ソニーグループは、2025年度第1四半期(2025年4月~6月)連結業績を発表。売上高は前年同期比2.2%増の2兆6216億円、営業利益は同36.5%増の3399億円、税引前利益が同24.3%増の3566億円、当期純利益が同23.3%増の2590億円と増収増益の結果となった。
ソニーグループ 執行役 CFOの陶 琳(タオ・リン)氏は、「売上高、営業利益ともに、第1四半期実績としては過去最高を更新した。G&NS、音楽、I&SSを中心に利益成長を継続し、2024年度からスタートしている第5次中期経営計画で掲げた経営数値目標の達成に向けて、順調な進捗を示すことができた。第2四半期以降は米国追加関税など、事業環境の不確実さがより顕在化するだろう。リスクに備えながら、変化を先取りする企業運営に注力する」と語った。
2025年度の通期業績見通しは、売上高では期初計画を据え置き、前年比2.8%減の11兆7000億円としたが、営業利益は500億円増額の同4.2%増の1兆3300億円、税引前利益が700億円増額の同0.5%増の1兆3500億円、当期純利益が400億円増額の同9.1%減の9700億円としている。
なお、米国追加関税の影響については、第1四半期にG&NSなどで、約200億円の影響があったが、「ほぼ想定通りである。猶予期間であったこと、戦略在庫の活用によって、第2四半期以降の影響見込みよりは小さい」としたほか、「この数週間で大きく進展が見られているが、品目別関税など、いまだ流動的な部分も残っている。2025年度を通じた対応と影響については、複数のシナリオを持って注意深く見極めていく。関税対策に伴う価格戦略については各事業に与える影響を慎重に考慮する必要がある」とし、「前回発表と同様に、継続事業全体の概算値として示した。8月1日時点で発表している関税率に基づいたもので、営業利益への影響は、前回から300億円減少の700億円程度になるとみている。G&NS、ET&S、I&SSで、それぞれ200~300億円程度の影響を見込んだ。生産拠点の複線化への取り組みは主要製品については、第1四半期末までにほぼ完了し、計画している対応は上半期末までにすべて完了する見込みである。状況を注視しながら影響を最小限するようにマネージしていく」と述べた。
セグメント別の2025年度第1四半期業績と、2025年度の通期見通しについても説明した。
ゲーム&ネットワークサービス(G&NS)分野の売上高は前年同期比8%増の9365億円、営業利益は127%増の1480億円、調整後OIBDAは86%増の1779億円となった。
「為替のマイナス影響はあったが、サードパーティーソフトウェア、ネットワークサービスが増収。営業利益はかなり上振れ、第1四半期として過去最高を更新した。ユーザーエンゲージメントも前年同期から拡大している」という。
2025年6月におけるプレイステーション全体の月間アクティブユーザー(MAU)数は、前年同月比6%増の1億2300万アカウントとなり、総ゲームプレイ時間は同6%増となった。
「PS5の発売から4年7カ月が経過した2025年6月のMAUは、PS4の同じタイミング(2018年6月)の9300万アカウントと比較して、32%も増加している。しかも、依然として、継続的な成長を続けている。また、コンテンツサービスの売上高は、2018年度から約50%増加しており、MAUの成長を上回る見通しとなっている。ユーザー数の増加に加えて、1ユーザーあたりの支出額の増加が売上成長に貢献している。コンテンツサービスは来年度以降も安定的な成長が継続する」と見込んでいる。
第1四半期のPS5の出荷台数は250万台(前年度は240万台)となった。米国向けに販売するPS5は、中国以外での生産にシフトが完了していることも報告した。
スタジオビジネスでは、「MLB The Show」、「Destiny 2」、「Helldivers 2」といったライブサービスゲームの売上が成長。第1四半期におけるファーストパーティーソフトウェアの売上高の40%強を、ライブサービスゲームが占めた。また、シングルプレーヤーAAAタイトルでは、2025年6月に発売した「DEATH STRANDING 2 ON THE BEACH」に続き、2025年10月には「Ghost of Yōtei」の発売を予定していることも紹介した。
また、注目を集めている「Marathon」は、ゲームプレイの質を高めることを目的に、リリースの延期を発表。「コミュニティからのフィードバックを生かしてゲームプレイを強化し、ストーリーへの没入感を高めることで、ユーザーのゲーム体験全般を、さらに充実させる。2025年度内での発売を見込んでいるが、秋頃に正式な発売時期を発表できる。発売断念はないと思っている」などと述べた。
現在、同社では、「MLB The Show」、「Destiny 2」、「Helldivers 2」、「GRAN TURISMO 7」の4本のライブサービスゲームが収益に貢献していることを強調するが、2024年には「CONCORD」のサービス停止もあり、すべてが順調とはいえない。
陶CFOは、「5年前のPlayStation Studioには、ライブサービスゲームがなかった。それが2025年度第1四半期では40%の比率となっており、年間でも20~30%の構成比になる。トランスフォーメーションの観点では、必ずしも順調とは言いがたいが、5年間の変化は確実に起きている。課題が多いことは認識している。失敗からも学び、よりスムーズなライブサービスによるコンテンツクリエイションへとつなげたい」と述べた。
G&NS分野の2025年度通期見通しは、売上高は200億円増額の前年同期比7%減の4兆3200億円、営業利益は200億円増額の同21%増の5000億円、調整後OIBDAは200億円増額の同15%増の6200億円とした。「ネットワークサービスの売上増加、コスト改善効果、ファーストパーティーソフトウェアの増収が、営業利益の増加を牽引することになる」という。
音楽分野の売上高は前年同期比5%増の4653億円、営業利益は8%増の928億円、調整後OIBDAは9%増の1171億円となった。音楽分野の2025年度通期見通しは、売上高は200億円増額の同2%増の1兆8700億円、営業利益は50億円増額の同1%増の3600億円、調整後OIBDAは50億円増額の前年並みの4500億円とした。
「為替の影響はあったが、ストリーミング売上の増加や、モバイルゲームの増収などがあった」という。ストリーミングの売上高(ドルベース)は、音楽制作で前年同期比7%増、音楽出版で同8%増となった。
第1四半期において、Spotify週次グローバルアルバムトップ10で、Sony Music Entertainment(SME)が所有、配信するレーベルのアルバム数が42%を占め、なかでもBad Bunnyの新作は6週連続で1位を獲得したという。
また、カタログ作品の売上貢献が増加しており、カタログの追加取得による収益拡大の機会が継続すると予測。音楽制作と音楽出版の両事業において、カタログ取得に注力するという。
映像メディアプラットフォームでは、2025年7月18日に日本で公開した「劇場版『鬼滅の刃』無限城編 第一章 猗窩座再来」が、日本史上最速となる公開8日目で100億円を突破。8月3日時点で観客動員数が1255万人、興行収入が176億円という大ヒットを記録した。また、欧米やアジア、中南米では、CrunchyrollやSony Picturesによる配給を開始する予定で、グローバルでのヒットが期待されている。「鬼滅の刃は、従来作品の成果もあり、最初からヒットを想定していた。映画『国宝』は初めての作品であったが、我々の想定を上回っている」とも語った。
映画分野の売上高は前年同期比3%減の3271億円、営業利益は同65%増の187億円、調整後OIBDAは同13%増の313億円となった。映画事業の2025年度通期見通しは期初計画を据え置き、売上高がほぼ前年並みの1兆5000億円、営業利益は同7%増の1250億円、調整後OIBDAはほぼ前年並みの1750億円とした。
テレビ番組制作における納入作品数が増加したという。The Last of Usのシーズン2が、エミー賞の多くの部門にノミネートされるとともに、シーズン3の制作が決定。長編映画作品の「28年後…」の全世界での興行収入が1億5000万ドルを突破。Sony Pictures Animation制作の「K-Pop Demon Hunters」が、Netflixオリジナルアニメ映画の視聴数で歴代1位になったという。また、Crunchyrollは着実に有料会員数を拡大していることも収益に貢献している。
なお、7月24日に発表したバンダイナムコホールディングスとの戦略的パートナーシップについては、「アニメ、マンガ領域における共同でのIP創出、映像制作や配信、マーチャンダイジング、データ連携によるマーケティング強化などにおいて、従来以上に、より幅広く、より踏み込んだ協業を加速する。また、体験型エンタテインメント領域では、バンダイナムコが持つ知見や場と、ソニーグループが持つ技術などを掛け合わせて、新たな感動体験の創出を目指す」とした。
エンタテインメント・テクノロジー&サービス(ET&S)分野の売上高は前年同期比11%減の5343億円、営業利益は33%減の431億円、調整後OIBDAは25%減の671億円となった。
テレビの販売台数減や、為替のマイナス影響により減収減益となった。「テレビでは、他社による想定以上に厳しい価格攻勢があったものの、それ以外の主要製品カテゴリーではおおむね想定通りに推移した。イメージング事業では中国における補助金施策の追い風が続いたこともあり、期初計画通りの顕著な実績となった」という。
ソニーでは、スマホの「Xperia 1 VII」に不具合が発生し、本体を無償で交換することを発表しているが、陶CFOは、「ユーザーの皆様にご迷惑をおかけしたことをお詫びする」と陳謝。「不具合の特定と対応策は完了している。不具合は製造プロセスによるものであり、対象製品については交換することになる。品質はソニーにとって重要な経営課題である。こうしたことが起きないように全力で務める」とし、「スマホは大事なビジネスである。長年培ってきた通信技術を、スマホ以外にも活用することができる。引き続き、大事に育てていきたい」と語った。
ET&Sの2025年度通期見通しは据え置き、売上高は前年比5%減の2兆2800億円、営業利益は同6%減の1800億円。調整後OIBDAは2%減の2850億円とした。
イメージング&センシング・ソリューション(I&SS)分野の売上高は前年同期比15%増の4082億円、営業利益は48%増の176億円。調整後OIBDAは14%増の1201億円となった。2025年度通期見通しは据え置き、売上高は前年比9%増の1兆9600億円、営業利益は同7%増の2800億円、調整後OIBDAは同3%増の5500億円とした。
モバイル向けやデジタルカメラ向けセンサーの出荷が増加したという。「スマホ市場は緩やかに回復している。モバイル向けセンサーの売上は出荷数量の増加と、ドルベースでの単価上昇により、為替影響を除くと堅調に推移している。だが、追加関税に起因して、顧客による発注時期が前倒しとなっている可能性を踏まえて、年間出荷数量見通しは前年度並みとしている。第2四半期以降は大判化と高付加価値化の進展による単価上昇を見込み、順調な売上成長を計画している」とした。なお、同社による半導体の米国への輸出は限定的だという。
さらに、「コンシューマ向けカメラの領域では、一眼カメラの堅調な需要に加えて、動画ニーズの高まりから、ハンドヘルド型などの新たな動画撮影カメラ向けセンサーの需要が増加している。市場の広がりを捉えて、新たな収益機会の獲得につなげたい」と述べた。
アップルが米国において米国で生産するサムスンの半導体を調達することなどを発表したこと対しては、「ソニーは米国内に半導体の製造拠点は持っていない。短期的には米国内での生産対応は難しい。競合を上回る優れたデバイスを提供し、お客様の最終製品を魅力的なものにするという点には、これからも力を入れていくことになる。具体的な対応策については、今後、社内で議論していく」(ソニーグループ 執行役員の堀井直也氏)と語った。
なお、金融事業の完全子会社であるソニーフィナンシャルグループは、パーシャルスピンオフを実行。2025年8月8日に東京証券取引所に上場を申請し、9月29日に上場する予定だ。今回発表したソニーグループの業績は、すべて継続事業ベースであり、金融事業を除いている。
ソニーフィナンシャルグループ 代表執行役社長 CEOの遠藤俊英氏は、「ソニーフィナンシャルグループの第1四半期の連結修正純利益は、ソニー損保では、自動車保険の損害額が減少したことにより、前年同期比3億円増の203億円となった。また、ソニー生命の連結修正純利益は、金利上昇に伴い大量解約リスクに備えるリスク調整が増加したことなどにより、同10億円減の156億円と減益になった」と報告した。
第2四半期以降は、ソニーフィナンシャルグループ単独で業績発表を行う予定だ。
今回の決算発表も、ソニーグループが取り組んできた「クリエイションシフト」が成果を収め、力強い業績につながっていることを示すものになった。
ソニーグループ 執行役員の早川禎彦氏は、「2024年度の連結売上高に占めるエンタテインメント3事業の構成は60%を超えている。事業ポートフォリオをクリエイションシフトしてきた成果があがっている。ゲームでは、ハードウェアセントリックのビジネスから、コミュニティの拡大をベースとしたエンゲージメントによるプラットフォームビジネスへとシフト。音楽ではEMIミュージックパブリッシングの買収による音楽カタログの拡大に取り組み、エレクトロニクスビジネスでも、アウトプットデバイスであるテレビに比べて、デジタルイメージングなどのクリエイションデバイスの比率を高めている。クリエイションシフトの結果が、収益の安定性や予見性の向上につながっている。ポートフォリオ全体で事業を伸長させ、収益を伸ばしている」と総括する。
クリエイションシフトが、事業間の相互連携を生むとともに、市場環境の変化を受けにくい体質づくりや、リカーリングビジネスの拡大などの効果も生んでいる。クリエイションシフトが、ソニーグループの力強い業績の源泉になっているのは明らかだ。






















