リコーイメージングのフィルムカメラ新製品「PENTAX 17」が7月12日、いよいよ発売になります。「令和の時代にいまさらフィルムカメラ、しかもハーフサイズ? 誰が買うの…!?」という懐疑的な予想は完全に外れ、6月の発表直後から販売店には予約が殺到し、またたく間に入荷待ちとなりました。「中古とは違ってトラブルなく使える新品のフィルムカメラが欲しい」と考える人が、メーカーの想定以上に多かったようです。
PENTAX 17の使い勝手や描写性能については、フィルム時代からさまざまなカメラを使ってきた大浦タケシカメラマンによる「エモさよりも精細さ重視! 『PENTAX 17』は現代的な仕上がりのフィルムカメラだった」で実写画像付きで詳しく紹介しています。かつてのフィルムコンパクトカメラ「PENTAX エスピオ ミニ」のトリプレットレンズ(3群3枚レンズ)をもとにハーフサイズ用に新規設計したレンズは、マルチコーティングの効果もあり、かなり精細な像を結んでいました。
フィルムカメラは、かつてのフィルムカメラ全盛期を知らないZ世代を中心とした若年層がブームをけん引。スマホできれいな写真が手軽に撮れる時代に、なぜお金と手間のかかるフィルムカメラをあえて好むのでしょうか? 独特のぼんやりとした写りや、「現像に出すまでは何が写っているか分からない」という不便さが逆にエモい、新鮮だ、と好まれていることが分かりました。
さらに驚いたのが、「現像した写真は一切プリントしない」「現像済みのネガはいらないので捨てちゃう」「きれいに撮れないカメラはどれか、と聞いてくる」といったZ世代の考え方。Z世代のフィルムカメラファンが多く来店する新宿 北村写真機店の担当者に取材した驚きの実態は、「Z世代のフィルムカメラブーム、驚きだらけ ネガは捨てる、オリンパスμだけが欲しい」で詳しくリポートしています。
昨今、フィルムや現像代が高騰していることもあり、PENTAX 17をはじめとするハーフサイズカメラのよさが改めて見直されています。新宿 北村写真機店では、コダックブランドの簡易型ハーフサイズカメラの新品が1万円チョイで購入できますが、往年のハーフサイズカメラの中古品も比較的リーズナブルな価格で手に入ります。「じわり盛り上がる『ハーフサイズ』のフィルムカメラ、魅力と選び方」の記事では、ハーフサイズカメラのイロハや購入時の注意事項を解説しています。
PENTAX 17のスマッシュヒットを受け、国内外のさまざまなメーカーがフィルムカメラを投入する可能性があります。すでに、中国メーカーが金属ボディのフィルムコンパクトカメラを開発したという話もあり、製品開発のスピードが速い中国メーカーがフィルムカメラ市場を面白くしてくれるかもしれません。令和のフィルムカメラブーム、しばらく目が離せません。