バルミューダは2月1日、新型のトースター「ReBaker(リベイカー)」を発売します。バルミューダといえば、パンを美味しく焼けると評判のトースター「BALMUDA The Toaster」で知られていますが、新しいトースターでは最大の特徴ともいえるスチーム機能をカット。そのぶん、ReBakerは24,200円とお手ごろな価格になりました(BALMUDA The Toasterは29,700円、BALMUDA The Toaster Proは37,400円)。

とはいえ、ReBakerはただ機能を減らして安くしただけのトースターではありません。温度制御にこだわり、「パンのリベイク」と「揚げ物の再加熱」に関してはBALMUDA The ToasterやBALMUDA The Toaster Proよりも美味しくなっているというのです。気になる味は? ということで、バルミューダの新製品発表会でチェックしてきました。

  • 新トースターはエメラルドカットのように四隅に傾斜がついたデザイン。どこから光をあてても、光と影が生まれる特徴的な形になりました

  • カラーはホワイトとブラックの2色、本体サイズは幅347×奥行き330×高さ216mm、重さは約3.9kg。マイナビニュース +Digitalの林編集長と一緒に試食体験してきました

腹減りの定番「まるごとソーセージ」が感動的な美味しさに

BALMUDA The Toaster(およびBALMUDA The Toaster Pro)で焼くパンが美味しい理由の大部分は「温度制御」にあります。一般的なトースターは一定の火力で加熱しますが、BALMUDA The Toasterは常に庫内温度をセンシング。

食パンなら「最初にパンの風味を柔らかさよみがえらせる60℃前後の温度、次に表面がきつね色に色づき始める160℃前後の温度、最後に220℃前後の温度帯でパリッと香ばしく仕上げる」といった、細かな温度制御をしているのです。

  • BALMUDA The Toasterのメニューダイヤル。パンごとに最適な温度制御が異なるため、トースト、チーズトースト、フランスパン、クロワッサン、クラシック(170/200/230℃)モードの5モードを用意

現行のBALMUDA The Toasterにはさまざまなモードがありますが、なかでもフランスパンとクロワッサンは「リベイク」と呼ばれる特殊なモード。フランスパンもクロワッサンも完成した状態で購入するため、トースターで温めなおし(リベイク)するときに、それ以上の焼き目をつけたくありません。このため、焼き色をつけずにパンの外はパリッとさせつつ、中心まで温かい状態を実現します。

新型のReBakerはこのリベイク機能に注目し、どんなパンも美味しくリベイクできるという「ReBake」メニューを搭載しました。ちなみに、新しいReBakeモードが目指したのは、山崎製パンの定番パン「まるごとソーセージ」を美味しくリベイクすること。

バルミューダの寺尾社長が若かりしころ、「まるごとソーセージ」を毎日のようにほおばっていたそうです。そしていつかアツアツの「まるごとソーセージ」を美味しく食べたいと思うようになり、トースターや電子レンジで温めてみたものの、期待通りの仕上がりにならずがっかりしたという、ReBakerのコンセプトにつながる原体験が語られました。

  • 新ReBakerのメニューダイヤル。トーストとチーズトーストはそのままですが、フランスパンとクロワッサンが統一されて「ReBake」モードになりました

  • ReBakerにセットした調理前の「まるごとソーセージ」

  • リベイク後の「まるごとソーセージ」。焼き色はあまり変わっていませんが表面がツヤツヤと輝いています

  • 発表会にて「まるごとソーセージ」について熱くかたるバルミューダの寺尾社長

会場では実際にリベイクしたまるごとソーセージを試食。見た目でまず驚いたのは、パンがふっくらと厚みを増していること。口に入れると表面がサクッと香ばしく、中身はふわっとモチモチ。焼き色はもともとの色からほとんど変わっていませんが、ソーセージの中心までしっかり温まっていました。

バルミューダによると、ふっくらと厚みがでる理由は「最初にゆっくりと火入れをすることで、冷えて硬くなったパンのデンプンがα化して柔らかくなったため」だそう。理屈はどうあれ筆者が過去に食べた「まるごとソーセージ」のなかで最大級に美味しかったことは間違いありません。

  • リベイクしたまるごとソーセージのサーモグラフィー比較。一般的なトースターで温めると(写真右)、パンの表面は焦げているのにソーセージの中心は冷えたまま。一方のReBaker(写真左)で温めたものは、焼き色がほぼそのままでふっくらと厚みがでています。中心まで温まっているのもわかりますね

  • もちろん、まるごとソーセージ以外のリベイクも美味。写真はリベイクした明太子フランスパンを食べる林編集長。表面はパリッとしているのに中心まで温かくモチモチ柔らか!

  • 林編集長が何度もおかわりをした「あんぱん」のリベイク。あんこは火が通りにくいイメージがありますが、中心までしっかり温かなのにパンは焦げていません。温めることでパンの香りが増し、あんこの風味がより豊かに美味しく感じられます

冷えたポテトもカリッと復活する「フライモード」

ReBakerのみのメニューとして登場したのが、揚げ物の温め直し専用モードとなる「フライモード」です。冷めた揚げ物は表面の油が固形化している状態になっていますが、ReBakerフライモードは上下ヒーターを細かく制御して温め、固くなった油を柔らかく戻して揚げたての食感と香りを復活させるという理屈。さらに、フライドチキンといった厚みのある食材も、衣を焦がさないようアツアツにしてくれます。

  • フライモードで温めた某有名ハンバーガーチェーンのフレンチフライ。冷えた状態だとシナシナでデンプンのザラザラ感があるイマイチな味でしたが、ReBakerで温め直したもの外はカリッと、中はシットリ滑らかな食感に。揚げたてのような香りも復活して食欲をそそります

  • 上も下もビックリするくらいサクサクでとにかく美味しかったコロッケ。シワシワにしたアルミホイルに乗せて温め直すことで、余計な油をホイルに落として食べることができます。シワシワのアルミホイルは、熱を反射させてより効率的な温めにも一役買います

  • 大きめの唐揚げも中までしっかりあったか! 皮は下面にシナっとした部分もありましたが、上面はカリッカリで香ばしく仕上がっています

手に取りやすい価格と「手間なし」が魅力のトースター

バルミューダの人気トースター「BALMUDA The Toaster」の直販価格は29,700円(2024年2月時点)、上位モデルの「BALMUDA The Toaster Pro」は37,400円(2024年2月時点)です。これら従来製品と比較して、ReBakerは24,200円と少しだけ手が届きやすい価格帯になりました。

冒頭でも述べたように、価格を抑えられた理由の1つはBALMUDA The Toasterのスチーム機能を省いたこと。BALMUDA The Toasterは美味しい食パンを焼くため、調理前に「水を補給する」という一手間が必要でしたが、スチーム機能ナシのRebakerはパーツを減らして価格を抑え、さらにユーザーの手間も減らしています。

ただし、トーストやチーズトーストの美味しさという観点では、BALMUDA The Toaster(BALMUDA The Toaster Pro)が上回るとのこと。実際に食べたときどう感じるかは個人差が大きいので難しいところですが、違いの1つとして覚えておくとよいでしょう。

  • Rebakerでは省かれた、BALMUDA The Toasterでスチームを生み出すボイラーパーツ。庫内に水蒸気を発生させることで、パンに熱を伝わりやすくして、同時にパンの乾燥も防ぎます

  • ボイラーのないRebakerは、扉のヒンジ近くの構造がシンプルに。BALMUDA The Toaster(BALMUDA The Toaster Pro)より掃除もしやすそうです

BALMUDA The Toaster(BALMUDA The Toaster Pro)が「お金と手間をかけても美味しいものにこだわりたい」というユーザーを想定した製品であるのに対して、ReBakerは「より手軽に標準以上の美味しさを求めたい」というユーザーに向いています。ReBakerの名称にバルミューダのこだわりを表す「BALMUDA The」がついていないのも、このためなのでしょう。

  • スーパーの食パンをReBakerの食パンモードで焼いたもの。食パンのカリッとモチモチした食感のコントラストはBALMUDA The Toasterのほうが上ですが、一般的なトースターで焼くよりは美味しく感じました