2023年8月9日、アメリカ・ロサンゼルスにて開催されているタクティカルFPSゲーム『VALORANT』の世界大会「VALORANT Champions Tour 2023 Champions」(以下、VCT 2023 Champions)にて、日本チーム「ZETA DIVISION」(以下、ZETA)の初戦が行われました。
対戦相手は、EMEAリーグから出場する「Fnatic」。今年開催されたVCTの国際大会において、史上初の2連覇を果たしている王者チームです。初戦から強敵とぶつかった「ZETA」は、マップカウント0-2で敗北。グループCのロワーブラケットへ移ることになりました。
本試合の模様と、試合直後に実施されたプレスカンファレンスでの「ZETA」へのインタビュー内容をお届けします。
■試合結果
ZETA [0-2] Fnatic
1マップ:5-13(フラクチャー)
2マップ:6-13(ヘイヴン)
【フラクチャー】チェンバーの活躍を封じられ、苦しい戦いに
1マップ目は、「ZETA」がピックしたフラクチャー。「ZETA」はPacificリーグの「Last Chance Qualifier」(以下、LCQ)と同様、Laz選手のチェンバーやTENNN選手のレイズを含む、各選手の得意エージェントを中心とする構成でのぞみました。
前半の守りで「ZETA」は、0-6とラウンドを連取される厳しいスタートを切ります。しかし、crow選手のアビリティを活かした立ち回りによって、「Fnatic」のラウンド連取を阻止。その後は、「Fnatic」の動きへの対応を見せ、4-8での折り返しを迎えます。
後半の攻めでの巻き返しが期待される展開となった「ZETA」。ところが、LCQでは勝利の要となっていたLaz選手のチェンバーが、「Fnatic」の徹底した対応策によって封じられ、攻めでも「ZETA」にとって苦しい状況が続きます。
特に「ZETA」の攻めを阻んだのは、ソーヴァとブリーチをピックした「Fnatic」が繰り出す、高い精度でのアビリティの合せ技。「ZETA」は、この「Fnatic」の堅い守りを突破することができず、5-13で敗北となりました。
【ヘイヴン】王者チームとしての力を見せつけた「Fnatic」
2マップ目は、「Fnatic」がピックしたヘイヴン。「ZETA」は、LCQで見せたエージェント構成から大きく変更し、Dep選手がキルジョイ、crow選手がスカイ、SugarZ3ro選手がアストラをピックしました。
前半の守りで「ZETA」は、Laz選手のヘッドハンターによるワンピックを起点に、スリフティを獲得するなど、見せ場をつくります。5-7での折り返しを迎えた「ZETA」ですが、前半に続き後半でもピストルラウンドを落とし、ラウンド差を広げられてしまいます。
後半で「Fnatic」は、Alfajer選手が驚異の1vs3クラッチを披露。さらに、最終ラウンドでは観客からのコールに応えるように、Derke選手がブレイドストームでの見事なエースを獲得します。王者チームらしい圧巻のパフォーマンスで勝利を決め、会場を大いに沸かせました。
「ZETA」はこのマップを6-13で敗北し、マップカウント0-2で「Fnatic」に敗れる結果となりました。初戦で、現時点での世界最強チームとぶつかった「ZETA」。この試合での経験を活かし、続くロワーブラケットの試合での勝利につなげられるかが、なによりも重要だといえます。
「チェンバー対策には度肝を抜かれた」試合後インタビュー
試合後に実施されたプレスカンファレンスには、「ZETA」の選手5名とJUNiORコーチが登壇。「Fnatic」との初戦を振り返る内容などが語られました。海外メディアからの質問を含め、「ZETA」へのインタビュー内容をお届けします。
――試合前に、Laz選手が「Fnatic」のBoaster選手に対して、とてもリスペクトを持っているとお話されていました。そんなBoaster選手を相手に戦っていかがでしたか?
Laz:普通の試合とは少し違う感覚はもちろんありましたが、なにより世界一のチームと戦えることがうれしかったです。
――「Fnatic」は他のチームと比べて、何が特別だと感じますか?
JUNiOR:戦っていて感じたのは、やはり試合途中からの展開の上手さ。特に攻めでは、こちらの守り方を見てから、弱点を見抜いて攻めてくるところが、非常に上手いと感じました。
――「Fnatic」のメンバーに、何か伝えたいことはありますか?
Laz:今回の試合ではボコボコにされてしまいましたが、勝ち上がってまた戦えたらうれしいなと思います。
――会場では、海外ファンの方が「ZETA」の応援ボードを掲げる姿も見られました。ステージで感じた声援など、会場の雰囲気はいかがでしたか? また、初戦ならではの緊張があったかどうかなど、チームの雰囲気についても教えてください。
crow:今回の会場は、今まで以上にプレイヤー側に歓声が届いて、熱狂している空気がとても伝わってきます。よりファンの方の応援を感じるので、チームの士気もすごく上がる感覚があります。
初戦から相手が世界一のチームだったので、心構えとしては、逆にありがたいなという気持ちでした。これから戦っていくなかで、これ以上のチームはないと思うので、そういった気持ちで挑みました。
――特に1マップ目で、Laz選手のチェンバーに対する対策や警戒は、戦っていてどれくらい感じましたか? また、LCQで戦いを見せていることの不利を、どれくらい感じるかについても教えてください。
Laz:チェンバーへの対応は、今まで戦った相手のなかで一番上手かったです。度肝を抜かれたというか、それくらい上手く対応してきたと思いました。ただ、結構早い段階で対応されていることがわかったので、もっと上手くクリエイティブに対応していく戦い方ができたかなと、今は思います。そこは自分のミスです。
LCQから出場するチームは毎年こういった感じで、情報的に有利ではないのは確かですが、それほど不利は感じてはいません。シンプルに「Fnatic」が強かったなと思います。
――2マップ目の最終3ラウンドほどは、チームでの連携が上手くいっていないように見えました。メンタルからくるものだったのか、どのように感じていますか?
JUNiOR:チームとしては、シンプルにラウンドを取りにいこうという雰囲気でした。最善を尽くしたものの、「Fnatic」が上手かったという感じです。
――アメリカでおいしい食べ物は食べましたか?
TENNN:アメリカでは、ものすごく大きいハンバーガーと、お寿司を食べました。ハンバーガーのサイズは、僕の顔くらいありました。
次戦「NRG」との試合は、8月12日7時ごろよりスタート
初戦で敗北した「ZETA」は、グループCのロワーブラケットに移ります。グループステージを突破し、ブラケットステージへ進出できるのは、各グループの上位2チーム。ロワーブラケットでは、負ければ大会敗退となります。
同じグループC内では、「Bilibili Gaming」に敗れた「NRG」がロワーブラケットへ移り、「ZETA」の次の対戦相手は「NRG」に決定しました。試合は、DAY6の第2試合。日本時間の8月12日午前7時ごろよりスタート予定です。