VAIOは3月13日、13型モバイルノートPCの「VAIO S13」(個人向け)と「VAIO Pro PG」(法人向け)を発表しました。いずれも同日から受注を開始しています。
今回、発表に先立って報道陣向けに内覧会が実施されたので、内覧会で明らかにされた新モデル「VAIO S13/VAIO Pro PG」の特徴や狙いについて、ご紹介していきます。
VAIO S13/VAIO Pro PGは「シン・モバイルワーク時代のベストバランス」
VAIO S13/VAIO Pro PGとしては、2023年9月に発表された従来モデルから約1年半ぶりのモデルチェンジです。今回のモデルチェンジに際して、VAIO S13/VAIO Pro PGに与えられたテーマは「シン・モバイルワーク時代のビジネスモバイルPCのベストバランス」とのこと。
商品企画を担当したVAIO株式会社 開発本部 プロダクトセンター プロダクトマネージャーの柿木 大輔氏は、このテーマについて「パンデミックを経験し、その前後で求められる働き方が変わりました。モバイルワーク、ハイブリッドワーク、そして現在はワークライクバランスを重視した働き方が求められる中、このニーズを満たせる、そして価格と性能のバランスの取れた製品として、VAIO S13/VAIO Pro PGをモデルチェンジしました。」と話します。
より具体的には「あらゆるビジネスシーンにフィットするモバイル性と使い勝手」「場所を問わず快適なコミュニケーション機能」「堅牢性と信頼性」「毎日を快適にする機能・性能」の4点です。
VAIO S13/VAIO Pro PGでは、構成にもよりますが、最軽量時で約1,072gから約1,019gと軽量化が図られました。軽量化を図りつつも、持ち運んで使うモバイルノートPCという製品の特性上、犠牲にできないバッテリー稼働時間は据え置きで、従来モデル同様に米国防総省が定める「MIL-STD-810H」(MIL規格)に定められた耐衝撃/耐環境性能を満たしています。
さらにVAIO独自のモバイルノートPC向け耐久試験を実施し、最大127cmからの落下試験や、自転車のかごに入れ運ぶ際の振動などによる故障がないよう、振動耐久試験なども実施、クリアしています。
外部接続ポートは対応機器の増えてきている「USB Type-Cポート」を、従来モデルの1つから2つに増やしつつ、HDMI出力ポートや有線LANポートも従来通り搭載しています。
CTOメニューでは4G LTEに加え5Gも選べるようになり、法人向けにはKDDIが提供する「ConnectIN」のデータ通信プランをバンドルすることも可能になっています。さらにコミュニケーション機能としては、上位モデルであるVAIO SX14-R/VAIO Pro PK-Rから搭載された「3基のマイクによる、AIノイズキャンセリング」を代表に、マイクやWebカメラ機能の強化も図られています。
今回の説明会でもVAIOの開発陣は長野の開発拠点から、また一部報道陣もビデオ会議で参加のカタチを取ったように、現在はリアルの会議だけでなくビデオ会議の機会も増え、重要性が増しています。
VAIO S13/VAIO Pro PGに搭載された3基のマイクとAIノイズキャンセリングでは、話者以外の音声をしっかり遮り相手に伝わりやすくするだけでなく、1台のノートPCに対し複数人が会議に参加するような場合でも、各々の声を拾い、相手に伝わりやすいようAIが調整を行うといった機能も盛り込まれています。
また、内蔵されたWebカメラ機能とも連動し、カメラの撮影範囲外の音声を拾わないようなノイズキャンセリングを行うなど「伝わるオンライン会議」を実現できる工夫が多数盛り込まれています。基本性能についても、搭載CPUはIntel Core Ultra シリーズ1に改められ、従来モデルから大きく性能が向上しました。
さらに大企業向けにはIntel Core Ultra シリーズ2を搭載する構成も用意されるなど、働き方や働く場所を問わない時代にあった、モバイルノートPC以上の高性能を、13型モバイルノートPCの筐体に搭載しています。
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VAIO S13/VAIO Pro PG、外観は先代モデルを踏襲しています。
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ブロンズカラーはユーザー評価が高く、今回のモデルでも継続です。
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VAIO SX14-R/VAIO Pro PK-R(右)からのフィードバックも数多く行われているとのこと。
見えない部分の工夫で、軽量化と堅牢性を実現
今回の説明会では、開発を担当したVAIO 長野本社のメンバーから、主にハードウェア面で目に見えない部分での工夫について語られました。
本体重量の軽量化のため、新型のCPUクーラー・ファンを採用して軽量化を図りつつ、剛性を確保するためにボトムカバーを新規に設計しているそうです。ガラス繊維の含有量を増やす、ビス留めの本数を14本から16本に増やすといった工夫で剛性を確保しつつ、材質を変えたことで複雑な形状にできない課題が出てしまった部分も、内部パーツの配置を見直すなどしクリアしたとのこと。
また、使用感に繋がる部分ではCPUやSSDといった熱源からの発熱で、局所的に温度があがることがないよう熱拡散シートを使うといった工夫も施されています。
先代モデルではアンテナの内蔵スペースがなく諦めた5Gも、今回対応させるにあたり、狭いスペースに搭載できるよう新型のアンテナを設計し、さらにディスプレイ上部とパームレスト部と、アンテナの数を増やし受信感度が良くなるようにするといった取り組みも新たに行っているそうです。
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内覧会の会場には分解されたVAIO S13/VAIO Pro PGの展示もありました。
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今回のモデルで新規設計されたボトムカバー。シンプルな作りですが、リブなど剛性確保のための工夫を確認できます。
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ボトムケース内には余剰スペースがないくらい、高密度にパーツが集積されています。
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液晶上部の僅かなスペースにも収まるよう、新たに5Gに対応させるために開発された新型アンテナ。
VAIO S13/VAIO Pro PGは今の時代の標準機になれそうな1台
VAIOといえばソニー時代より、尖った製品を数多く出しているメーカーの印象がまだまだ強いのですが、独立して10年が経過した現在、ユーザーの9割が法人と、しっかりとしたビジネスPCメーカーとしての地位を確立しつつあります。
国内メーカーとして国内のユーザーに向け製品を堅実に開発してきたVAIOだからこそ、日本の現在の働き方をキャッチアップできているともいえ、その上で企画、開発されたVAIO S13/VAIO Pro PGは、今の時代のモバイルノートPCの標準機にもなれるほど、完成度の高い1台に仕上がっていると説明会で話を聞いた限りでは感じました。