収入が増えるほど支出も増えてしまう、高年収層に特有の「ライフスタイル・インフレーション」。自分にも当てはまっていると感じる方も多いのではないでしょうか。今回はこの現象の正体を解き明かし、無理な節約ではなく、賢い支出管理で将来への資産形成を加速させる方法を提案します。

貯蓄や資産形成の敵! ライフスタイル・インフレーションとは

これから資産形成や貯蓄を進めたい方に知っていただきたいのが、ライフスタイル・インフレーションという概念です。

ライフスタイル・インフレーション(以下、ライフスタイル・インフレ)とは、収入の増加とともに生活水準が高くなり、支出が増えてしまうことを指す心理学の用語です。「ライフスタイル・クリープ」と呼ばれることもあります。

ひとたびライフスタイル・インフレに陥ると、高収入でありながら、貯蓄が一向にできず、苦しい家計が延々と続く可能性もあります。

消費の変化の具体例

ライフスタイル・インフレになる前と後では、食や日用品、移動に関する消費行動が変化します。

  • あなたも当てはまる? ライフ・スタイルインフレで起きる変化

    あなたも当てはまる? ライフ・スタイルインフレで起きる変化

チェーン店のお手頃なメニューで満足していたのが、高級レストランを選ぶようになったり、日用品もコスパの良い実用性重視のアイテムから、ブランド品に手が伸びるようになったりします。

ライフスタイル・インフレが起こるのはなぜか

ライフスタイル・インフレが起こりやすい要因は、以下のとおりです。

収入が増えたことで油断する

出世して給与が上がった、転職して収入がアップした等の場合、お金を以前より使いやすくなる罠があります。たとえば以前はたまに利用する程度だったフードデリバリーを頻繁に利用するようになると、食費はかなり増えていきます。

都市部で年収が500万円程度であれば、平均的な水準のため、あまり無駄遣いせずに暮らそうと考える方が多いでしょう。これが700万円・800万円と上がると、家計に余裕が出てくるため、「少しくらいならいいか」と無駄遣いをしやすくなるのです。

1つ1つの出費増は大した影響はないのですが、食品・衣料品・家電などさまざまな分野で出費が増えると、家計には大きなダメージとなります。

基準が変化する

以前は十分に満足できていたものに、価値を感じられなくなるのも要因です。たとえば今までは90円の豆腐で良かったけれど、300円の高級品を買ってみたらあまりに美味しいのでそれしか食べられなくなったという具合です。

基準が変化し、新しい生活水準が「普通」と認識するようになり、支出を下げることがしにくくなってしまいます。

見栄を張る

いい生活を送っているように他人から見られたいと思う人も、ライフスタイル・インフレになりやすいタイプです。人の目を気にするあまり、安いものを買えないのです。

SNSで見せびらかすために高級なものを買って投稿するようになると、支出は増えていく一方です。たとえ給与が上がったとしても、見栄を張るのには限界があり、最悪の場合は借金をしてしまうことも。

どうすればライフスタイル・インフレに気付けるか

自分がライフスタイル・インフレに当てはまっていないか、気づくためのヒントは以下のとおりです。

最近買ったのに使っていないものがないかを確認する

見栄を張るためだけに買ったり、深く考えずに買ったりしたものは、大事にせず結局ほったらかしにしてしまうケースが多いです。せっかく買ったのに、結局あまり利用していないものが多くないかをチェックしましょう。

とくに多いのは洋服やバッグ・アクセサリー、便利家電などです。

クレジットカードなどの利用明細をチェックする

クレジットカードやスマホ決済などのキャッシュレスは、お金を使う感覚が薄いとされる傾向があります。過剰に消費していることに気づくためには、利用明細をこまめに見直すことが重要です。

現在はスマホで明細を閲覧できるケースが多いため、チェックも簡単です。最低でも週に1回程度は、何を買ったのかを確認しましょう。

ライフスタイル・インフレを回避する方法

ライフスタイル・インフレを回避して、資産形成や貯蓄を進めるには、以下のポイントを意識しましょう。

収入の増加分を貯蓄や資産運用にすぐ回す

ライフスタイル・インフレに陥るのは、収入の増加分をすぐ消費に回すためです。このため、貯蓄や資産運用にいち早く回すことで回避できます。

固定費を見直す

固定費は一度上げると元に戻すのは大変なため、意識的にコントロールしましょう。住居費、車両費、サブスクリプションの料金などが主な対象です。

他人との比較を減らす

ライフスタイル・インフレは、他人と比較して羨ましいと思うことから加速するケースも多いです。SNSなどの利用時間を減らしたり、贅沢な生活を見ても「自分とは無関係」と考えたりすることが重要です。