富士フイルムは3月27日、アナログインスタントカメラ「チェキ」の新製品「INSTAX mini 99」を発表した。カメラの内部にLEDを搭載し、さまざまな色の光をフィルムに照射して色表現を変えるカラーエフェクトコントロール機能をシリーズで初めて搭載。周辺光量をあえて落とすビネットモード、5段階の露出補正機能など、デジタル処理をしないアナログのチェキカメラながら好みの表現で撮影できる機能を盛り込んだ。アナログ撮影を楽しむ20代の男性を中心に売り込む。

価格はオープンで、予想実売価格は28,600円前後。発売は4月11日。

  • アナログ方式のチェキカメラながら、さまざまな機構で表現を変えた撮影が楽しめる「INSTAX mini 99」

  • INSTAX mini 99を手にする、富士フイルム イメージングソリューション事業部長の山元正人氏

写真を撮ったらチェキフィルムに必ずプリントするアナログインスタントカメラの最上位モデル。デジタル処理ではなく、アナログ処理の力業でさまざまな表現を加えた撮影ができるようにした。「LEDでフィルムを感光させたり、光量落ちの表現にするなど、写真の世界では“禁じ手”とされてきた機能を盛り込んだ。デジタルで何でもできる時代だが、あえてアナログでの表現にこだわった」(富士フイルム担当者)

  • アナログチェキカメラのフラッグシップだけあって、クラシック調に仕上げた外観は高級感がある。自撮り用のミラーは搭載しない

  • アナログチェキカメラとしては珍しく、背面に情報表示用の液晶パネルを搭載

  • 液晶パネルでは、セルフタイマーやカラーエフェクトの種類などが確認できる

  • レンズ部のリングでマクロモードなどが切り替えられる

新機能の1つが、写真の色表現を変えられるカラーエフェクトコントロール機能。カメラの内部に4つのLEDを搭載し、さまざまな色で発光してフィルムに露光させることで写真の色あいを7種類に変えられる。光が漏れて一部が感光したような表現も可能。

  • 裏蓋を開けると、レンズの周囲に4つのLEDが搭載されているのが分かる

  • 露光時にLEDがこのように発光し、撮影した写真の色合いを変更する。実際の発光の時間は数十分の1秒程度と一瞬だ

  • このモデルさんをカラーエフェクトコントロール機能+ビネットモードで撮影したところ…

  • このような味のある仕上がりになった。左は、一部が感光したような表現のカラーエフェクト。このようにフィルムが感光してしまうのは、これまでのフィルム写真では明らかな失敗だが、あえてこのような表現を盛り込んだ

写真の周辺部が黒く沈んだ周辺光量落ちを再現するビネットモードも搭載する。レンズ部のスイッチをオンにするとレンズの開口部を狭める板が現れ、周辺光量落ちの状態で撮影できる。中心部の被写体を引き立たせたい撮影に向く。

  • レンズの右側にビネットモードのスイッチを用意する

  • ビネットモードにすると、レンズの開口部が狭まり、周辺光量落ちの状態で撮影できる

露出補正のように写真の濃淡を5段階に調整できる濃淡調整機能も新たに搭載した。カメラのダイヤルで設定でき、シャッター速度やストロボを調整して表現する。2回シャッターを切って像を重ねる二重露光機能や、シャッターボタンを押している間露光するバルブモードも用意する。

  • 左はカラーエフェクト設定用のダイヤル、右は濃淡調整機能のダイヤルだ

バッテリーは取り外し可能な充電式バッテリーで、USB Type-C接続の専用充電器を用いて充電する。フル充電時の撮影枚数は約100枚。

  • フィルムをイメージしたデザインを余白に施した新しいチェキフィルム「PHOTO SLIDE」。2024年夏ごろ発売予定

  • 意外に知らないチェキのプリントの仕組み。チェキフィルムは18もの層で構成されており、色の三原色の層が独立して存在している。レンズから入った光は、チェキフィルムの裏の黒い部分に当たって感光する仕組み