パナソニックが、Lマウント用の中望遠マクロレンズ「LUMIX S 100mm F2.8 MACRO」を発売しました。100mm前後の中望遠マクロレンズの常識を覆すほど軽量コンパクトな仕上がりながら、描写性能もAF性能も不満なし。カメラを使いこなしている人ほどサイズ面のインパクトが大きく、ほかのマウントのミラーレスユーザーがうらやましく感じる意欲作だと感じました。
このクラスでは圧倒的な小型軽量、手ブレ補正は搭載せず
ミラーレス用の交換レンズは、究極の描写性能や明るさを追求するよりも、小型軽量に仕上げるのが最近のトレンドになっています。背景には「ミラーレス化でボディが薄く軽くなったのに、レンズが大きく重くては小型軽量ボディが台なし…」「一式が重くてかさばると気軽に持ち出せない…」という意識が多くのユーザーに広がっていることや、動画撮影での扱いやすさを重視する傾向が強くなっていることなどが挙げられます。
そのような流れを背景に、パナソニックが2月15日に発売したのが、Lマウント対応の中望遠マクロレンズ「LUMIX S 100mm F2.8 MACRO」。最大の特徴が、フルサイズ対応ながら驚くほどの小型軽量に仕上げていること。フルサイズに対応した100mmクラスの中望遠マクロレンズといえば、ある程度レンズが長く重くなるのが当たり前でしたが、その常識を覆すサイズ感に収まっています。重さは298g(フード、レンズキャップなし)と、他社の中望遠マクロレンズの実に半分以下。
注目できるのが、「LUMIX S 18mm F1.8」をはじめとする開放F1.8の単焦点レンズシリーズと同じサイズに仕上げていること。レンズの長さ、太さ、フィルター径だけでなく、ピントリングの形状もまったく同じ。レンズ交換をしても撮影感覚が変わらずに済むほか、ジンバルにカメラを載せての動画撮影の際、バランス調整が最小限で済むメリットもあります。
唯一、小型軽量化で省略されたものがレンズ内の手ブレ補正機構です。シグマ「fp」など、ボディ内手ブレ補正機構がないLマウントカメラと組み合わせて使う際は、シャッター速度をある程度上げるなどの対策が必要になるでしょう。
描写性能も撮影感覚も不満なし、手ブレも心配いらず
LUMIX S 100mm F2.8 MACROをパナソニックのフルサイズミラーレス「LUMIX S5II」(DC-S5M2)に装着して使ってみました。描写性能は上々で、最短撮影距離は0.204mと近接性能も十分。AFも素早く正確で、不満のない撮影が楽しめます。何より、LUMIX S5IIと組み合わせた際の重量は約1,038gと1kgチョイで済み、レンズを装着したままカメラをメッセンジャーバッグにサッと放り込んで持ち歩けるフットワークの軽さは魅力だと感じました。
レンズ内手ブレ補正機構を搭載しないことによる手ブレの発生を心配していたのですが、LUMIX S5IIのボディー内手ブレ補正機構のおかげでブレをしっかり抑えてくれました。驚いたのが、1/2.5秒のスローシャッターでもカメラをしっかり構えれば手ブレが防げたこと。できるだけ感度を上げたくない…という状況でも、シャッター速度をかなり稼げそうです。
実売価格は12万円前後。焦点距離がほぼ同じシグマのLマウント版中望遠マクロ「105mm F2.8 DG DN MACRO|Art」(実売価格は93,000円前後)と比べると割高ですが、シグマは約715gと重いうえに長いので、フットワークの高さを重視するならばパナソニックに分があります。
ボディが薄く軽いミラーレスカメラの魅力を高めるLUMIX S 100mm F2.8 MACRO、このレンズを使いたいからLマウントのカメラを買う、という人も出てきそうな佳作だと感じます。来たるCP+でも、パナソニックブースの目玉の1つとなるのは間違いないので、気になる人はぜひブースで試してみてください。