Qualcommは10月25日、モバイル向けSoCのフラッグシップ「Snapdragon 8 Gen 3」を発表した。CPU(中央演算)、GPU(グラフィックス)、NPU(機械学習/AI)、ISP(イメージシグナル)の全てが向上しており、中でも生成AIブームによって関心を集めるAIエンジンは大規模な生成AIモデルをオンデバイスで高速処理できる強化になっている。今後数カ月以内にSnapdragon 8 Gen 3を搭載したデバイスが登場する予定で、同社によると、ASUS、Honor、iQOO、MEIZU、NIO、Nubia、OnePlus、OPPO、realme、Redmi、RedMagic、ソニー、vivo、Xiaomi、ZTEなどが採用を進めている。

AIアシスタントを活用してスマートフォンを使う新時代に向けて、同社はオンデバイスの生成AI処理を念頭にSnapdragon 8 Gen 3を開発した。搭載するAIエンジンは、LLM(大規模言語モデル)、LVM(大規模視覚モデル)、ASR(自動音声認識)を含む、最大100億パラメータ・サイズのマルチモーダル生成AIモデルをサポートする。Hexagon NPUは、Snapdragon 8 Gen 2と比較して、パフォーマンスが最大98%高速になり、ワットあたりのパフォーマンスが40%向上(Llama 2-7Bで比較)しており、LLMは最大20トークン/秒で動作する。このAI性能の強化の恩恵は、コンピュテーショナルフォトグラフィや高効率な通信などスマートフォンのさまざまな体験に広がる。

Kryo CPUはサブシステムがアップグレードされ、パフォーマンスが30%向上し、電力効率が20%改善している。Adreno GPUもパフォーマンスと効率性をバランスよく強化しており、グラフィックスレンダリングが25%高速になって、電力効率が25%向上した。

ゲーミング機能も強化され、1080pで最大240Hzのリフレッシュレートをサポート。「Unreal Engine 5.2」をサポートし、新しいグローバルイルミネーションと40%向上したハードウェアアクセラレーテッドレイトレーシングで、マルチソースのライティングによる没入感のある映像体験をモバイルで実現する。また、Snapdragon Game Super Resolutionによって、モバイルゲームを最大8Kの外部ディスプレイにアップスケーリングできる。

Spectra ISPは、AI処理した写真やビデオをリアルタイムで生成可能。デバイスメーカーは、写真やビデオから不要なオブジェクトを消す機能や暗所での鮮明な動画撮影といったインテリジェントなキャプチャ機能を強化でき、音声認識を用いて音声でカメラを起動したり動画を編集するなど操作面でもAIを活用できる。

オーディオ機能は、Wi-Fiを利用するQualcomm Expanded Personal Area Network Technology(XPAN)により、広い範囲で安定したロスレスオーディオを可能にし、またゲーミングに求められる48msの低遅延サウンドもサポートする。

モデムは「Snapdragon X75 5G Modem-RF System」だ。通信速度は、下り最大10Gbps、上り最大3.5Gbps。AI機能を利用して高速かつ電力効率に優れた動作を実現する。