米Googleは5月7日、AIアシスタント「Gemini」のiPad用アプリを正式にリリースした。これまではiPhone向けアプリの互換モードで利用するか、Webブラウザ経由での使用に限られていたが、今回のリリースにより、iPadの大画面を生かしたネイティブな操作体験が可能となった。
iPad用アプリは、iPadOSの画面分割機能「Split View」に対応しており、ユーザーはGeminiを他のアプリと並べて表示しながら、マルチタスクでの作業を行える。たとえば、ビジネスメールの作成中にGeminiで敬語表現のチェックを行ったり、ブラウザから画像をGeminiにドラッグ&ドロップして、その内容について質問するといったことが可能である。
また、最新のアップデートで、ホーム画面に配置できるウイジェットと、Googleフォトのライブラリとの接続が追加されており、iOS・iPadOSデバイスでのGeminiの利便性が向上している。
iPadアプリでは以下のような機能が利用可能である。
- Gemini Live:45以上の言語で自然な音声対話が可能。人間と会話しているかのようなインタラクションが実現できる。
- Deep Research:ユーザーの依頼に基づき情報を収集し、推論を加えて深く調査を行う機能。レポート作成や複雑なテーマの理解に役立つ。
- 音声概要(Audio Overview):アップロードしたドキュメントやスライドの内容を、2人のバーチャルホストによる会話形式で要約・解説する。
- Canvas:文章執筆やコードの編集をAIとともに行えるインタラクティブな作業スペース。共同編集にも対応しており、チームでの利用を想定した設計となっている。
- 画像・動画生成:テキストによる指示から高品質な画像や動画を生成し、アイデアを視覚的に具体化できる。
「音声概要」は2024年9月にGoogleのAIノート作成・リサーチ支援ツール「NotebookLM」に搭載され、以来好評を得ている機能である。当初は英語のみの対応であったが、4月29日に待望の多言語対応が開始され、日本語を含む50言語以上で利用できるようになった。
生成AI市場の競争が激化する中、Googleは既存ユーザー層に向けて同社のAIツールを浸透させる動きを加速させている。Geminiに続き、「NotebookLM」アプリをiOS・iPadOSおよびAndroidに提供予定であり、5月2日から事前登録を開始、5月20日にリリースされる見通しである。