ピクセルは、Acoustuneのサブブランド・ANIMAから新しい完全ワイヤレスイヤホン「ANW02」を7月28日に発売する。クアルコムの高音質コーデックや、次世代Bluetoothオーディオ規格に対応するなど大幅に機能強化しており、価格は33,980円。

  • ANW02(Black)

ANIMAブランドの「ANW01」(2021年発売)に続く第2弾製品で、4月の「春のヘッドフォン祭2023」で参考展示されていたが、今回は製品版がポタフェス会場に登場。カラーはBlackとGrayの2色展開。

7月14日からの予約開始・店頭展示に先立ち、東京・秋葉原で7月8〜9日まで開催されるポータブルオーディオの展示試聴イベント「ポタフェス2023夏 秋葉原」では、製品版の先行試聴を実施中。混雑緩和のため、整理券を配布するという。

  • 左からANW02のGray、Black

従来のANW01と比べると、イヤホン本体の内部が透けてみえる構造を採用していたり、充電ケースに“窓”を設けたりとデザインも一新して、ガジェット感あふれる見た目に変わっている。丸っこくて小さなANW01を愛用しているユーザー(筆者)からみると、初代とはまるで別モノになっており、より個性的な存在に生まれ変わった印象を受ける。そのぶん、後述するように機能面もかなり強化されており、要注目の一品といえそうだ。

  • ANW01 Brown(左)とANW02 Grayを並べたところ。身に纏う雰囲気や“顔付き”がぜんぜん違うのが伝わるだろうか

ANW02の詳細

ANW02の音響設計はANIMAの母体であるAcoustuneが担当しており、サウンドは初代ANW01から引き続き、VIA/TOY’S FACTORY所属のサウンドプロデューサー・TAKU INOUE氏が監修。ハイレゾクオリティ・高音質コーデックの再生による「アーティストがスタジオで意図したサウンド」の実現を目指した。

  • (左から)ANW02のGray、Black

具体的には、音質特化型の有線イヤホンで使われるドライバーと同等の手法で振動板の設計開発を行い、さらにDSPを利用して“有線イヤホンにはできないアプローチ”で最適化を図ったとのこと。

ANIMAは音響設計を進める中で「従来のTWS用ドライバーでは目標とする基準への到達が難しい」と判断し、ANW01では専用ドライバーを設計開発して搭載していた。今回のANW02ではさらに“音質に特化”することに重点を置き、新開発のダイナミックドライバーユニット「El-CoClear(エル -コクリア)振動板」を採用。

Acoustuneの独自技術「Mylinx(ミリンクス)ドライバー」の開発で培った知見を元にした10mm径振動板で、「高度な数値解析により設計された振動板、強力な磁束密度を備えるマグネット、最大限に効率を高める磁気回路、高級イヤホンにも使用される音質調整フィルターなどを吟味、選定することで、優れた特性を持つダイナミックドライバーが誕生した」とアピールしている。再生周波数帯域は20Hz~40kHz。

  • 新開発のダイナミックドライバーユニット「El-CoClear(エル -コクリア)振動板」のイメージ

このダイナミックドライバーの特性を最大限活かすことを目指して、SoC内部のDSPをカスタム。従来品と比べて大容量かつ高速なフラッシュメモリを採用し、測定・試聴を重ねて最適化した独自のデジタル信号処理「S.A.L.T.」も開発。これによって周波数特性のチューニング自由度が向上し、より高度な最適化が可能になったとする。

TAKU INOUE氏監修のサウンドチューニングは3種類用意し、専用アプリ「ANIMA Studio」から変更可能。サブベースなど深めの低音がしっかり鳴るよう調整した「LATE NIGHT」をデフォルト設定とし、LATE NIGHTよりも少し上の低域が出やすいように調整して、バンドサウンドなども含めた幅広いジャンルに対応できるというオールラウンダーな「TWILIGHT」、低域と高域を少しずつ丸めたチューニングの「DAWN」を好みに合わせて切り替えられるようにした。

  • ANW01から引き続き、ANW02でもサウンドチューニングを監修したTAKU INOUE氏

  • 利用イメージ

さらに、ANIMA Studioアプリではこれらのチューニングパターン変更に加えて、システム音声変更機能「Advent Voice」なども利用可能。ANW02ではAIKA、AIMY、AYAと名付けた三姉妹のシステム音声を切り替えて使えるほか、アプリ内課金(980円)を行うことでAIRI(CV:中村繪里子)を追加することも可能。ユーザーの好みに合わせて各種アナウンスを楽しめる。

  • Advent Voiceの利用イメージ

機能面に関しては、初代ANW01から大幅に強化し、クアルコム「Snapdragon Sound」と、次世代Bluetoothオーディオ規格「LE Audio」に対応。ANIMAイヤホンのSnapdragon Sound採用については、「第一弾製品の2023年第1四半期までの発売を目標とする」と2022年8月に発表しており、今回正式に対応製品が披露されたかたちだ。

Bluetooth 5.3準拠で、コーデックはSBC、AAC、aptXに加えて新たにaptX Adaptive(96kHz/24bit)と、aptX Lossless(44.1kHz/16bit)をサポートする。マルチポイント接続とマルチペアリングにも対応している。

LE Audioに対応したスマートフォンと接続すると、通信の高品質性と低消費電力を兼ね備えたLC3コーデックが利用可能になる。従来のSBCコーデックに比べて最大50%低いビットレートでも音質が向上し、ロングバッテリーかつ低遅延通信を可能にしている。ほかにもオーディオ共有機能を使い、1台の端末に複数台のANW02を接続して、同じコンテンツを複数人で同時に楽しめるとする。なおLE Audioをサポートしたスマートフォンとして、執筆時点ではソニーのXperia 1 IV/VやXperia 5 IVなどがある(IV世代はOSアップデートで対応)。

イヤホン本体はIP56の防塵防滴仕様。Acoustuneのデザインアイデンティティを採用し、ダイナミックドライバーやバッテリー、基板などのレイアウトに、人間工学を考慮したフィッティングの最適化を実施。Acoustuneの有線イヤホン「ST1000/2000」用カスタムシェルで培ったノウハウも活かし、長時間使用時の装着性や遮音性を高い次元で両立したという。

イヤホン単体で連続再生約14時間を実現する大容量バッテリーを搭載。付属の充電ケースと合わせると最大42時間音楽を聴ける。ANW01で好評だったという「パワーマネジメント機能」も引き継ぎ、使用状況に合わせて省電力化。ケースはワイヤレス充電に対応している。このほか、片側2基のMEMSマイク搭載や、外音取り込み機能の装備といった機能強化も図った。

重さはイヤホンが片側約9g、充電ケースが約40g。S/M/Lの3サイズのイヤーピースと充電用USB-Cケーブルなどが付属する。

ピクセルブースのその他の展示

  • MADOOの有線イヤホン「Typ821」の量産版サンプルがブースに登場。ヘッドフォン祭で度々展示されていた製品だが、ようやく製品版に近いかたちでのお披露目となった