米Micronは米国時間の2月18日、同社のG9 TLC NANDを搭載したクライアント向けSSDとしてMicron 4600 SSDを発表した。これに関する記者説明会が2月20日にオンラインで開催されたので、この内容をご紹介したい。
今回発表されたMicron 4600 SSDはメインストリーム向けから上、AI PCやGaming向けなどハイパフォーマンスPCに向けた製品となっている(Photo01)。要するにPCIe Gen5に対応する事で、より広い帯域を利用する事が可能になり、これによってシステム全体の性能が向上する、というものである。
Photo02が主要な特徴で、従来の同社のPCIe Gen4対応SSDと比べて概ね2倍の帯域と高いエネルギー効率を誇り、例えばPCMark 10でのスコアが38%向上するといった具合にアプリケーション性能にも影響があるとしている。具体的にこのMicron 4600 SSDを利用する事で性能向上が期待できる用途、というのがこちら(Photo03)。身近なところではDirectStorageを利用するようなゲームではロード時間が半減とは言わないものの明確に時間が短縮しそうである。これは特にAI PCで顕著、というのが同社の説明(Photo04)である。現時点で価格などの情報は公開されていないが、まぁGen4世代よりは上がるので、多少価格にプレミアがついても許容されるAI PCやGaming PCが最初のターゲットという事かと思われる。
さて、そのMicron 4600 SSDが画期的なのはこちらのスペック表(Photo05)を見ると判る。性能はともかくとしてSleepで3.5mW未満、Active Idleで150mW未満、Active Readで8250mW未満というのはかなり少ない消費電力である。前世代製品であるMicron 3500シリーズの場合Sleepが5mW未満、Active Idleが400mW未満、Active Read/Writeが8250mW未満となっており、つまりGen4 SSD以下の消費電力に抑え込んでいる事が判る。
このMicron 4600 SSDは、SSDコントローラにSiliconMotionのSM2508を採用しているという事が判明した。これにより、現実的な(≒Active Heatsink無しで普通に使える)ソリューションになった、という事である。実を言えばMicronは2023年にCrucialブランドでT700 PCIe Gen5 SSDを発表している。今はT700ではなくT705に名前が変わっているあたり、何か仕様変更があったのかもしれないが、こちらは発熱が課題となったPHISONのE26を利用した仕様であり、Active Heatsink(か、高さが数cmもあるような巨大なPassive Heatsink)を併用しないと性能が落ちたり寿命が縮んだり、という問題があった。今回Micronブランドで出したというのは、SM2508の採用で普通のSSDとして利用できる環境になった、という事の裏返しかと思われる。
性能を出すために8chのNAND Flash channelをフルに生かし、かつDRAMキャッシュを搭載する事もあってか、今のところサイズは2280のみが用意されている(2242でも厳しいだろう)。ただ説明によれば片面PCB基板で実装出来たとしている。これはNAND Flashを最大16枚まで積層して1つのチップにしているからだそうで、なので8chをフルに使っているとはいえ、基板そのものは割とすっきりしている様だ。
Micron 4600 SSDは現在サンプル出荷中である。量産出荷の時期や価格などは公開されていないが、普通に考えれば現在のMicron 3500シリーズより安くなることは無いだろうと思われる。