそろえて乗っても安定感のあるボードの幅になっています

本体備え付けのスマホホルダーを刷新し、スマホカバーやリングをつけていても装着可能になりました。

  • 新しいスマホホルダーは、軽い力でも開けられて、左側面の緑のレバーでがっちりと固定する設計

    新しいスマホホルダーは、軽い力でも開けられて、左側面の緑のレバーでがっちりと固定する設計

  • こちらが旧型のスマホホルダー。落下防止目的でホルダーの保持力を強くしていましたが、強い力をこめないと扱えない欠点がありました

    こちらが旧型のスマホホルダー。落下防止目的でホルダーの保持力を強くしていましたが、強い力をこめないと扱えない欠点がありました

また、電動シートボードを含む全車種に関して、リアフェンダーと一体化したライセンスプレートを採用。段差を越えた際に折れ曲がってしまうことが多い部分ですが、本体との一体化で変形を抑制します。

  • ライセンスプレートが正方形に近い形となり、リアフェンダーと一体化して折れにくい構造に変更されました

    ライセンスプレートが正方形に近い形となり、リアフェンダーと一体化して折れにくい構造に変更されました

  • 走行中の様子

    走行中の様子

実際に筆者も電動シートボードに乗ってみましたが、キックボードの「蹴って発進」するスタイルよりも個人的には使いやすかったです。カゴも実際見ると十分な大きさだったので、日常の買い物需要にも応えられると感じました。

11月18日から横浜・みなとみらいエリア内に電動シートボードを100台配置しており、車両台数は順次拡大する予定。横浜・みなとみらいエリアからの提供開始した理由としては、横浜市・横浜みなとみらい21とサービス開始当初から連携協定を結んでいたこともあり、「最初の実証の場として横浜がふさわしい」(岡井社長)とのことでした。

安全対策は?ヘルメットは? LUUPの現在地を社長に聞く

利便性は高いものの、電動キックボードの危険運転がたびたび話題となるLUUP。電動シートボードのサービス開始日に行われた記者会見でも、多くの記者から岡井社長に対し、安全対策についての質問がありました。

  • Luup 岡井大輝代表取締役CEO

    Luup 岡井大輝代表取締役CEO

歩道での高速走行など、電動シートボードの危険走行をどう防ぐかという問いには、アプリ内で実施する交通ルールテスト、11月7日から開始した警察との連携によるペナルティ強化で対応したいと回答しました。

アプリ内の交通ルールテストはアップデートによりランダム出題に変更し、暗記では解けないようにしたとのこと。また、設問数も増やし、実効性を高めたとしています。

安全対策については、データが集まった段階でどのような効果をあげたかについても発表したいと意欲を見せました。サービス開始後、電動シートボードの違反率が(既存車両よりも)高ければ、それを受けて対応を検討したいとも付け加えました。

  • LUUPオリジナルの折り畳みヘルメット。Amazonでも販売されています

    LUUPオリジナルの折り畳みヘルメット。Amazonでも販売されています

LUUPのマイクロモビリティは、全車種でヘルメットの着用は努力義務。そのためつけなくても走行はできますが、車道を走ることが原則の電動モビリティが“ノーヘル”で走っていてヒヤリとする場面はあります。

同社ではオリジナルのヘルメットを発売し、LUUPアプリでもヘルメットの装着を推奨しています。しかし、街中で見かけるユーザーはほぼつけていないのが現状です。

一部のポートで貸し出しヘルメットを設置しているものの利用率は低く、ユーザーからは「前に誰が使ったかわからないから衛生面が気になる」との声があったとのこと。岡井社長は今後もヘルメット装着を啓発し、折りたたみヘルメットの配布なども検討していくということです。

  • LUUPの3種類の車両がそろったポート。デザインに統一感があるために、新車両がどれかは一見してあまりわからないかもしれません

    LUUPの3種類の車両がそろったポート。デザインに統一感があるために、新車両がどれかは一見してあまりわからないかもしれません

  • 電動シートボード提供開始と同日に安全講習会も行われました

    電動シートボード提供開始と同日に安全講習会も行われました

現在、電動キックボードと電動アシスト自転車の利用率はおよそ半々でどちらかに偏ってはいないとのこと。岡井社長は、それらの中間ともいえる電動シートボードがどのようにユーザーに受け入れられるか、市場の反応を見て判断したいと語りました。

既存の電動キックボードよりは間口が広そうな電動シートボードですが、安全運転で広く利用されるかは未知数といったところ。安全対策の結果のデータなど、今後の状況も注目していきたいです。