今回は、PCパーツとゲーミングデバイスを扱う秋葉原のパソコンショップアークを訪ね、ゲーミングマウスの売れ筋を尋ねました。

2023年3月に取材した際は、機動性に優れた軽量マウスがランキング上位を占めていましたが、数カ月もすればトレンドが大きく変動するのがこのジャンル。同店スタッフの磯田尚輝氏は、最近の傾向についてこう語ります。

「自分にとっての扱いやすさや一定以上の軽さはもはや前提になっていて、直近ではタイムラグが極限まで減らせる高ポーリングレートに対応したモデルが注目を集めていますね」

  • パソコンショップアークの入力デバイス売り場。磯田尚輝氏に案内してもらった

ポーリングレートとは、マウスなどからパソコンにデータが転送される頻度を指します。ワイヤレスタイプのゲーミングマウスでは、ポーリングレートが1,000Hz(1K、1秒間に1,000回通信)の製品が多くありますが、最近は4K=4,000Hzや2K=2,000Hzに対応するものも珍しくなっています。

そうしたトレンドを踏まえて、最近の売れ筋モデルを追いかけていきましょう。

<ゲーミングマウス選び、基本の三カ条>

  • 60g前後の軽量モデルから50gを切る超軽量モデルまで、幅広く選べる状況。
  • 4Kポーリングレート環境を目指すなら、予算の目安は別売り品込みで16,000円前後から。
  • ゲーム以外の用途でも使うなら、Bluetooth接続やUSBケーブル接続も併用できる製品を視野に入れたい。

※本文と写真で掲載している価格は、2023年10月24日14:30時点のもの。日々変動しているので、参考程度に見てください。

第1位:小型で軽く、4Kにも対応する「Lamzu Atrantis Mini Pro」

一番人気に挙げられたのは、ラムズの「Lamzu Atrantis Mini Pro」でした。約51gの軽量マウスで、取材時の価格は15,290円。ポーリングレートは最大1,000Hzですが、別売りのドングル「Lamzu 4K Dongle」(2,288円)をセットにすれば最大4,000Hzまで対応します。あらかじめドングルを同梱しているバリエーションモデル「Lamzu Atlantis Mini 4K」も16,610円で選べます。

「2022年10月に登場した前作『Lamzu Atlantis Superlight』の評判が非常に高く、さらなる軽量化をして高ポーリングレート対応になった今作もその人気を受け継いでいますね。癖のない左右対称の形状で、小ぶりな作りが多くの人に好まれている印象です」

  • 「Lamzu Atrantis Mini Pro」

第2位:サイズや後部のふくらみで4種類選べる「Pulsar X2」シリーズ

続く2位には、Pulsar Gaming Gearの「X2」シリーズが挙げられました。形状の違いで「X2 V2」と「X2H」があり、それぞれわずかに小型にした「mini」タイプを揃え、合わせて4種類の形状から選べます。重量は「X2 V2 mini」の約51gから「X2H」の約54gまで。価格はいずれも13,860円です。ポーリングレートは最大1,000Hzですが、別売りドングル「Pulsar 4K Wireless Dongle Black」(2,690円)を加えると最大4,000Hzになります。

なお、2023年11月にはサイドボタンが着脱可能になり、右側面にも足せる「X2A」もラインアップに加わりました。こちらも小型の「X2A mini」があり、価格は変わりません。

「X2Hは後部のふくらみが大きく、X2 V2は抑えめにしてあります。パッと見は似ていますが、握ってみると違いが分かると思います。微妙なフィット感の違いが追求できて、ポーリングレートを高める選択肢もあるということで、シリーズ全体で人気がありますね」

  • 「X2H」と「X2 V2」

  • 2023年11月に登場した「X2A」と「X2A mini」

第3位:マグネシウム合金を採用した「StormBreaker」

3位に入ったのは、Pwnage(ポウネイジ)の「StormBreaker」シリーズでした。軽量で頑丈なマグネシウム合金を採用し、カバーを肉抜きすることで51gの軽さを実現しています。ポーリングレートは最大2,000Hzに対応し、取材時の価格は24,979円~でした。

「世界的に見ても選択肢がかなり限られるマグネシウム合金のマウスということで、2023年8月の発売当初から注目を集めています。本体だけで高いポーリングレートを実現していますし、底面の光学センサーの位置を微調整することで自分なりにちょうどいい位置に合わせられるなど、細部の工夫も高く評価されていますね」

  • 「StormBreaker Limited Edition Red」

第4位:標準で4Kポーリングレートに対応する「Ninjutso Sora 4K」

4位は、Ninjutso(ニンジュツォ)から2023年10月に登場したばかりの「Sora 4K」です。約49gの超軽量ボディと4,000Hzのポーリングレートを備えた作りとなっています。取材時の価格は17,979円でした。

「ベースとなっている『Sora』は2022年12月に登場して以来、45gの軽さと小ぶりな作りが評判でロングランしています。今作は、その4Kポーリングレート対応モデルといった位置づけですね。やはりトレンドに乗った特徴を備えていて、よく売れています。小さいだけでなく形状に癖がないことも、多くの人に好まれています」

  • 「Sora 4K」

第5位:Razerの定番モデル「DeathAdder V3 Pro」

5位は、Razerの「DeathAdder V3 Pro」です。2022年8月に登場してから安定して人気があるモデルで、重量は63gとなります。標準のポーリングレートは最大1,000Hzながら、別売りのドングル「Razer HyperPolling Wireless Dongle」(4,990円)を組み合わせると最大4,000Hzまで高められます。取材時の価格は18,480円でした。

「長らくの定番モデルのなかでも、今のトレンドにマッチした仕様になっていますね。ポーリングレートを引き上げられるのもそうですが、本体のメインスイッチの遅延がかなり抑えられているのも魅力です。あらゆるところでタイムラグを感じさせないと評判です」

  • 「DeathAdder V3 Pro」

はみだし情報・・・僅差で6位の「PRO X SUPERLIGHT」、後継モデルも

プラスアルファの注目株を尋ねると、磯田氏は僅差で6位となったロジクールの定番モデル「PRO X SUPERLIGHT」を挙げました。2020年12月に登場した軽量マウスの先駆けで、重量は63gとなります。ポーリングレートは最大1,000Hzで、取材時の価格は15,390円~でした。

「定番中の定番ですね。63gでも十分軽く感じられる作りですし、コストパフォーマンスで見るといまも選びやすい製品だと思います。ポーリングレートを2,000Hzまで高めて重量を60gに抑えた後継の『PRO X SUPERLIGHT 2』(22,869円)もありますし、シリーズ全体で好調に売れています」

  • 「PRO X SUPERLIGHT」のボックス

  • 2023年10月に登場した「PRO X SUPERLIGHT 2」