ASUS JAPANから3月6日、ROGブランドのゲーミングノートPCの2024年モデルとして「ROG Zephyrus G16」が発売される。ROG Zephyrus G16はCPUにIntelの新型プロセッサー「Core Ultra」を搭載するなど、既にその仕様や外観は1月に米ラスベガスで開催されたCES 2024で発表されているため、発売を待っていた人も多いだろう。
今回は国内での発売に先駆けてROG Zephyrus G16をASUS JAPANからお借りすることができたので、外観や性能のレビューを行っていく。
従来のゲーミングノートPCとは一線を画す薄さ
さっそくROG Zephyrus G16の各部を写真でチェックしていこう。
ROG Zephyrus G16はCNC加工されたアルミニウムを筐体に採用している。そのため質感も高く工作精度も高いため、高級感がある。また剛性も高い。実際に持ち運ぶ場合のカバンへの収まりや、持ち運んだことでの筐体の歪みなどを心配する必要はないだろう。
ROG Zephyrus G16では、天板を斜めに横断するように白色LEDが配された「SLASH LIGHTING」というイルミネーション機能が設けられている。ASUSお馴染みの統合管理ソフト「Armoury Crate」で発光パターンを変更することが可能だ。
搭載されている16インチのOLEDディスプレイの発色も非常に鮮やかだ。搭載されているスピーカーの音質もいいため、ゲームだけでなく動画視聴での満足度も高い。
外部接続端子は本体左右に設けられている。本体右側面にはThunderbolt 4、USB 3.2 Gen 2に対応したUSB Standard-A、SDXCメモリーカードリーダーがある。本体左側面にはACアダプタの接続ポート、HDMI、Thunderbolt 4、USB 3,2 Gen 2対応のUSB Standard-Aポート、マイク/ヘッドホン用の3.5mmミニプラグがある。
左右それぞれにThunderbolt 4とUSB Standard Aポートが用意されているので、キーボードやマウスをケーブルの取り回しのいい方に取り付けることができる。またHDMIポートとThunderbolt 4を活用すれば外部ディスプレイも最大3枚出力できるため、自宅ではマルチディスプレイでゲーム環境を構築するといったことも可能だ。
特に優れていると感じたのは、本体サイズと重量だ。
ゲーミングノートPCでありながら本体は最薄部で14.95mmとかなり薄く、重量も2kgを切っている。ネットワークも高速なWi-Fi 6Eに対応しているので、LANパーティのようにゲーミングイベントに持ち出して使うのも苦にならない。まさに家でも外でもゲームの相棒として使い倒せる1台がROG Zephyrus G16だ。
唯一残念な点があるとすれば有線LANポートがないことだが、どうしても必要な場合はThunderbolt 4でマルチポートのドッキングステーションなどに繋いで利用するといいだろう。
ACアダプタは最近多いUSB PDに対応したタイプではなく、専用端子に接続を行うタイプ。最大主力は200Wと大きく、それに伴いACアダプタも最近のノートPCとしては大型の部類に入るだろう。
ROG Zephyrus G16の仕様
次に今回ASUS JAPANからお借りしたROG Zephyrus G16の仕様を確認していこう。
ROG Zephyrus G16には搭載されてるCPUやGPU、ディスプレイの違いで3つのSKUが用意されているが、今回借りたモデルは中位の「GU605MI-U9R4070G」。439,800円のモデルである。CPUにはCore Ultraの最上位モデル「Core Ultra 9 プロセッサー 185H」を、GPUには「GeForce RTX 4070 Laptop GPU」が搭載されている。
メモリ容量は32GB、SSDは1TBのM.2 NVMe SSDを搭載している。また搭載されている16インチのディスプレイはOLEDで、解像度は2,560×1,600ピクセル、さらにリフレッシュレートは240Hzまで対応している。
- OS:Windows 11 Home
- プロセッサ:Intel Core Ultra 9 プロセッサー 185H
- メモリ:LPDDR5-7467 32GB
- ストレージ:1TB SSD PCIe 4.0
- グラフィックス:NVIDIA GeForce RTX 4070 Laptop GPU
- ディスプレイ:16.0型OLED 2,560×1,600ドット
- 価格:439,800円
ゲーミングノートPCとしてはかなりの高性能で、搭載されているGPUとディスプレイ解像度の組み合わせを考えると、多くのゲームで1440pに設定した際に、十分過ぎる動作をする1台と考えていいだろう。
Intel Core Ultra搭載ゲーミングノートPCの性能をチェック
ここからROG Zephyrus G16の性能を各種ベンチマークテストを通じ確認していこう。
まずはCPU単体の性能を3Dレンダリングを通じテストする「CINEBENCH R23」を実行し、ROG Zephyrus G16に搭載されたIntelの最新CPU「Core Ultra 9 185H」の性能をチェックした。
シングルコアで1892ポイント、マルチコアで15698ポイントを記録した。この記録はかなり高い。具体的にはデスクトップ向けの最新世代のCPUにも負けないくらいシングルコア性能が向上している。流石にマルチコアになると高性能コアの数や排熱の問題などもあり、デスクトップ向けのハイエンドCPUと同等とはならないが、それでもノートPC向けのCPUとしてはかなりの好成績を残している。
続いてブラウジングやオフィスソフトの操作、ビデオ会議など一般的なPC操作でのパフォーマンスを「PCMark 10」を実行し確認した。こちらもスコアとしては6997ポイントとなった。ノートPCとしては普通の結果といえるのだが、テスト内容を考えるとROG Zephyrus G16の強みである高速なGPUなどは活きてこないため仕方のない結果といえるだろう。
では、GPUをフル活用するテストならROG Zephyrus G16の本領発揮となるはずだ。
ここからはGPUをフル活用すべく、ゲーム性能をテストする「3DMark」「ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク(以下、FF14ベンチマーク)」「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク(以下、FF15ベンチマーク)」、そしてAAAタイトルであり重量級タイトルである「Cyberpunk 2077」を実行し性能をチェックした。
3DMarkはテストによって実行時のレンダリング解像度が異なる。ROG Zephyrus G16のディスプレイ解像度が2,560×1,600ピクセルであることを考慮し、テストは2,560×1,400ピクセルまでの解像度でテストを行う「Time Spy(WQHD)」「Fire Strike Extreme(WQHD)」「Fire Strike(フルHD)」「Night Raid(フルHD)」を実行した。
またROG Zephyrus G16に搭載されている「GeForce RTX 4070 Laptop GPU」はレイトレーシングにも対応しているので、レイトレーシング性能をテストする「Port Royal」も実行した。
特にテスト中に動作が緩慢になることもなく完走することができたため、実際のゲームプレイに際してもWQHD解像度に設定し特に問題なく快適に遊ぶことができるだろう。
FF14ベンチマーク、FF15ベンチマークについても同様にROG Zephyrus G16のディスプレイ解像度にあわせた解像度設定でテストを行っている。FF14ベンチマークは今となっては軽量なゲームタイトルなので高解像度のWQHDでもスムーズに動作した。
FF15ベンチマークは2024年でも重たいゲームタイトルであり、一般的なノートPCではまず動作させることが困難なのだが、ROG Zephyrus G16ではフルHDで「やや快適」、WQHDでは「普通」と十分に遊べるという結果になった。シーンによっては動作がカクつく場面もあるため、実際のプレイに際しては画質設定を少し落とせば問題なく遊べるはずだ。
ゲームパフォーマンスの最後のテストは「Cyberpunk 2077」だ。ゲーム内に設けられたベンチマーク機能を用い、同作をプレイした場合の平均フレームレートの確認を行った。ROG Zephyrus G16に搭載されているGPUの「GeForce RTX 4070 Laptop GPU」にはNVIDIAの超解像技術「DLSS」の最新版「DLSS 3」に対応している。
またCyberpunk 2077もDLSS 3に対応しているため、デスクトップPCのGPUでなければ動作が困難といわれている超重量級のゲームタイトルでも遊べるかもしれない。そこで今回は設定でDLSS 3を有効にした。DLSS 3にも画質優先・動作優先でいくつかのプロファイルが用意されており、今回は敢えて重ための「クオリティ」を選択し平均フレームレートを計測している。
かなり重い設定ということもあり、29.91fpsと遊べなくはない結果になった。超重量級のゲームタイトルの売りは凝ったグラフィックなのだが、ここをもう少し調整すれば60fpsでの動作も行えるだろう。
そして性能テストの最後として、ROG Zephyrus G16に搭載されたSSDの性能をチェックした。テスト機に搭載されていたSSDはウエスタンデジタルの「SN560」。内部接続はPCI Express 4.0 x4で高速な読み書き速度が期待できるSSDだ。
パフォーマンステストには「CrystalDiskMark」を用い、プロファイルはNVMeに、テストパターンは通常に加え「All 0x00」の2パターンで計測を行った。どちらのテストでもシーケンシャルリードは4,000MB/秒を超える十分に高速な結果となった。
これだけの速度が出るSSDであれば重たいゲームの起動時に待たされることはないだろう。
Core Ultraに搭載された「Intel Arc」の実力は?
ROG Zephyrus G16に搭載されたIntelの新型CPU「Core Ultra」だが、CPUとしての性能向上だけでなくCPUに内蔵されたGPUが刷新、性能向上していることも注目を集めている。
従来のIntel製CPUに搭載されているGPUはノートPC向けの統合型GPU「Intel UHD Graphics」を祖とするあまりパワーのないGPUだったのだが、Core Ultraにはデスクトップ向けのGPUである「Intel Arc」をベースとした新型GPUが搭載されている。
そこで今回は設定からGeForce RTX 4070 Laptop GPUを無効にし、Core Ultraに内蔵されたIntel Arcでここまでに行ったテストの一部を実行し、その実力チェックも行った。なおテスト時間の都合、本当にごく一部のテストとなっている点はご容赦願いたい。
3DMarkでは「Time Spy Extreme」「Time Spy」を、またFF14ベンチマークはフルHDとWQHDを、FF15ベンチマークではFHDでテストを行っている。
3DMarkのテスト結果では概ね従来のIntel製CPUに内蔵されたGPUの倍くらいのスコアを記録している。また軽量なFF14ベンチマークはどちらの解像度でもそれなりに遊べそうな結果を出している。FF15ベンチマークはフルHDでも動作が厳しそうな結果になってしまった。
Intel Arcといっても「デスクトップ向けのものがそのまま載っている」のではなく「Intel ArcをCPUに内蔵できるようにした」ものなので、性能についてはそれなりに抑えられている。 が、それでも従来のIntel製CPUの内蔵GPUよりはパワーはあり、軽量なゲームであればGeForce RTX 4070 Laptop GPUを使わなくても遊ぶことができるだろう。
まとめ
ゲーミングPCの中でも代名詞的にブランドが知れているASUS ROGの最新ゲーミングノートPCとなる「ROG Zephyrus G16」だが、テストを通じてゲーミングノートPCに求められる性能が十分にあることを確認することができた。
また、ゲーミング性能だけでなく、薄く軽量で剛性も高い筐体は持ち運んで使える利点があり、SDXCカードスロットを搭載している点にも目を向ければカメラとの連携にも強いといえる。CPUやGPUも高性能なのでクリエイティブ向けにも十分にその性能を発揮できるはずだ。
また、製品名を改めたIntelの新型CPU「Core Ultra」はCPU性能だけでなくGPU性能も向上していることを確認できた。玄人向けの設定になるが、Windowsの設定やNVIDIAコントロールパネルから利用するGPUを切り替えたり特定アプリで使うGPUを指定することもできる。
GeForce RTX 4070 Laptop GPUのパワーを必要としないシーンでは敢えてIntel Arcを指定することでバッテリー駆動時間を延ばすような使い方をするのもアリだろう。
ROG Zephyrus G16は性能、外観、どちらをとってもオールランダーな1台だ。ノートPCで家でも外出先でも1台でこなしてしまいたい人には特にオススメしたい。