ソニーは、薄型テレビ「BRAVIA」2024年夏モデル 4シリーズ12機種を8月10日から順次発売する。価格はすべてオープンプライスで、店頭予想価格は最上位「BRAVIA 9」シリーズの85型が110万円前後、「BRAVIA 7」シリーズの55型が35万2,000円前後など。

  • 最上位ミニLED液晶「BRAVIA 9」シリーズの85型「K-85XR90」

2024年夏のBRAVIAは、4K有機ELの2シリーズ5機種、4KミニLED液晶の2シリーズ7機種を用意。BRAVIAをより知ってもらい、シリーズ製品の特徴を分かりやすく訴求するために、ブランド名だけでなく製品名にも「BRAVIA」と数字を冠したマーケティングネームを新たに導入した。また海外市場と同様に、BRAVIAとサウンドバーの組み合わせで映画を楽しむことをアピールする“CINEMA IS COMING HOME”というキャッチフレーズを使い、日本市場でも2024年度からプロモーション展開していく。

なお、2023年に海外発表し、日本市場でも今回新たに導入する有機EL「A95L」シリーズについては上記のマーケティングネームをつけず、そのままの製品シリーズ名で展開する。

  • 「BRAVIA 9」(XR90):最上位ミニLED液晶
  • 「BRAVIA 8」(XR80):有機EL
  • 「BRAVIA 7」(XR70):ミニLED液晶
  • 「A95L」シリーズ:有機EL(QD-OLED)
  • 最上位ミニLED液晶「BRAVIA 9」シリーズの65型「K-65XR90」

  • 有機EL「BRAVIA 8」シリーズの55型「K-55XR80」

  • ミニLED液晶「BRAVIA 7」シリーズの65型「K-65XR70」

  • 有機EL(QD-OLED)「A95L」シリーズの65型機「XRJ-65A95L」

'24年モデルのうち、BRAVIA 9/8/7では、進化したソニー独自のプロセッサー「XR」(テレビの画質・音質を制御する心臓部)を搭載。AI(機械学習)を使った新たな検出機能を搭載して画質向上を追求し、映像をさらに立体的に見せられるように改良している。

具体的には、これまでのXR搭載機種では難しかったシチュエーションでの(映像内の)顔検出を強化。遠景の群衆の顔ひとつひとつや、逆に顔のアップでも人と認識し、適切な画質調整を行えるようにした(ただし、アニメでは同じように目口鼻があっても人とは認識しないという)。もうひとつ、映像の中に出てくる緑色のオブジェクトの検出も強化しており、たとえば映像に映った野菜や、風景の木々一本一本なども認識できるとのこと。

サウンド面でもBRAVIA 9/8/7は進化。ソニーのサウンドバーとBRAVIAをつなげたときに使える「アコースティックセンターシンク」という機能をこれまでのBRAVIAでも搭載してきたが、BRAVIA 9/8/7と対応するサウンドバー/サラウンドシアターシステムをつないだ場合は、自動でテレビ側のスピーカーとサウンドバーの音響調整を行い、ひとつのスピーカーシステムとして動作。これにより、“映画館と同じ音響”を楽しめるようにした。

  • 「BRAVIA 9」シリーズの75型「K-75XR90」

  • 「BRAVIA 8」シリーズの65型「K-65XR80」

  • 「BRAVIA 7」シリーズの85型「K-85XR70」

手持ちのスマートフォンでBRAVIAを操作できる「ブラビアコネクト」アプリを新たに提供開始。BRAVIA 9/8/7と対応するサウンドバー/サラウンドシアターシステムで使え、電源オン/オフや音量調整、入力切替といった基本的な操作から、画質モードの変更まで各種操作をスマホから行えるようにした。

  • 「ブラビアコネクト」アプリの画面イメージ

  • 画質モードの変更もスマホから行える

このほか、'24年モデル全シリーズの共通機能として、ソニーと映像配信サービス各社が協業して開発した“クリエイターの意図を忠実に再現できる画質モード”「Studio Calibratedモード」を新搭載。Netflix画質モード、Prime Video画質モード、SONY PICTURES CORE画質モードの3つを用意し、各社のコンテンツを楽しむときに視聴環境に合わせた画質調整を自動でセッティングしてくれるという。

  • Netflix画質モード:室内環境に合わせて最適な画質設定に調整
  • Prime Video画質モード:映画、スポーツ中継など各種コンテンツに合わせた画質設定に調整
  • SONY PICTURES CORE画質モード:複雑な設定なしでIMAX Enhanced画質やDTS音質に切り替える
    ※明るさ設定は固定
  • 「A95L」シリーズの65型機「XRJ-65A95L」

また、'24年モデル全シリーズでPSリモートプレイアプリを搭載しており、高速なネットワークにブラビアやPlayStation 4/5をつないでいる場合は、機器同士が離れた場所(リビングと個室など)にあってもゲーム機を遠隔操作できるように。ブラビア側のゲームメニューにも対応する。ちなみに、'24年モデルは無線LANの最新高速規格「Wi-Fi 6E」(IEEE 802.11ax/6GHz帯)も全機種でサポートする。

  • BRAVIA '24年モデルは全機種でPSリモートプレイアプリを搭載

このほかECOメニューも進化。同メニューは従来から備えている機能だが、新たにテレビの消費電力をリアルタイムでチェックしたり、年次/月次/週次/日次で使用電力を“見える化”したりするといった機能を追加している。

  • ECOメニューでテレビの消費電力をリアルタイムに確認

  • 使用電力をグラフで“見える化”する新機能も追加

最上位のBRAVIA 9シリーズは、液晶のバックライトをコントロールする技術「XR Backlight Master Drive」を大幅に進化させ、「4Kブラビア史上最高輝度」を実現した点が大きな特徴。

ミニLED光源を制御するLEDドライバーには、グループ会社のソニーセミコンダクタと共同開発した独自の超小型LEDドライバー(マイクロIC)を採用。ゴマ粒よりも小さなドライバーをミニLEDの区画ごとに規則正しく配置し、22bit信号で緻密に制御する。2023年モデルの「X95L」シリーズ比でエリア分割数は約3倍、ピーク輝度1.5倍に引き上げながら、電力効率を高めることで消費電力も従来より削減できたとのこと。

報道陣向けに公開した実機展示では、BRAVIA 9シリーズの65型(K-65XR90)と、ソニーの業務向け31型4K液晶マスターモニター「BVM-HX3110」(2024年2月発売/ピーク輝度4,000cd/平方メートル)を並べ、描写力の比較デモを行っていた。夜景や昼間の風景映像、測定用のテストパターンなど複数の映像を見比べることができ、最新のBRAVIA 9シリーズは、放送や映画製作の現場において映像や信号の品質確認・評価を行うためのマスターモニターに近い描写性能を持っていることがうかがえた。

  • 65型の「BRAVIA 9」(上)と、ソニーの業務向け31型4K液晶マスターモニター「BVM-HX3110」(下)を並べた描写比較デモ

  • BRAVIA 9シリーズのバックライト基板。ゴマ粒ほどの超小型LEDドライバー(黒い点)が、ミニLED群とともに規則正しく配置されている。このLEDドライバーは、ソニーセミコンダクタと共同開発した独自のマイクロICとのこと

BRAVIA 2024年モデルのラインナップと想定売価 / 発売日

■4KミニLED液晶「BRAVIA 9」シリーズ(8月10日発売)

  • 85型「K-85XR90」:110万円前後
  • 75型「K-75XR90」:82万5,000円前後
  • 65型「K-65XR90」:66万円前後

■4K有機EL「BRAVIA 8」シリーズ(8月31日発売)

  • 77型「K-77XR80」:93万5,000円前後
  • 65型「K-65XR80」:55万円前後
  • 55型「K-55XR80」:41万8,000円前後

■4KミニLED液晶「BRAVIA 7」シリーズ(8月31日発売)

  • 85型「K-85XR70」:71万5,000円前後
  • 75型「K-75XR70」:55万円前後
  • 65型「K-65XR70」:44万円前後
  • 55型「K-55XR70」:35万2,000円前後

■4K有機EL(QD-OLED)テレビ「A95L」シリーズ(8月10日発売)

  • 65型「XRJ-65A95L」:77万円前後
  • 55型「XRJ-55A95L」:60万5,000円前後