シャープといえば「水で焼く」ウォーターオーブンのヘルシオシリーズで人気。そんなヘルシオシリーズ20周年の節目となる今年は、ウォーターオーブントースター「ヘルシオ トースター AX-WT1」(以下、ヘルシオ トースター)を発売します。

新製品はトーストのおいしさにこだわり、焼き色だけではなく食感まで自分好みに焼き上げられるのが特徴。発売日は12月5日、価格はオープンで市場想定価格は33,000円前後です。

  • 奥行きのある楕円形の窓がついた新ヘルシオ トースター。表面は鋳物を思わせるザラザラとした質感で高級感があります

  • ほとんどのトースターは裏側に無塗装の金属板を配置していますが、ヘルシオ トースターは裏側までしっかり塗装。カウンターなどに置いても生活感がでません

ヘルシオ オーブンと同じ過熱水蒸気ユニットを搭載したトースター

この数年で多くの高級トースターが「スチームを使ってパンを焼く」機能を搭載しています。しかし、そのほとんどの製品は100℃前後の水蒸気で加熱サポートするだけ。実際にパンを焼く役目を担っているのはヒーターです。

そんななか、過熱水蒸気により本当に「水で焼く」機能を搭載したのが2016年に発売したシャープのオーブントースター「ヘルシオ グリエ」でした。今回発表されたヘルシオ トースターは、ヘルシオ グリエの構造をすべて一新。より「自分好みのパン」が追求できる新シリーズです。

  • たっぷりの蒸気を使うため、焼きはじめは蒸気で窓が真っ白に。2枚焼きタイプのトースターですが、過熱水蒸気ユニットを搭載するため、本体サイズは幅340×奥行き363×高さ270mm、重量は約5kgとちょっと大きめです

  • ドア内側には蒸気を逃がさないためのパッキンを配置。しっかり水を利用するヘルシオならではの構造です。調理中はパッキンの隙間である扉左上方向から蒸気がモクモクとあがります

  • ヘルシオ グリエでは本体上部にあった水タンクの位置が、本体下側に変わりました。従来は「水タンクを挿入すると電源ON」という構造でしたが、新製品は電源ボタンが独立しています。そのぶん、水の補充忘れには注意が必要になりそうです

ちなみに、過熱水蒸気とは100℃前後の水蒸気をさらに過熱したもの。100℃を越える超高温になるので食材を「焼く」ことも可能という気体です。

シャープの人気ウォーターオーブン ヘルシオは、まさにこの過熱水蒸気を利用した調理家電。そして、ヘルシオ トーストにもヘルシオ オーブンと同等の過熱水蒸気ユニットが内蔵されています。一般的にトーストが美味しく焼ける条件は「いかにパンを乾燥させないか」にかかっています。水で包み込むようにパンを焼くヘルシオ トースターは、パンを焼く条件としてかなり有利なのです。

  • ヘルシオ トースターに内蔵されている過熱水蒸気ユニット「ヘルシオエンジン」

  • 左が一般的なトースターで焼いたフランスパン。右はヘルシオ トースターで焼いたもの。見た目に違いはありませんが、ヘルシオで焼いた物は中がシットリともちもちした弾力があります。外側はちゃんとカリッと香ばしい仕上がりです。とくに大きく違うのが冷えたあと。一般的なトースターで焼いたパンは、冷えると乾燥して硬くなったのに対し、ヘルシオは冷えてもモチモチ感が続いていました

食材の「ふわふわ度」が変わるとどうなるのか? 試食した

従来までのヘルシオ グリエとヘルシオ トースターの違いは「オートメニュー」。ヘルシオ グリエは焼き時間などを自分で設定する必要がありましたが、ヘルシオ トースターは「トースト」「厚切りトースト」「クロワッサン」など、メニュー画面で食材を選ぶだけでトースターが自動的に美味しい焼き加減に調整してくれます。

最近は「自動モード」を搭載した高機能トースターが増えていますが、ヘルシオ トースターが他と違うのが、焼き色のほかに「ふわふわ度」が選べる点。パンをふわふわに仕上げるには、パン内部の水分量が重要。ふわふわ度が調整できるのは「水で包み込みながら加熱する」ヘルシオならではの強みです。

  • ヘルシオ トースターのメニュー選択画面。焼き加減は5段階、ふわふわ度は3段階から選択できます。メニューはダイヤル右回りで選択。左に回すと「よく利用するメニュー」をひとつメモリさせることができます

  • 本体上部にある自動メニューの一覧表。メニュー名横に雪の結晶マークがあるのは冷凍モードが選択可能。湯気マークは「ふわふわ度」が選べるメニューです。このほか、120~260℃(20℃単位)の手動モードも選べます

いままでのトースターにはない「ふわふわ度」ですが、どれくらい食感は変わるのでしょうか? 実際にトーストの焼き色3で「ふわふわ度」1と3焼いてみました。

焼き上がりの見た目はほぼ同じで、どちらも外側はカリッと香ばしいですが、3のほうがクラム(パン内部の白い部分)の食感が柔らかくシットリとして滑らか。一方、1のほうが弾力がありモチモチ度が高いように感じます。どちらも違う美味しさがあるので、個人の好みにあわせた設定を選ぶ楽しさがありそうです。

  • 焼き色3、ふわふわ度3で焼きあがったトースト。焼きムラは少なさも優秀です

  • 左がふわふわ度1、右がふわふわ度3のトースト。正直焼き色だけでは違いがわかりませんが、食べると食感の違いは歴然

楽しみ方が増えそうなヘルシオならではのメニューも

ヘルシオ トースターはもちろんパン以外の調理にも利用できます。なかでも優秀なのが惣菜や揚げ物のあたため直し。ヘルシオ トースターは熱量が大きい過熱水蒸気を使うため、外だけを焦がすことなくなかまでしっかり加熱できるのです。

実際、市販の冷凍から揚げを一般的なトースターとヘルシオ トースターで温め直してみると、ヘルシオ トースターの方が中心部の温度が高くなっていました。

  • 左が一般的なトースター、右がヘルシオ トースターで温め直した冷凍唐揚げ。どっちも表面がジュワジュワというくらい加熱されていましたが、中心温度は一般的なトースターが40℃以下、ヘルシオトースターは90℃以下と大きく異なっています

  • 温め直しなどに利用する付属の「コーティングトレー」。一般的なトースターのトレーより深めの形なので、色々な料理に応用できそう。網より洗うのが楽そうな点も魅力

  • 「焼き野菜」モードなら余った野菜が豪華な一品に

パン以外のモードで面白いのが、餅と焼き芋の調理モード。餅は通常の焼き目がつく「もち」以外に「もち(やわらか)」モードを搭載。一般的なトースターでは調理出来ない、焼き目をつけない搗きたてのような全面柔らかな仕上がりの餅が調理できます。

焼き芋も高温で焼き上げる一般的な「焼きいも」のほか、低温でじっくり甘みを引き出しながら焼く「焼きいも(低温焼き)」モードを搭載。低温でムラなく全体を加熱できるのは、過熱水蒸気を利用するヘルシオならではの魅力でしょう。

  • 通常のもちモードで焼いた餅と、もち(やわらか)で調理したもち。「やわらか」だと外側が硬くならないので、きなこ餅や磯辺餅などを作るのにピッタリ

この数年は生トーストが登場するなど、食パンの柔らかさやクラムの滑らかさにこだわる人も増えてきました。そんな人にとっては今回の「ふわふわ度」が選べる機能は嬉しいものとなるのではないでしょうか。

また、他社トースターとはまったく異なる加熱ができるヘルシオ トースターは、パンをサクッとモチモチに美味しく加熱できるのはもちろん、幅広い調理にも力を発揮してくれます。そう考えると、本製品はかなりコストパフォーマンスが高い製品といえそうです。