IIJ(インターネットイニシアティブ)は2月7日、2023年度第3四半期の決算を発表し、決算説明会を開催した。

  • 勝栄二郎代表取締役社長兼Co-CEO&COO、鈴木幸一代表取締役会長兼Co-CEO、渡井昭久専務取締役兼CFO

    決算説明会では、勝栄二郎代表取締役社長兼Co-CEO&COO(中央)が概要を発表し、渡井昭久専務取締役兼CFO(左)が詳細を説明した。右は鈴木幸一代表取締役会長兼Co-CEO(右)

2023年度の第3四半期までの累積業績は、売上が前年同期比8.5%増の2011.0億円、営業利益は前年同期比7.9%増の202.8億円。ネットワークサービス/システムインテグレーションの両領域で売上・利益ともに増加となっている。

  • 決算概要

    決算概要

ネットワークサービス領域の詳細をみると、法人向けインターネット接続サービスの売上高が前年同期比12.7%増の332.5億円で引き続き好調。第2四半期は前年同期割れとなった個人向けインターネット接続サービスも前年同期比2.0%増の187.0億円と増加に転じている。

  • ネットワークサービス領域の売上推移

    ネットワークサービス領域の売上推移

モバイル/IoTの事業状況を見ると、法人モバイルの回線数が前四半期から21.1万回線の増加で224.9万回線となった。見守りGPSトラッカーやタクシー搭載端末、ドライブレコーダーや訪日外国人向けサービスなどの大口発注が伸長の要因になっているという。

個人向けサービスのIIJmioも前四半期から1.6万回線増の123.9万回線。うち、2021年4月に提供開始した現行の料金プラン「ギガプラン」の回線数が99.5万回線を占めており、このままのペースで推移すれば第4四半期中には100万回線に達しそうな状況だ。

MVNEの回線数も前四半期から0.8万回線増の114.7万回線となっている。

  • モバイル/IoTの事業状況

    モバイル/IoTの事業状況

なお、モバイルサービスの収支に大きく影響するNTTドコモへ支払うモバイルデータ接続料について、2022年度分が2023年12月末に確定している。確定単価は前年比26.1%減の19,979円で、2022年3月時点の提示額を下回る金額になっていることから、今四半期の外注関連費用に1億円強の一括費用戻り効果が出ている。

  • モバイルデータ接続料の推移

    NTTドコモとの間のモバイルデータ接続料の推移

質疑応答では、2023年12月からの電気通信事業法の省令改正により、スマートフォンの割引規制をめぐる環境が変化していることの影響、およびそれへの対応を問う質問があった。

勝社長は「今のところ大きな影響は見受けられていません」としながら、「以前から通信と端末の分離という方針があるにもかかわらず、キャリアが乗り換えに際して残債務の解消を求めるようなやり方は法の抜け穴を探すような感じを抱いています」とし、「われわれとしてはそういうことではなく、長期利用者に対してどういう還元ができるかを検討していきたい」と語った。具体的な施策やその実施時期については明らかにしなかった。

この省令改正ではIIJが規制対象から外れることになっているが、同社としては前述のようなスタンスもあり、規制対象を外れてもガイドラインに沿った形での端末販売を行っていく方針だという。

また、MVNOが中容量から大容量帯へシフトしつつあり、月間30GBのプランなども増えてきた中で、現在20GBが最大の通信量となっている「ギガプラン」での大容量プランを投入する考えはないかという質問もあった。勝社長は「たしかに大容量の利用者は増えているので、そういうニーズに沿った新しいプランは検討しています」と前向きな姿勢を見せた。