MMD研究所は6月7日、5月に実施したChatGPTについての調査の結果を公表した。ChatGPTの利用経験、認知度、利用頻度、利用シーンなどについて調べている。
ChatGPTなど対話型AIサービス3つの認知・利用状況を聞いた結果が次のグラフ。「1カ月以内に利用した」「過去に利用したことがある(1カ月以内には利用していない)」を合わせたChatGPTの利用経験者は全体の10.0%、「サービス内容を知っており、利用していみたい」「サービス内容は知っているが、利用してみたいと思わない」「サービスの名称は知っているが、どんなサービスなのか知らない」までを含めた認知度は48.7%に達する。Microsoft Bing AIが利用経験6.1%/認知度21.5%、LINE AIチャットくんが利用経験5.9%/認知度16.1%を大きく引き離した利用経験・認知度となっている。
このChatGPTの利用状況を、職業別に分析したのが次のグラフ。利用経験者の多いトップ2は「会社勤務(管理職)」「会社経営(経営者・役員)」で、企業の意思決定層に関心が高いことがわかる。一方で「専門職(弁護士・税理士・医療関連)」は利用経験者の割合が低く、高度な専門知識に基づく職業ではその信頼性にまだ慎重な姿勢のようだ。このほか、「学生」や「自由業、フリーランス」のように新たなサービスへの感度の高い層ではやはり利用経験者が多い。
対話型AIサービスを直近1カ月に利用している人の利用頻度を調べた結果が次のグラフ。割合でみるとChatGPTよりもMicrosoft Bing AI/LINE AIチャットくんのほうが頻度が高い傾向になっているが、そもそもの利用者はChatGPTが他の2つのサービスを大きく上回っており、「ほぼ毎日」利用しているという人の実数がいちばん多いのはChatGPT。ChatGPTで「ほぼ毎日」利用している人の割合が低くなっているのは、調査前の1カ月の間にChatGPTに興味をもって何回か使ってみたという人が多かったことを表しているといえる。
それぞれのサービスの利用目的は次のグラフのようになった。ChatGPTは「特に利用目的がないが利用(話題になっているからなど)」が38.4%と他よりも高く、興味本位のユーザーが多いことがわかる。
ChatGPTを仕事に役立てるために利用していると回答した人にしぼり、具体的にどのようなシーンで利用しているかを複数回答で聞いたのが次のグラフ。「情報収集をするとき」「アイディアだしをしているとき」「文章や動画の内容を要約して確認したいとき」といった用途が上位に挙げられているが、選択肢として用意した10の項目にはまんべんなく票が入っている。
そしてそれぞれの利用シーンにおいて、ChatGPTが期待を上回る回答を返しているかを調べたのが次のグラフ。「文章や動画の内容を要約して確認したいとき」「外国語の文章を翻訳したいとき」では「期待を下回る」と答えた人がおらず、概ね期待どおりかそれ以上の結果を得られているようだ。「電子メールを作成するとき(日本語以外)」も、「期待を上回る回答を得ることが多い」がもっとも多く、こういった用途がChatGPTの得意といえそう。逆に「期待を下回る回答を得ることが多い」が目立つのが「プログラミングをするとき」で、厳密な正確さを求められる用途ではChatGPTの回答を吟味する必要がありそうだ。
なお、職場で対話型AIサービスの利用に関するルールが設けられているかを聞いたところ、約6割の職場で何らかのルールが定められているという。対話型AIサービスを業務に利用することで不正確な情報が流れたり、プライバシーや権利の問題が生じることがあるため、今後もルールの整備は進められていくだろう。
調査概要
- 調査名:ChatGPTに関する調査
- 調査期間:2023年5月8日~5月10日
- 有効回答:5,000人 ※人口構成比に合わせて回収
- 調査方法:インターネット調査
- 調査対象:15歳~69歳の男女
- 設問数:13問