住宅ローンの返済方法としてよく利用されているのが「ボーナス払い」です。毎月の返済を抑えられるメリットがある一方で、将来的なリスクもあります。「金利動向が変化する今、本当にボーナス払いは賢い選択なのか?」を解説します。
住宅ローンのボーナス払いとは
ボーナス払いは、毎月の返済に加えて年2回、ボーナス月にまとまった額を返済する方法です。ボーナス月は通常の場合、6月と12月に設定されます。
ボーナス払いのメリットは、毎月の返済負担を軽くできることです。ボーナス月にまとめて支払うことと引き換えに、毎月の返済額を少なくすることができます。
また、利用方法によっては返済期間を短縮できるのもメリットです。ボーナス払いを利用しながらも毎月の返済額を減らさないことにより、元本の減るスピードが上がります。元本が効率的に減ると返済期間が短くなり、早期の完済も可能です。
ボーナス払いでよくある”落とし穴”
ボーナス払いはメリットもある一方、以下のような注意点があります。
ボーナスが減額または出ないことがある
ボーナスは会社の業績や個人のパフォーマンスによって変動するため、減額される可能性も。最悪の場合はボーナスが出ないこともあり、毎月の給与と比べると不安定です。
ボーナス全額を毎回受け取れることを前提に家計のやりくりをしていると、万が一の事態に対処できない恐れがあります。
月々の返済が少ないため油断しやすい
ボーナス払いを併用していると、毎月の返済が少なくなります。返済負担が軽いのはメリットですが、「問題なく返済できている」と錯覚しやすい点に注意が必要です。
油断して浪費し、万が一ボーナスが減額されたりなくなったりすると、ボーナス払いができなくなり返済に困ってしまうかもしれません。
金利上昇によるリスクもある
日銀の金利政策の変更により、長期金利の上昇、住宅ローンへの影響が注目されています。今後も金利が上昇すると、変動金利の場合は負担が増える可能性があり、注意が必要です。
ボーナス払いを利用して毎月の返済額を少なくしていると、返済額が少ない期間は元金が減りにくく、その間は利息が増えていきます。さらに金利が上がると、大きなダメージになることも。
なかなか元金が減らないだけでなく、いつの間にか金利が上昇して利息が増え、返済が苦しくなってしまうかもしれません。
ボーナス払いをどう活用するべきか?
ボーナス払いを賢く活用するポイントを解説します。
返済計画を立ててシミュレーションをする
ボーナス払いを利用する前に、家計に無理なく返済できるような計画をつくることが大切です。ボーナスで大きな額を返済したくなるかもしれませんが、万が一のことも考えて、額を大きくしすぎるのは避けましょう。
また、ボーナス支給額が変動することを前提とした計画を立てることも重要です。ボーナスが減額されても問題なく返済できるか、複数のパターンでシミュレーションをしましょう。
預貯金をしておく
ボーナス払いで毎月の返済負担が軽くなるからと油断せず、毎月しっかり預貯金をしておきましょう。万が一ボーナスがなくなった場合でも、手元に現金があれば返済できます。
最低でも、ボーナス払いの月の返済額を貯蓄しておけば、万が一の事態でも対応できます。
ボーナス払いが苦しくなったときの対処方法
ボーナスが急になくなったりして返済が苦しくなった場合の対処方法を解説します。
金融機関に相談する
ボーナス払いの返済が難しくなったら、まずは住宅ローンを契約している金融機関に早めに相談をしましょう。返済プランを見直すことで、返済にゆとりを持たせることができる可能性もあります。
これまで毎月の返済をきちんとしていた方であれば、返済方法の変更に関して、金融機関も柔軟に対応してくれる可能性が高いでしょう。
ボーナス払いをやめて毎月払いに変更をするのも1つの手ですが、月々の返済額は増えるため、家計で問題ないかしっかり確認することが大切です。
住宅ローンを借り換える
やや難易度が高いですが、住宅ローンを他の金融機関のものに乗り換える方法もあります。借り換えの契約で、現在の収入状況にマッチした返済方法にすることで、返済不能を回避できます。
ただし借り換えには審査に通る必要があり、諸費用もかかります。このため、返済総額が増える可能性もある点に注意が必要です。