5月26日に発売されたファーウェイの高級スマートウォッチ「HUAWEI WATCH Ultimate(アルティメット)」(以下、WATCH Ultimate)。フラッグシップとなるこのモデルは、水深100mまでのダイビング対応など高機能なスマートウォッチです。直販価格は135,080円。

もちろん、ダイビング以外にも100種類を超えるワークアウトに対応しています。今回の記事では、東京都最高峰の雲取山へ登った際に装着し、「登山モード」「探検モード」を試してみました。

ダイビングでのレビューは記事「ファーウェイ最上位スマートウォッチ『WATCH Ultimate』、西伊豆・大瀬崎でのダイビングで試した」をご覧ください。

  • HUAWEI WATCH Ultimate。ディープブルーのセラミックベゼルや世界地図をモチーフにしたブルーの文字盤など、海を連想させるデザインで、安全に海へ潜るためのダイブコンピュータ機能を搭載しています

3泊4日の登山でも安心して使えそう

筆者は登山のときに通常、登山時計を使いますが、スマートウォッチなら登山中のルートや登った標高、距離、速度といった情報が記録できるので(登山時計にもルート記憶機能を備えているモデルはありますが)、スマートウォッチを利用する人も多いのではないでしょうか?

ただしスマートウォッチを使うとなると、バッテリーが持つかどうかがネック。山小屋に宿泊する場合、充電ができないことも多いからです。スマホに加え、スマートウォッチの充電も行うと、より大容量のモバイルバッテリーが必要になり、荷物が重くなってしまいます。

登山ではできるだけ身体への負担が少なくなるよう、荷物を必要最小限に。中でも複数の山頂を目指す「縦走」の場合、2泊3日や3泊4日の行程もあります。そういったことから筆者もスマートウォッチを登山では使いづらいと思っていました。

ところがこのWATCH Ultimateは、通常使用で約14日間持続するロングバッテリー。筆者は山小屋に宿泊する1泊2日の行程で雲取山に登ったのですが、このときにWATCH Ultimateの登山モードを試してみました。

コースタイムは1日目が6時間半、2日目が5時間半となり、実際には休憩も含めて合計16時間もかかりました。それでも下山して自宅に戻ったときのバッテリー残量は66%も。これなら3泊4日の行程でも安心して使えそうです。しかも約60分でフル充電できるので、行き・帰りの電車やバスにコンセントがあれば、移動時間でしっかり充電できます。

  • 雲取山の頂上にて。登山モードの総合表示では、心拍数(109)、速度(0.00)、距離(1.03)、ワークアウト時間(0:42:32)などがわかります

アプリの登山データ見ながら振り返り! 雲取山はハードだった……

雲取山の標高は2,017m。登山口の標高は550mなので、頂上までの標高差は1,467mですが、とにかくアップダウンが多くて大変でした。それはWATCH Ultimateと連携して使う「Huaweiヘルスケアアプリ」の登山モードデータからも明らか。

アプリ内では「ルート」「速度」「チャート」「詳細」の4項目を表示できます。アプリのチャートデータでは、1日目の登りはさほど起伏がないように見えますが、詳細データを見ると上昇距離1885.6m・下降距離578.4mと、まぁまぁのアップダウンであったことがわかります。

  • ルートでは登山ルートと距離を確認できます(以降1日目のデータ)

  • 1kmごとの速度のデータ。画面下に行くほど速度が遅くなっていき、後半バテている状況がわかります

  • チャートでは心拍数、時間ごとの速度、高度、血中酸素の最低と最高の時間帯を表示

  • 詳細で、総合的な登山情報がわかります

下りは、上昇距離858.2m・下降距離1596.7mと距離の半分以上を登っています。パフォーマンスは登りも下りも過度。「このレベルのトレーニングは激しすぎるため負傷する可能性があります」と、アプリから指摘されました。

  • 下りのルート画面(以降2日目のデータ)

  • 下りの「速度」データでは後半にパフォーマンスが上がっています

  • 下りのチャート画面。高度からアップダウンの激しさがわかります

  • 「詳細」のパフォーマンスで、今回の雲取山の登山が過度であると指摘されました

登山初日は蒸し暑く、途中でバテてしまったことも速度や心拍数のデータからわかります。特に激しい登りだったというわけではないのに、8~11km地点でかなり速度が落ちていました。

ルートの「ダイナミック追跡」では、音楽付きのアニメーションで辿ったルートを表示してくれるのですが、そのデータから8.67km地点で心拍数が最大の166になったことがわかりました。

  • 「ダイナミック追跡」を再生している画面。写真の挿入や、メモの追加などカスタマイズも可能です

これらのデータからも、筆者にとって雲取山はハードルが高すぎたことがわかりました。実際、当初は1日目に予定していた登頂を、あまりの疲労から2日目の朝にしたくらいです。改めて、自分の体力に合った山を選ぶことの大切さを感じました。

ルートバック機能や失踪アラートなど登山に便利な機能も

屋外のルートを正確に記録するために、WATCH Ultimateはデュアルバンド対応で、GPS、GLONASS、QZSS、Galileo、Beidouの5種類の測位衛星をサポートしています。

今回の雲取山登山は、東京都の奥多摩から埼玉県の秩父に抜けるルートだったので使いませんでしたが、来た道をそのまま戻るときは「ルートバック機能」が便利。ルートから外れた場合にアラートで教えてくれます。この機能は登山だけでなく、屋外ランニング、屋外ウォーキング、屋外サイクリング、ハイキング、トレイルランでも使うことができます。

  • 登山後の地図データ。ルートと距離、時間などがわかります

また、「失踪アラート」という機能もあって、屋外の移動中でGPS信号が弱い場合に通知してくれます。山では携帯電話の電波が通じないことが多いので、GPSで現在の場所を確認することは重要。もし通知があれば現在地とこの先のルートをしっかり確かめておくことで、道に迷うリスクを減らすことができます。

WATCH Ultimateは、1時間ごとの天気、日の出日の入り、気圧と高度、コンパスなどの機能もあり、登山中に重宝しました。また、山小屋での消灯後、ザックの中を見るときに、意外にも懐中電灯機能が役に立ちました。画面全体が白く光るので、付近をぼんやりと照らすことができます。

  • 1時間ごとの天気

  • 日の出日の入り

  • 気圧

  • 高度

  • コンパス

  • 「懐中電灯」を押すと、ウォッチ画面を白く光らせることができます

新機能「探検モード」も試してみた

WATCH Ultimateに新しく搭載された探検モードも、別の日に紫陽花を見に行ったときに試してみました。起動中は時間や天気、歩数などを表示しながらスピードや距離、高度、心拍数などを測定。気になる場所をマークしたり、ルートバック機能も使えたりできるので、道から外れても元のルートに戻れます。

  • 「探検モード」を起動中の表示。

  • 探検モードでは、アプリから「ルート」「チャート」「詳細」の項目を見られます。写真はルート情報

  • チャートでは移動した高度を表示。100~150分の時間帯はカフェで休憩していたのでグラフが水平になっています

  • 詳細では、距離と平均速度、歩数がわかります。登山モードと比べると情報が簡易です

筆者は昼間に探検モードを試しましたが、日が落ちるとナイトモードになって、黒字にオレンジの数値に変わり、目に負担をかけることなく画面を確認できるといいます。探検モードの機能はワークアウトというよりも気軽に活動するときに使えそう。筆者は気ままな散歩のときに活用したいと思いました。

バッテリー持ちも良く、登山でも大いに活用できたWATCH Ultimate。登山データはもちろんですが、いつも計測している睡眠、心拍数、血中酸素、歩数などのデータも継続して記録できるのも良かったです。登山2日目のデータからは、山小屋でもしっかり睡眠できていたことがわかりました。

難を言えば、アプリでの速度データが、休憩時間を省いて計算してくれると、より確かな速度がわかって良いなと思いました。また、運動記録は月ごとの表示になっているので、ワークアウトごとに分けて表示できるようになるとより便利。でもそれ以外はとても快適に利用できました。

アウトドアのレジャーやスポーツにも力を入れるビジネスパーソン向けのWATCH Ultimate。このスマートウォッチを使うことで、よりアクティブに活動できそうです。